佐藤ミキ、反対されても諦めなかった歌手への道 その想いとは
INTERVIEW

佐藤ミキ

反対されても諦めなかった歌手への道 その想いとは


記者:村上順一

撮影:

掲載:20年12月09日

読了時間:約10分

 シンガーの佐藤ミキが12月2日、シングル「名もない花」でメジャーデビュー。メジャーデビューに先駆け、7月には初のオリジナル曲「Play the real」を自身のYouTubeチャンネルに公開、8月にはプレデビュー曲「A KA SA TA NA」を配信限定でリリースした。その2曲も今作に収録。表題曲はアニメ『魔法科高校の劣等生 来訪者編』エンディングテーマで、メインヒロイン司波深雪の知られたくない感情を描いたバラードナンバー。佐藤ミキの歌は優しさを感じさせながらも切なさと儚さが同居した歌声で作品を彩る。インタビューでは、もともと引っ込み思案だった彼女がシンガーを目指したきっかけ、レコーディングでのこだわりなど多岐に渡り話を聞いた。【取材=村上順一】

シンガーを目指したきっかけ

「名もない花」ジャケ写

――メジャーデビューおめでとうございます。デビューしてやってみたいことはありますか。

 デビュー準備期間にライブをほとんどやってなかったんです。今、コロナ禍でいつライブが出来るか分からないですけど、早くライブがやりたいです。マイクを持って歌う、ダンスをしたり、アコースティックでの弾き語りだったり、色んな面が見れるライブを作りたいと思っています。

――学生時代はベースボーカルもやっていたんですよね。なぜベースを選ばれたんですか。

 最初は4人組だったんですけど、ベースが抜けてしまって、私しか手が余っている人がいなかったんです。グループを解散させたくなかったので、ベースを弾きながら歌うことになりました。今でもたまにベースは弾いています。

――ギターやドラムもできるんですよね。

 ちょっとですけど出来ます。軽音部に楽器が弾けない子が入ってきたときに、基本的なことを教えられるようにしたかったんです。

――責任感がすごい!

 出来て損はないなと思って、なんでもやりたくなってしまうタイプで、割とポジティブなんです。小学1、2年生の頃は引っ込み思案で、授業で答えがわかっていても手が挙げられない性格で教科書の音読も恥ずかしくてできなくて...。

――今はそんなことはないですよね?

 ソフトテニスを始めて少年団に入ったんですけど、そこには歳上も歳下も沢山いたので、そこからだんだんしゃべれるようになってきました。それで学級代表や生徒会長とかをやるようになって、スポーツを始めてすごく性格も変わったと思います。

――スポーツを始めたのはなぜですか。

 母がスポーツを進めてくれて始めたんです。そのおかげで今では風邪もひかないし、身体がかなり丈夫になりました。

――効果あったんですね! そこから歌手になろうと思ったきっかけは?

 小中学生の頃から何となく歌を仕事にしていくんだろうなと感じていた部分はあったんですけど。でも準備は何もしていなくて、「歌手にいつなれるんだろう」みたいな(笑)。お仕事として歌手を目指そうと思ったのは高校時代なんです。

――小学生の頃はどんな風に音楽に触れていたのでしょうか。

 小さい頃から音楽は身近にあって、保育園での友達はモーニング娘。さんとかミニモニ。さんが好きで、その時の遊びが歌や踊りをコピーするというものでした。小学生の時も全学年で演劇をする時があったんですけど、その時も私がソロで歌う劇にしてくれたり、中学時代もソフトテニス部だったんですけど、合唱部のコンクールに誘われたり、高校の時は英語でミュージカルをやるという学校の伝統行事があって、そのステージに立ったりもしていたんです。

 そして、新入生歓迎会での先輩たちの演奏を観てカッコいいなと思って軽音部に入って、札幌のライブハウスで声を掛けてもらったのが、この世界に入るきっかけでした。

――そこから今に繋がっているんですか?

 それが進学を希望する母だったので、歌手は反対されていました。母が認めてくれなかったので未成年ということもあり話が進まなかったんです。でも私は「歌は諦めたくない」と話したら、母は「じゃあここの大学に受かったらいいよ」と約束してくれました。それで無事に受かって、大学に行きながら歌手になるための準備期間が始まりました。

――お母さん、ちゃんと約束を守ってくれたんですね。

 母に今まで反抗したことはなかったんです。スポーツをしていた時も母が「勝ち続けていけるわけがない」と諭されて、私は納得してやめてしまったんですけど、音楽、歌だけはそういう気持ちにならなくて。母もどうせ受からないと思っていたところもあったみたいなんですけど、逆にそれが私に火をつけた部分もあって(笑)。

――反骨精神ですね(笑)。デビューが決まってお母さんは今どうなんですか。

 すごく楽しみにしていてくれています。やるからには売れてもらわないと困るって(笑)。

知られてはいけない感情を描いた「名もない花」

――さて、デビュー曲はバラード「名もない花」ですが、アニメのエンディング曲で作詞をされていますけど、アニメに寄せるだけではなくご自身と重ねた部分も?

はい。『魔法科高校の劣等生 来訪者編』のヒロインである司波深雪の心情を描いた歌詞になっていて、彼女はお兄さんの司波達也の事が好きで妹以上の感情を抱いているんです。その特別な感情を表に出したら関係が壊れてしまう、達也にその気持ちを知られてはいけないという葛藤をテーマにしています。そういった葛藤は兄妹に限らず好きだけど表に出せない時はあると思うんです。そういう気持ちを抱いている人にも何か感じていただけると思うんです。

――佐藤さんは誰にも知られたくない感情、この曲と自分自身がリンクする部分はありますか。

 好きな人に振り向いてもらえない、相手の気持ちがわからない時はすぐ諦めてしまうんです。私のことが好きだったらあっちから告白してくるはず、みたいな。そんな昔の気持ちに当てはまる曲なんです。

――歌詞に<どうしてあなたはあなたなの?>というインパクトのあるフレーズがありますね。

 この曲で私が一番言いたいことはそこで、最終的な悩みはそこなんです。あなたがあなただから上手くいっていない、でも、自分が好きなのは、そんなあなただから好きなわけで。深雪はお兄さんである達也が好きで、でもお兄さんである以上うまくいかない、自分の気持ちを認めてはいけないというジレンマに対して絞り出した言葉がこれでした。

――深いですよね。ちなみにタイトルは最初から決まっていたのでしょうか。

 タイトルは後からつけました。「名もない花」というのはこの世に存在しない、世に知られてはいけないという意味があります。それが今回のテーマに当てはまるなと思って。アニメ盤のジャケット写真には黒い花が描かれているんですけど、それは存在しない花という意味なんです。

――しっかりリンクされていて。ちなみに佐藤さんが好きな花は?

 桔梗です。お花屋さんに行った時に桔梗があると目に入ってきて。紫色の花なんですけど、印象に残るんです。

――この曲にデビューする決意みたいなものも入っていたり?

 いえ、それは2曲目に入っている「Play the real」に込めました。この曲を制作していたのがコロナ禍が始まって辛い時期でもありました。皆さんも辛い時期だと思ったので、一緒に乗り越えたいという気持ちと、佐藤ミキとして世の中に一番最初に公開される楽曲だったので、新たな未来への決意が込められています。

――もう一曲の「A KA SA TA NA」はあいうえお作文みたいで面白いですね。

 この曲はリズムがあって、それで言葉遊びも入れたいなと思い、Bメロであかさたなで繋がるようにして、恋愛のあるあるをいれたいなって。余白を残していて「あかさたなはまや」で切れていて「らわ」はあえていれずに、これからの自分たちで作っていこうというメッセージがあります。

――聴いた人にその先は委ねる感じですね。僕は映画や小説とかでもそういうの好みなのですが、佐藤さんはそういった終わり方の映画とかいかがですか。

 私は納得出来るものだったら、曖昧な終わり方でも良いんですけど、自分の中で答えが2つとか思いついちゃうと、一体どっちなんだと迷ってしまうので、映画とかは答えが出る方が好きです(笑)。

――ちなみにどんな映画が好きなんですか。

 私はサスペンス映画が好きで『ユリゴコロ』、『彼女がその名を知らない鳥たち』という映画が特に気に入っています。どちらも沼田まほかるさんという作家さんの作品で、もともと小説が好きで読んでいて映画化されたので観たんですけど、ちょっと虚無感、ズーンとくる作品なんです。

――そこから作詞に繋がることも?

 あります。今後そういったところからインスパイアを受けた歌詞も見れるかも(笑)。

音楽は手の届く範囲を超えられる

――歌詞といえば作詞を始めたきっかけは宇多田ヒカルさんの「Can You Keep A Secret?」を聴いた時に衝撃を受けたことからなんですよね。

そうなんです。小学生の時にドラマ『HERO』(フジテレビ系)で流れていて、歌詞を見なくても言葉がすごく入ってきたんです。しかもその歌詞が私のことを歌っているみたいに感じて、すごくリアルでした。それで自分でも作詞に挑戦してみたんですけど、宇多田さんみたいには当然書けなくて。ポエムみたいになってしまってやめてしまったんですけど、度々書きたくなって、たまに書いたりしてました。

――当時の歌詞はまだ残っているんですか。

 小学生の時に書いた歌詞で、けっこう良いのが出来たと思ったものがあったんです。今では絶対書けないような純粋な歌詞だったと思うんですけど失くしてしまって、探したんですけど見つからなくて...。それで今の気持ちを書き残しておくのって大事なんだなと思って、歌詞にするというわけではないんですけど、今はケータイでメモしたり、日記として紙に書いたり、その時の気持ちを残しています。

――さて、佐藤さんが思う音楽、歌の魅力はどこにあると思いますか。

 自分が直接手を差し伸べられる人って限られていると思うんです。励ましたい、一緒に乗り越えて行こうという気持ちを歌で発信できたら、自分が知らない人を助けることが出来るかも知れない。自分が助けてもらった時もそのアーティストの方に直接何かしてもらったわけではないけど、助けられたこともあるので、手の届く範囲を超えられるというのはすごく魅力だと思います。

――歌の表現として、どんなことを意識して歌われましたか。

 「名もない花」は温かさの中に同時に存在する切なさや儚さというのがテーマなので、ただ優しい感じの声ではなく、どこか悲しげのある声で歌いたいなと思いました。

――僕が感じた佐藤さんの歌の印象が透明感がある中でエネルギッシュなものを感じるんです。

 聴いてくれる人が強くなれる、そんな強さみたいなものを持って歌いたいと意識しているので、それが出ているのかもしれないです。

――内側で熱いものを感じました。ちなみにレコーディングでやっていることや、外せないものなどありますか。

 レコーディングは裸足で歌います。足の指でけっこう踏ん張るので私は裸足の方が良いんです。あと、飲み物はポカリスエットイオンウォーターじゃないとダメなんです。もし手に入らなかった時は、ポカリスエットを水で割っています。

――そのこだわりはどこから?

 ずっとお水が良いと思っていたんですけど、お水だとすぐ流れてしまう感じがしていたのと、飲んでも飲んでも乾燥している感じがあってずっと気になっていたんです。それでスポーツドリンクを試しました。ずっと普通のポカリスエットだったんですけど、レッスンの先生からイオンウォーターが良いよとおすすめされて。

 炭酸飲料は好きなんですけど、お酒も喉のために今は飲まないようにしています。歌、喉の優先順位が高いので、我慢できます。レッスンやレコーディングで声が出なくなることの方が嫌なので。

――歌に対する気概を感じました。最後に読者の方にメッセージをお願いします。

 私の歌を聴いてくれる方たちが強くなれる、頑張ろうと思えるアーティストになりたいと思っていますので、これから応援宜しくお願いします。

(おわり)

作品情報

2020年12月2日 Debut Single
佐藤ミキ「名もない花」

・ご購入はこちら→https://satomiki.lnk.to/sonyTS
・MVはこちら→https://youtu.be/NcbxaJgPEr0

<出演情報>

「Sony Music Artists presents おなじむ vol.1」
2020年12月15日(火)20:00~生配信
・詳細はこちら→ https://sma-event.com/onajimu/

 佐藤ミキが所属するSony Music Artistsによる配信プログラムへの出演が決定。第一回目となる配信では東京スカパラダイスオーケストラのドラマー・茂木欣一がメインMCとなり、CHEMISTRYをゲストに迎えた一夜限りのトークやミニライブに佐藤ミキも出演

この記事の写真

記事タグ

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事