Rei「自分らしい言葉に出会った」届けたいピュアなメッセージ
INTERVIEW

Rei

「自分らしい言葉に出会った」届けたいピュアなメッセージ


記者:村上順一

撮影:村上順一

掲載:20年12月03日

読了時間:約8分

 シンガー・ソングライター/ギタリストのReiが11月25日、セカンド・アルバム『HONEY』をリリース。ミニ・アルバム『SEVEN』から 1 年ぶりとなった作品は、4 月に先行配信された専門学校モード学園(東京・大阪・名古屋)CMソング「What Do You Want?」やSOIL&”PIMP”SESSIONSとコラボした「Lonely Dance Club (w/SOIL&”PIMP”SESSIONS)」など、「NEO-TRAD」をテーマとした今のReiを感じることができる全12曲を収録。インタビューでは『HONEY』に込めたメッセージから、今作でチャレンジしたこと、そしてReiが思うオリジナリティについてなど多岐に渡り話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

強いものをカジュアルに聴いてもらえる工夫

『HONEY』通常盤ジャケ写

――『HONEY』が完成しましたが、どのようなメッセージをこのタイトルに込めたのでしょうか。

 ピュアな作品にしたくて名付けました。純度が高いというか。蜜のように濃く、黄金色にかがやくイメージが、サウンドや言葉から伝わればいいな、と。

――Reiさんの音楽はメッセージ性が強いですよね。逆にそうではない音楽についてはどのように考えていますか。

 カフェ音楽と呼ばれる聴きやすい音楽も存在意義はありますが、自分の音楽は言葉もすごく鋭利な部分もあるので、聴き流せない音楽になっているなと思っています。聴きやすいものと聴き流せないものの両立は難しいと思っているので、自分の音楽は後者として作っていくしかないと思っています。

――とはいえそのバランス感覚は考えていて。

 はい。口当たりを軽くする方法はあると思うんです。それは今作でも「Categorizing Me」で実践しています。メッセージとしては強いものを持っている曲なんですけど、チルっぽいサウンドにしてみました。「COLORS」の歌詞は切なさの強いラブソングになっているんですけど、エフェクティブでノリノリな曲調にしてみたり、強いものをカジュアルに聴いてもらえる工夫は今回もしています。

――その「Categorizing Me」はどのような心境の時に書かれたのでしょうか。
 
 タイトルは「私をカテゴライズしないで」という意味なんですけど、私が女性だということ、ブルーズをやっていることも、それが第三者の引き出しに入れられて、先入観を持って接されることで憤りを感じる部分は沢山ありました。本質をみつめずにカテゴリー分けしがちな世の中への問題提起になればな、とその一方で、必ずしもその肩書きはネガティブなものとは限らないので、カテゴライズされることを逆手にとれば、武器にもなるよね、という裏テーマもあります。

――ネガティヴに捉えるだけではないんですね。好転させる術も考えて。

 DJのLicaxxxさんも似たような事をインタビューで仰られていて、すごく共鳴しました。でも全然押し付けではなく、みんなが考えるきっかけになれば良いかなと思います。

自分らしい言葉に出会った

村上順一

Rei

――「matatakuma」はイントロがジミ・ヘンドリックス の「Little Wing」のような雰囲気もあって惹きつけられますね。今作はシンラインのテレキャスターが重要な位置を占めていると感じたのですが、この曲のギターもテレキャスターですか。

 アルバムはシンラインのテレキャスターがメインです。でも、この曲はストラトなんです。毎回、アルバムごとにギターのテーマを定めていて、『SEVEN』の時はテスコのビザールギターで、今作はテレキャスターでした。この「matatakuma」は去年の初夏頃に作った曲で昨年リリースした『SEVEN』のテーマでもあった「時間」というのを引き継いでいて、今作にも合うなと思って完成させました。

――歌とギターのコントラストが絶妙ですよね。

 ありがとうございます。先程でた「Little Wing」のようなスタイルはジミヘンが始まりで現在はジョン・メイヤーなども継承しているスタイルなのですが、歌のバックでもしっかりとギターが自由に弾いている感じのスタイルでやってみたいと思っていたので、歌ももちろんのこと、後ろで鳴っているギターにも注目して欲しい一曲です。

――楽曲によってギターを使い分けていますけど、この曲ではこのギターというのはどのような感覚で選ばれているのでしょうか。

 最近の子どもは太陽を黄色で描くらしいんですよ。でも人によっては太陽といえば赤という方もいるでしょう。それと同じ要領で、私の中で「このギターはこの音像」とイメージが植え付けられていて、この曲調にあうのはあのギターかな、と想像を膨らませながらセレクトしています。たまにはイメージの真逆を狙って、リンゴを紫で描くようなアプローチにしてみたり。

――今作ではセオリーから外した曲もあったのでしょうか。

 今作は外していない方だと思います。これまではさまざまなギターを使っていたんですけど、今回は削ぎ落としました。厳選されたギターとアンプで統一感を持たせた、シンプルな音作りになっていると思います。

――そのシンプル、ストレートな表現の気持ちが「Today!」の歌詞にも出ているなと思いまして。特に最後の<両手でぎゅっと抱きしめて>はこれ以上ない表現だなと感じました。

 より直接的な表現を臆せず使った部分はあります。好きです、というところにどうやって辿り着くかということなんです。巧妙に作られた曲というのはその「好きです」に辿り着くまでに緻密な計算がなされていて、辿り着いた時の感動がすごい。この曲もこの最後の歌詞にたどり着くまでに丁寧に情景描写を描きました。ただストレートな言葉を乱暴に置くのではなく、より一層響くように心掛けました。

――そして、SOIL&”PIMP”SESSIONSとコラボした「Lonely Dance Club (w/SOIL&”PIMP”SESSIONS)」はどのような経緯でコラボが実現したのでしょうか。

 ドラムのみどりんさんとは以前から作品に参加していただいていて、メンバーの皆さんともフェスなどでそれぞれ面識はありました。でも、バンドで関わらせていただいたことはなかったので、コラボしたいなと思い、お声がけさせて頂きました。あと、時代にチューニングしているというのがオファーさせて頂いた理由の一つです。古い音楽に固執することなく新しいものとミックスしていく、それによって私の曲もしっかり2020年の音になったので、ご一緒させて頂けて本当に良かったです。

――コラボが決まってからこの曲を書き下ろされた感じですか。

 骨組みはもともとありました。コラボできることになって管楽器のアレンジを詰めたりして。

――一緒に音を出されてみていかがでした。

 由緒正しいジャズメンと言いますか、ものすごく演奏力が高いので刺激を受けました。柔軟性、臨機応変さというのはジャズの素養もありますけど、数多くの方とコラボされてきた背景を感じることができて。どんな球が飛んできてもカッコよく打ち返せるというのは、すごく勉強になりました。

――Reiさんが掲げている「NEO-TRAD 」というコンセプトとも共鳴しますよね。トラディショナルなものと現代的なものとのミックスは簡単なことではないですよね。

 近年だとアヴィーチーの楽曲やカントリーやブルーグラスをEDMと組み合わせたり、メーガン・トレイナーのブルーノ・マーズもトラディショナルな音楽と今のサウンドを掛け合わせてますよね。それらをリファレンスにしつつ、自分なりのサウンドを探っていきました。

――今作で一番チャレンジだったことは何でしょうか。

 歌詞です。自分らしい言葉に出会った、というのは成し遂げられたことの一つだと思います。日本語、英語両方に向き合いましたし、今作で皆さんにとって心に残る言葉が一つでもあれば良いなと思っています。

――日本語と英語というところだと、「ORIGINALS」のバランスは面白いです。ほぼ英語の中にワンセクションだけ日本語で書かれていて。

 最初は全編英語の予定で、いま日本語が乗っているブリッジの部分に英語を乗せてみたんですけど、雰囲気を変えたいセクションだったので、ここで日本語が出てきたら耳心地的に驚きがあるかなと思いました。あと日本語の方がメッセージとしても届きやすいと思いました。

嘘のない日々を過ごしていくこと

――最後を締める曲が「my honey pie」なのですが、Reiさんが初めてステージで披露した曲調がビートルズの「Honey Pie」という繋がりもあるみたいなのですが、ビートルズの数ある曲の中で、この曲を選ばれたのが興味深いです。

 厳密にはビートルズの曲で初めてステージで演奏したのが「Honey Pie」でした。今思うと何で「Honey Pie」をカバーしたのかは定かではないんですけど、前知識がなかったのが良かったんだと思います。イントロはゆったり入って途中からテンポが変わるんですけど、それが可愛くて。

――ビートルズの「Honey Pie」と今作「my honey pie」とはどのようにリンクしているんですか。

 いくつかのテーマがあるんですけど、アルバムのタイトルだったり、ビートルズの曲の思い出、そして初心に帰るという意味でガットギターを使っていたり。それで最後にこの「my honey pie」で、アルバム作品としてのあとがきのように締めくくりたいと思いました。

――Reiさんはハニーと誰かを呼んだことは?

 英語だとダーリンとかダッキー、ベイビーとか色々あるんですけど、ハニーと呼んだことはないですね。似たような意味でスパニッシュではパンチャという言葉があるんですけど、それを使ったことはあります(笑)。

――パンチャって可愛い言葉ですよね。そういえばReiさんの曲のタイトルって日本語でもローマ字表記ですが、これは意図があるんですか。

 前のアルバムでも「Arabic Yamato」とか、今作も「matatakuma」とか漢字やカタカナで書きそうですけど確かに英語ですね。英語は見た目が好きなんです。もちろん日本語も好きなんですけど、造形美として英語の馴染みがあるのかもしれません。

――最後に「ORIGINALS」にちなんで、オリジナリティを確立していくには、どんなことを心掛けたら良いと思いますか。

 嘘のない日々を過ごしていくことだと思っています。それは他者に対してもそうですし、自分自身にもなんですけど。そうすることで自然とその人をオリジナルな存在にしていくんじゃないかなと思います。嘘をついていくと帳尻が合わなくなって、歪みがでて本人も苦しくなっていくと思うので。例えば沢山のリンゴが並んでいて一見同じように見えてしまいますが、よく見ると傷がついていたり、同じものはひとつもないんです。他者から見たら同じリンゴという現象が起きているだけなんです。

(おわり)

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村上順一
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