完成報告会に出席した波瑠、安田顕、夏川結衣、岡山天音、武正晴監督(C)桜木紫乃/集英社(C)2020映画「ホテルローヤル」製作委員会

 波瑠、安田顕、夏川結衣、岡山天音、武正晴監督が26日、都内で行われた、映画『ホテルローヤル』(11月13日公開)完成報告会に出席。撮影の秘話を明かした。また、松山ケンイチがビデオメッセージを寄せた。

 直木賞受賞の桜木紫乃さんの同名小説が原作。ホテルローヤル経営者の一人娘・雅代役の波瑠は、直木賞受賞直後に原作を偶然にも読んでおり「自分の知っている作品の台本をいただけて光栄でした」と運命的に感じるも「台本を読んだら雅代のセリフに『……』が多くて。これは下手したら立っているだけの人になるぞと焦り、しっかり役の内面と向き合う作業をしました。緊張感ある撮影になりました」と難役挑戦を口にしていた。

 舞台となるラブホテルのセットは、原作者である桜木氏の実家のラブホテルを忠実に再現。波瑠は「ラブホテルをよく知らないのに、見た瞬間、『うわ! ラブホテルだ!』と。大げさで煌びやかでなんだかちぐはぐで凄く不思議。リアルだと思わせる説得力がありました」と驚き。武監督は「桜木先生からホテルの部屋の配置を聞いたりして作っていきました。また、そこでどんな苦労をされたのかなど働いていた当時の様子を聞いてシナリオにも反映させていきました」とこだわりを明かした。

 雅代の父・大吉役の安田は実年齢よりも上の年齢を演じたが、「僕の親父は室蘭市で溶接工だったので、演じる上では自分の親父を思い浮かべながらやっていました。実際に映画を観たら違和感なく親父でしたね」と照れていた。

 雅代の母・るり子役の夏川は「るり子は少し身勝手でもある母親だったのですが、最後に雅代に告げる『幸せになんなさいよ』という言葉は本当に彼女の心の底からの言葉だったんだなと思います」と印象的なセリフを振り返った。ラブホテルの客で教師・野島亮介役の岡山は「生徒役の伊藤沙莉さんとは同い年ですが、今回は教師と生徒。その関係性を作るのは面白いものになりそうだと思いました」と演技の上で刺激を受けたよう。

 一方、アダルトグッズ製造会社の営業マン・宮川役の松山はビデオレーターで参加。「北海道でのロケは東京での撮影とは違います。場所によって見方も考え方も変わりますし、それが地方ロケのいいところです」と話した。

 また、台本にはなかった方言で演じたことについて「これは内緒なんですけど、僕は青森出身なんですが、地元の言葉でやっちゃったんですよね。でも誰にもツッコまれなかったので、そのまま最後までやりきりました(笑)」と裏話を語った。

 また、波瑠は印象深いシーンについて、ラブホテルの従業員のたまり場になっているボイラー室を挙げ、「冬は暖かくて夏は暑くて、従業員のお茶会の場所でもあります。雅代にとっては安心感を持てる空間。温もりもありました」と懐かしそう。

 安田は「見晴らしのいい部屋で雅代が描く釧路湿原の絵を親父が見ている。そのシーンがあるのとないのとでは、作品のイメージが違ってくると思います」と見どころに挙げていた。

心が満たされる瞬間

 映画の内容にちなんで「心が満たされる瞬間」について聞かれた波瑠は「お腹が満たされると心も満たされる。私はお腹が空くとわかりやすく機嫌が悪くなるタイプ。北海道の撮影ではあれもこれも食べたいと思ったけれど、時間がなくて」と照れ笑い。

 安田は「自粛期間明けにスーパー銭湯に行って、ザバッと風呂に入って、サウナに入って、垢すりもした。最高でした!」とデトックスに歓喜していた。

 夏川は「自粛後に久しぶりに友達と食事をした時に、人と直接話すことがこんなに自分に幸せをもたらしてくれるのかと驚いた」とコミュニケーションの大切さを実感。

 岡山は「僕は匂いフェチで、コインランドリーの前を通ると一気に幸せな気分になる。夜の9時くらいに歩いていると下水道からシャンプーの匂いがする。それが好き」と変わった嗜好をカミングアウトしていた。

 最後に武監督は「出演者が素晴らしい仕事をしてくれて、その結果いい作品になった。観る人それぞれが幸せを見つけるようなきっかけになってくれれば嬉しい」と思いを込めた。

 主演の波瑠は「この映画のラストが好きで、一人の人間が自分の人生を初めて自分で受け入れて、そして家族からも愛されていたと気付く。そんな尊い瞬間が描かれています。雅代の再スタートがとても胸に響きました。キャンペーンで原作者の桜木先生と話していたとき『なにかから積極的に逃げることは、変換するとものすごく前向きなんだ』と仰っていました。その言葉って目から鱗だったのですが、そんなメッセージが込められている映画です」と熱い気持ちを吐露していた。

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