INTERVIEW

前田亜美(元AKB48)

写真で描く自叙伝「妥協したくなかった」


記者:木村武雄

撮影:

掲載:20年10月07日

読了時間:約12分

 元AKB48・前田亜美が、フォトブック『前田亜美1stフォトブック AMI』を発売した。セルフプロデュースのもとで制作された本作には特別な思いが込められている。重圧にもがき苦しみながらも、必死に走ったAKB48時代。支えになった仲間。そうした彼女の半生をフォトブックというカタチで描いた。いわば写真で綴る自叙伝だ。【取材・撮影=木村武雄】

前田亜美

前田亜美

AKB48卒業は後悔していない

――AKB48を卒業してから4年、今年6月には25歳になりました。ここまで早かったですか?

 20歳超えてから一瞬でした。10代の頃は毎年が濃くて時間の流れも遅かったように感じました。

――それは個人として充実していたからですか?

 充実していたというよりかは、やっと落ち着いたという感じです。10代はバタバタだったので、青春らしい青春を過ごしてこなかった感覚。なので、卒業後は時間の流れがゆっくりになって。ゆったり流れているからこそ時間を有意義に使えていた感覚もあって。時間自体が気にならなくなったかもしれないですね。だから気づいたらもう1年が経っていた、という感覚です。

――では心の余裕ができた?

 そうですね。変な事で考えなくなってストレスも感じなくなりました。20歳を迎えてから解放されたというか、何をしても自分の責任だし、1人で生きていける歳にもなって。10代の頃は未成年だし、親の手を借りたりしたけど、当時出来なかった一人旅や、保険に加入するとか(笑)。そういう細かい事も全部自分で出来るようになったので、そういったことも含めて責任感というか、大人になったという余裕が生まれたのかもしれないです。

――AKB48卒業は間違っていなかったと。

 そうですね。むしろ18歳で卒業しようと思っていたので。もともと受かった時から自分の中では20歳まではいようと決めていました。AKBにいたからこそ気付けたものや得たものがたくさんありましたし、ちょうど良い時期に卒業して、1人になって気付いたことも沢山あって、後悔はしていないです。

ファンのよう、茂木ちゃん

――今回の写真集が発売されると発表されたとき、茂木忍さんたちが反応されていましたね。

 今でも応援してくれているんです。ホントすごいですよね! 最初は信じられなかったけど、卒業した後もこうして慕ってくれるのは嬉しいです。茂木ちゃんがAKBに入った時に、スタッフから亜美ちゃんを好きな子が入ってくるよって聞いていて。実際に本人に聞いたら「前田亜美さんが好きなんです」と。ついに私のなりたかった理想像になれているって思ったんです。「憧れています」と言われたかったので嬉しくて。

 でも、言ってくれるのも最初だけだよなと思っていたけど、卒業してからも私の話を公演でしてくれていたりして。一緒に活動する中で憧れの先輩とかは変わっていくはずなのに、茂木ちゃんだけは変わらずに私を「推しています」と言ってくれて。去年の生誕祭もプライベートで見に来てくれて、ファンとして応援してくれていることを身近で感じられる。

 コロナ過で、茂木ちゃんたちとオンライン飲み会をやったんです! そしたら茂木ちゃんが、「ついに亜美さんとオンライン飲み会ができるなんて緊張します」とか言って、握手会みたいになっちゃって(笑)。「なにがあっても応援します」と言ってくれたので、茂木ちゃんには早くお知らせしないと、と思っていました。

――卒業した後も慕ってくれるのは自分にとっては?

 11歳で芸能活動を始めて、その時の目標がそこでした。憧れられる存在になりたかった。必要とされる存在になれるように芸能界で頑張って行きたいと思っていたので、それを身近で感じることが増えたのですごく嬉しくて。私に出会ってなかったら私もAKBにいないですと茂木ちゃんが言ってくれたりとかして、人の人生を変えているんだと思ったときに、やってきてよかったと思いました。

頼り頼られ、まりこ様

――帯では篠田麻里子さんが寄稿していますね。

 可愛がってくださって。当時から、ご飯に連れて行ってくれたり買い物したり。誕生日も好きな物選んでいいよって、結構姉御肌で。一番遠い存在だと思っていたし、当時は最年長と最年少だったので、仲良くなれる訳がないと思っていたけど、可愛がってくれました。さっきも憧れる存在になることが目標だったと話しましたが、憧れの存在が優しく話しかけてくれたりする姿を見て私もそうなりたいと強く思うようになりました。

 家族の話とかはなかなかメンバーにはできないけど、まりこ様はご飯連れていってくれたりしたので話せたし、今でも仲良くさせて頂いています。まりこ様が結婚する時にも教えてくれて「亜美も早く結婚しなよ」「結婚はいいよ」とグイグイきて(笑)。勢いもある先輩なのでそういうのも含めて憧れます(笑)。

――755でもまりこ様に結構リプしていましたね(笑)

 (松井)珠理奈も昔から可愛がっていて、だいたい私か珠理奈がリプしてましたね(笑)。一つ下なので、そのくらいの世代と仲良くすることも多いみたいで。子供っぽいところもあるんです。大事な時は姉御肌で頼れるんですけど、普段は頼ってきたりするのでそれも嬉しいし、いい関係だと思います。

――それを茂木さんに引き継いでもらっていると。

 茂木ちゃんは、私から仲良くしようと行くんですけど「いやいやー」と遠慮してなかなか踏み込めないんです。「緊張して何を話していいか分からない」と言って。ファン目線なんですよ(笑)

――茂木さんがツイッターで写真集を予約したって書いていました。

 そう、予約してくれていて。AKBの時代から私のグッツを持っていたりして。私があげるのに「買いました」って。そういうところも含めて可愛いです。

レスが早いさっしー

――今回の写真集で先輩が反応してくれたとかありますか。

 写真集を出すこともあまり言ってなかったんですけど、さっしーには報告したら「おめでとう」と返してくれました。さっしーとはたまに連絡をとるんですけど、めっちゃレスポンスが早いんですよ(笑)卒業公演のときも、手紙を書いて欲しいと誰にもお願いしていなかったんですけど、さっしーが手紙を書きたいと言ってくれて。

 あの時代の忙しかった時期にいられたのは大きな財産だなって思います。研究生で初めて入ったのがチームAだったんですけど、右も左も分からない状態で、毎日打ち解けられない日々を過ごしていて。そうしたなか、さっしーとかまりこ様が話しかけてくれたんです。卒業公演でさっしーからの手紙で「私は若い後輩を可愛がっているけど、第一号は亜美ちゃんだったので、成長していく姿にさみしい気持ちや、がんばって欲しい気持ちがあって。仕事が決まったらなんでも相談してね」と言ってくれたので、今でもアドバイスが聞きたいときには遠慮なくさっしーに相談しています。

 憧れの先輩なので、学ぶことも多いし、当時から一緒にいたのもあって勉強になっています。私自身、先輩たちに頼っていたことはあまりないんですけど、みんなが気に掛けてくれていたんだろうなって思います。今回のフォトブックも秋元才加ちゃんがいいねしてくれたり、増田有華ちゃんもメッセージくれたり。気にかけてくれていると思えると安心しますね。

 一人になってから不安になることもあるけど、先輩が連絡くれるだけで当時のことを思い出して嬉しくなったり。当時はライバルだったけど、ひとつの目標に向かってたので、それがそれぞれバラバラになってからは、私にも余裕ができて、みんなにも余裕ができて良いカタチになっている。みんなで高め合える仲になっているなとすごく思います。

前田亜美

前田亜美

抱え込む心を切り開いてくれた、AKBは学校

――AKB時代は青春を感じられなかったとお話しされていませんでしたが、そのこと自体が青春とも言えそうですね。

 私の中ではAKBは学校だと思っていました。普通の学校では得られないこともたくさんあるし、仲間にも出会える。握手会で人に会える機会が多くなって、いろいろな人を見て来たので、人を見る目も養えた。そういうことをやりすぎた結果、人の分析力が勝手に身についちゃっていて、その人の特徴をとらえるのが上手くなりました(笑)きっとAKBにいなかったら、出来なかったと思う。

――でもその観察力は役者で役立ちそうですね。

 いろいろな人を見ているからこそ役に活かせると思っています。あの人のようにやればいいんだとかという引き出しにもなるというか。それとAKBにいたことで覚えが早くなったというか。AKB前はダンスも習っていなかったけど8年間やってこれたし、フリVの動画を見て覚えることも多かったので、2回見ただけでほぼ覚えられる。活かせる部分があるので今後もそれを活かしていきたいです。

――先輩から好かれるタイプのような気もしますね。

 頼り方が分からなくて一人で抱え込む方でした。でも、それをまわりの人が察してくれたのか心をオープンにさせてくれて。最初に切り開いてくれたのがさっしーでした。反抗期、お母さんにあたってしまってそんな自分も嫌になって。そんな時に地方組と言われているみんなが仲良くしてくれて家に泊りにいったりして、まわりに支えられていました。人見知りではあるけど、それを破ると人懐っこくなるので、それを知っていくうちに可愛がってくれるのかもしれないです。

 小さい頃から相手の目線に立って考えるというのを意識していましたし、先輩に頼ってばかりじゃなく、認められるように頑張らなくちゃいけないとも思っていて。センターを任された時も人一倍居残り練習していたのを見てくれていた方もいると思うので、そういうのも大事だなと思いました。

もがき苦しんだ、写真集は自叙伝

――当時のインタビューを読み返すと健気で…。重圧に押しつぶされそうになって家を飛び出して公園で泣いたとか…。

 当時は必死でした。正解がないじゃないですか。人より出来ない自覚はあったので、余裕ぶってはいられないし。やる気があるのに、そう見えないと言われたこともあって「何でだろう」って悩んだ時期もありました。練習しなくてもできてしまう子もいるけど、私はできなかったので、深夜から朝まで練習して、学校に行って仕事してという感じで、目の前にあることを片付ける感じでした。それを続けることによって周りが助けてくれたり、応援してくれたので、何をするにも全力で目の前の事に目を向けてやらなきゃいけないという事を学びました。

(C)KADOKAWA PHOTO/MAKINO SHOTA

――今回のフォトブックはそうした半生を振り返るような作品になっています。作るにあたってどういうイメージをされましたか。

 何を表現しようかと考えたときに、写真をただ並べていてもつまらないし、セクシーに撮るのも私じゃないなって思いました。嘘をついている感じも嫌だったので。フォトブックを出すきっかけは、ファンの人から写真集を出してほしいという話があったので、その思いに応えられるような、私らしさを出せたものが出来たらいいなと思って。男性にも女性も見て欲しいので、写真をただ並べるのではなくて全体を通してストーリー性のあるものにしたいと思いました。

 私だけが載っている本というのはなかなか出せないので、どういうふうにできるんだろう、どういう目線なんだろう、見た時にどう思うかなとかを考えながら作りました。ストーリー性を大事にしたかったので、テーマ別に写真とコントラストを変えたり。お花に元気をもらう事も多かったのでお花と一緒に写したいなと思ったり。花言葉にもこだわっていて、テーマに沿って花言葉や花の種類を決めています。

 ぱっと見た感じは、お花が写っているなという感じなんですけど、何回も見ていくうちに、なんでこの花なんだろうと思ってくれたらいいなと思います。お花を通じてメッセージが伝われば。

ストーリー性、テーマに沿ってこだわり

――『孤独』『悲しみ』『愛』『家族』『夢』に分けてエッセイも書かれていますが、写真もそれに沿って作られていますね。例えば『家族』。

 お母さんに向けて赤いカーネーションをいれているんですけど、赤が引き立つように逆の青を入れたりしました。背景にもこだわっているんですよ! カメラマンのマッキーさんと一緒に相談して全部プロデュースさせてもらいました。光や、花とのバランスも。時間によって咲き方が違うのでいろいろ考えました。

――顔の表情も意識?

 はい、テーマ別に合わせて意識しました。エッセイを書いた上で、このエッセイならこの写真にしようと。当時を思い出したりして表情もその時に作るのではなく、役作りみたいに、当時の感情を思い出してそのシーンだけの撮影をしました。

――前日にいろいろ考えた?

 前日に衣装の打ち合わせをして、スケジュールはその日に決めたので、一回一回撮影していったんですけど、そのメイクをしている時に思い出したりしました。メイクも基本的にナチュラルにして、変化を含めてメイクさんにお願いしました。ただ、『孤独』のところだけは赤リップにしたいとお願いしました。孤独を感じている時って表に出したくないというか、ちょっと装っちゃう自分がいたりしたので、そういうのを赤リップで表現できたらいいなって。かっこよく決めているけど、内面は孤独だったりしているというのを入れたかった。

(C)KADOKAWA PHOTO/MAKINO SHOTA

――この時の撮影はそういう感情になって撮られていた?

 そうです。当時を思い出していました。嫌な事とか、あのとき1人だったなとか。なので、全部のシーンが全然違う表情をしているんです。私も見たことがない表情もあって。最初の方は笑顔の写真はあまり入れていないんです。アイドルは笑顔が象徴ですが、笑顔もそんなになく撮影に臨んで、等身大のその時の気持ちをそのまま写真でにじませるようにしました。逆に最後のほうは笑顔がたくさんあるんです。

――それは殻を脱ぐことが出来たという表れ?

 そうですね。このフォトブックで今までを振り返りたいというのがあって。メッセージが伝わったらいいなって。

――確かに飾ってない笑顔ですね。

 これは本当に普段の私。3枚の写真を並べたページがありますが、最初は1枚だったんですけど、私の中で映像っぽくしたかったからコマじゃないですけど、前後の表情も表したくて。それと花だけの写真や背中のカットもお願いしました。

背中で語る

(C)KADOKAWA PHOTO/MAKINO SHOTA

――背中が綺麗ですね。

 背中で伝えるものって結構あったりして。AKBにいた当時、センターも後ろも経験したんですけど、背中で語る先輩が多かった印象です。たかみな(高橋みなみ)もそういう感じでした。背中がカッコいい女性、言わないけど背中で語るみたいな女性になれたらいいなって思っていました。

 ここは『夢』がテーマなのですが前を向いてみんな付いてきてほしいという願いも込めて後ろ姿を入れました。

 自分プロデュースじゃなかったら、きっと前を向いていたり、顔が写っている写真が選ばれるんだろうなと思うけど、私なりに意図があって、写真一枚一枚に意味があります。

 こんなに好きにやっていいのかというぐらいやりました。妥協したくなかったし、私の中で宝物になるし、最初で最後のファストフォトブック。日頃はまあいいやと過ごせるタイプなんですけど、これは絶対まあいいやじゃだめだと思って時間をかけて作りました。

(おわり)

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