西片梨帆「ずっと自分の歌を歌う」異彩放つ新進気鋭のシンガーに迫る
INTERVIEW

西片梨帆

「ずっと自分の歌を歌う」異彩放つ新進気鋭のシンガーに迫る


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:20年09月25日

読了時間:約4分

 シンガーソングライターの西片梨帆が23日、ミニアルバム『彼女がいなければ孤独だった』をリリース。本作は、過去に発表した楽曲を再構築した5曲と未発表最新曲「リリー」を含む全6曲収録のメジャーデビュー作品。西片は2015年に梨帆としての活動を始め、初めて作った曲で「出れんの!?サマソニ」に応募し『SUMMER SONIC 2015』のステージに立つ。2017年、わずか20歳で1stミニアルバム『行けたら行くね』を全国リリース。2019年、活動名義を西片梨帆に変更し、ソングライティングだけでなく、舞台の脚本を手がけたり、自身の書いた小説をZINEにして販売、貸切本屋音楽ライブの企画、執筆活動やデザインなど、彼女独特の活動スタイルで異彩を放っている。透明感のある声と女性の恋愛心情の機微を表現する歌詞で同世代女性の共感を呼んでいるシンガーソングライター西片梨帆にインタビューし、胸中に迫った。【取材=平吉賢治】

西片梨帆と応援してくれる人を繋ぐ言葉

――メジャーデビューとなった現在の心境はいかがでしょうか。

 前向きになったり、これからのことを考えて不安になったり、不思議な気持ちです。今までのリリース前もこんな感じだった気がするので、あんまり変わりはないです。

――音楽を始めるきっかけとなったことは?

 両親が音楽好きで、ライブによく連れて行ってもらったことがきっかけです。

――影響を受けた音楽や、リスペクトするアーティストを教えてください。

 大森靖子さん、石崎ひゅーいさんを尊敬しています。

――今作の『彼女がいなければ孤独だった』というタイトルに込められた想いは?

 よくファンの方からお手紙をもらうのですが、ワンマンライブをしたときにもらったお手紙に、「西片さんがいなければ私は本当に孤独でした」という一文があって、それをずっと覚えていて、今回の作品タイトルを考えた時に、この言葉がすぐに浮かんで、これに決めました。

 制作は、コロナ禍で行われたのですが、私自身、制作期間中に、とても孤独な日々をすごしていて、だけど、ふとタイトルをみたときに、この言葉はファンの人のためでもあるけど、私のためでもあるのだなと救われました。西片梨帆と応援してくれる人を繋ぐ言葉になっていると思います。

――西片さんは「孤独」というものをどう捉えていますか。

 誰かと話していて上手に会話できないとき、近くにいるのに、ずっと遠くて違いを感じること、
それが私の中で孤独に近いです。

――「黒いエレキ」を聴いて、歌詞の言葉から描写される風景が頭に浮かぶ印象を受けました。17歳の頃に書いた曲とのことですが、この楽曲を本作1曲目に収めるにあたっての想いを教えてください。

 メジャーという形ではありますが、私は17歳で歌い始めたときが自分にとってのデビューだと思うので、今まで好きでいてくれたファンの方に意思表示というのでしょうか、「ずっと自分の歌を歌う」という意味で黒いエレキを1曲目にしました。

――「リリー」は最近書かれた楽曲とのことですが、率直にどのような想いを表現した楽曲でしょうか。

 もともとは、ドラマの主題歌に書き下ろした楽曲で、初めて自分以外を主人公に曲を書きました。主人公が明るい女の子の話だったので、潔さを意識して制作しました。

――「片瀬」は自身の転機となった曲とセルフライナーノーツに綴られていましたが、具体的にどのような変化があったのでしょうか。

 東京に引っ越してきて、初めて海を見て綺麗と思えた瞬間があり、今こうして生きている時間が瑞々しく感じられて、それが自分のなかでは大きな変化となりました。

――「元カノの成分」は、<初めて好きになった人>について書かれている歌詞と感じましたが、元恋人への未練について歌った内容というわけではない?

 よく元恋人への未練の楽曲と言われたりもするのですが、誰しも、元恋人だけではなく、家族や友人、そして今の恋人など、その時々で出会っていく人たちの影響を少なからず受けている気がして、それが「成分」だと思い、書いた曲です。

自分らしくあること

『彼女がいなければ孤独だった』ジャケ写

――作詞作曲はどのように進行するのでしょうか。

 アコースティックギターで好きなコードを弾きながら、メロディーと歌詞を同時に作っていく感じです。長年、Gibson J-45を使っています。

――音楽以外で強く関心があるカルチャーなどについて教えてください。

中学生の時から、図書館に行くことが好きだったので、本が好きです。映画も、よく見る方だと思います。あとは、デザインやアートワークを考えたり、写真も、趣味程度ですが、楽しんでいます。ファッションは個性的なものを選びがちです…(笑)。

――それは自身の音楽制作にも影響を及ぼしている?

 全てが自分のアイデンティティに繋がっていると思います。私らしいか、という視点をたぶん無意識に考えて選択しています。

――執筆活動やデザインなど幅広い表現活動をされていますが、西片さんにとって「表現すること」とは?

 音楽もそうですが、私小説という言葉が近いと思います。自分自身を映し出すことです。

――現在、コロナ禍という特殊な期間ですが、西片さんはこの時期をどのように捉えていますか。

 「この時期にリリースは大変だね」と言われることが多いですが、この時期でよかったと思っています。それまでは、穏やかな日々が当たり前になっていて、この状況下で大切な人からの愛情もたくさん感じました。少しずつ返していけるように歌いたいです。

――西片さんはこれからアーティストとして、表現者として、どのようなことを発信し続けたいですか。

 自分らしくあること、それだけです。

(おわり)

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