Hi Cheers!「音楽の本来の素晴らしさを伝えたい」困難だからこそ見えた光
INTERVIEW

Hi Cheers!

「音楽の本来の素晴らしさを伝えたい」困難だからこそ見えた光


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:20年09月21日

読了時間:約10分

 4人組バンドのHi Cheers!が18日、1stデジタルEP『ソーダ水はたいへん気持ちのよいものでした。』をリリース。上野正明(Vo/Gt)、高村風太(Vo/Key)、Chie(Vo/Gt)、月川玲(Vo/Ba)から成る。メンバー全員がボーカルを担当し、4人のコーラスワークと抜群のポップセンスで彩り豊かな楽曲を生み出す彼ら。今作は7月に配信リリースした初音源「ABCがワカラナイ」「恋はケ・セラ・セラ」を含む全6曲収録で、メンバーの個性がしっかりと詰まった作品となった。Hi Cheers!が「名刺がわりとなる作品」と表現する本作を中心に語ってもらいつつ、各楽曲に込められた思いやこだわりのポイント、彼らの今後のビジョンについて聞いた。【取材=平吉賢治】

現状のHi Cheers!が凝縮された1st EP

『ソーダ水はたいへん気持ちのよいものでした。』

――初音源となる1stデジタルシングル「ABCがワカラナイ」リリース時インタビューから約2カ月半が経ちましたが、この間での音楽的な出会いや出来事はありましたか。

高村風太 最近あった出来事としては、PCが熱トラブルで動かなくなって! DAW(デジタル音楽制作システム)のCubase使ったら熱暴走でウンともスンともいわなくなって…結局DAWをアップデートしたら解決しました(笑)。

――大変でしたね(笑)。上野さんの最近の音楽的出会いは?

上野正明 僕はthe band apartさんをさっきまで聴いていました。中学の頃からずっと好きなバンドで、夏の時期になるとよく聴くんです。あと、出会いとしてはフェンダーテレキャスターのシンラインというモデルのギターを買いました。

――Chieさんは?

Chie 最近バンジョーを買いました! 前から欲しくて。上野さんがギターを買っているのを見てたら私も新しい楽器を買いたくなって(笑)。最近聴いているのは悒うつぼさんです。

――ちなみにそのバンジョーは今作で使用している?

Chie 今回は使ってないですけど、今後使っていきたいんです。あと、カリンバという楽器も買いました!

――新たな楽器との出会いがあったのですね。月川さんは?

月川玲 セルジオ・メンデスとかスライ&ザ・ファミリー・ストーンなどをよく聴いていました。家にいてスピーカーで音楽を聴く機会が多かったというのもありまして。空気を震わせる音楽っていいなと思いました。

――月川さんのSNSを拝見したら積極的に活動状況を発信されていましたね。

月川玲 働きアリのように(笑)。SNSが発達している時代なので積極的に使っています。

高村風太 月川がお母さんの絵本の写真をSNSに上げたんですけど、そこに出た言葉が今作のタイトルになっているんです。

――「ソーダ水はたいへん気持ちのよいものでした。」というタイトルは月川さんのお母様の言葉?

高村風太 月川のお母さんが高校生の頃に書いた絵本の言葉なんです。主人公が色んな物に変身していくという内容の絵本なんですけど、その中でソーダ水に変身するという場面の一言が「ソーダ水はたいへん気持ちのよいものでした。」なんです。そのお母さんが当時書いた字体がそのままEPのタイトルのフォントになってるんです。

――深いエピソードのあるタイトルなのですね。作品の内容にも絡んでいる?

高村風太 タイトルは最初、名刺がわりの作品ということで「Hi Cheers!」とバンド名にしようと思っていたんですけど、ジャケット写真と組み合わせたら意外と普通で無難だなと思ったんです。その時たまたま月川がその絵本の写真を上げていて、「これを組み合わせたらどうなるだろう?」という話になり、それがしっくりきたんです。

――なるほど。ところでHi Cheers!は全員ボーカルをとるスタイルですが、キーの設定は難しいのではないでしょうか。

高村風太 けっこう考えています。濃度が美味しいキーがそれぞれ違うので、普通に曲を書いちゃうと誰も美味しく歌えないという結果になってしまうんです。曲を作っている時はあまり気にせずにして、そこから高いキーと低いキーのバランスの修正をしていくという感じです。

――そのポイントから、Hi Cheers!の楽曲は転調が面白いと感じるのかもしれません。

高村風太 転調は肝になってくるんです。繋がりをよくキーを変えてテクニカルな構成になっていたりします。

――その要素もHi Cheers!の魅力の一つだと感じます。今作収録曲「(not) just for show」はどういった着想から制作された楽曲でしょうか。

高村風太 これはとある洋楽のオマージュからですね。2曲あるんですけど、どちらも80年代の楽曲のアレンジ面です。

――この楽曲は高村さんと月川さんがボーカルですが、歌唱面でこだわった点は?

月川玲 あまりしんみり歌う曲ではなかったので、できるだけ張れるように歌いました。ストレートにシンプルにです!

――「親愛なる遠い君へ」の歌詞も月川さんですね。どのような想いを綴ったのでしょうか。

月川玲 中学生の時に亡くなった同級生に手紙を書くというアプローチで書いた曲です。自分の実体験や気持ちを乗せました。

――「恋はケ・セラ・セラ」は、最初にHi Cheers!の楽曲「ABCがワカラナイ」を聴いた時のポップな印象が引き継がれていると感じました。

上野正明 たぶんコーラスワークからそう感じたのかもしれません。デモの段階からコーラスを積みたいと思っていて。ライブで4人で歌うのに適している歌なので、現状のHi Cheers!らしいのかもしれません。

――この楽曲ではさりげなく色んなギタープレイのアプローチが聴けますね。ライトハンド奏法(タッピング奏法=右利きのギタリストが右手で直接ギターの指板上の弦を叩いて弾く奏法)など。

Chie 初めてライトハンド奏法を練習したのはヴァン・ヘイレンでした(笑)。

――そういったハードロック的なプレイも積極的に弾こうと思った?

Chie そんなにやったことはないんですけど、エレキギターでロックを弾くのが好きで色んなロックをカバーしていたことがあったんです。「恋はケ・セラ・セラ」のギターソロは思い切りロックなものにしようということになって、ああいった形のソロを入れました。

――さりげないライトハンドですよね。

Chie そうなんです。尺も短めにして。

――「陳腐なラブソングのせいにして」は今作では意表を突かれた曲というか、インパクトを感じました。

高村風太 今作に並んでいる曲では明らかに違う感じがあると思うんです。

――「ジャンッ!」といった感じの“オケヒ”(オーケストラル・ヒット)的なサウンドが印象的で。

上野正明 これは僕がまずメロディラインなどのリファレンスを持っていった曲なんです。

――着想は上野さんから?

上野正明 そうです。僕が持っていったデモを高村は「温かみのある曲だ」と感じたというんですけど、ちょっと違うところに着地させようとしてああいったアプローチが出たんです。

――Hi Cheers!の楽曲を最初に聴いた時は、これから色んなアプローチをしていくバンドだと感じていたので、まさに新たな楽曲がきたと思いました。本作には「ABCがワカラナイ〜_The 4 Tones Edit〜.」という、「ABCがワカラナイ」の4人ボーカルバージョンも収録されていますね。

上野正明 「ABCがワカラナイ」は、もともと4人で歌う想定で書いた曲だったんです。Aメロは女性陣、Bメロは僕が歌ってサビは風太君が歌うというのが原曲の形と言いますか。ただ、デビュー作というのとデモは風太君1人で歌っていたので、まずは彼1人で歌うのを僕らのデビュー作として出して、「4人でも歌えますよ」というのを本作に入れました。

約30曲の中から厳選された本作6曲へのこだわり

Hi Cheers!

――みなさんが今作で最もこだわった点は?

上野正明 僕は選曲です。30曲くらい候補があったんです。みんなの曲はどれも好きなのでどれもいいなと思いつつ、全体的なバランスを考えて個人的に買いたいなと思うものにという感じで選びました。

――選曲されなかった楽曲にはどのようなテイストのものがあった?

上野正明 宇宙に行っちゃうようなキラキラした曲もあれば、カントリーっぽいのもあったりと色んなテイストのものがありました。

――宇宙からカントリーまでとは…。

上野正明 宇宙空間から地に着いた感じです(笑)。

――高村さんのこだわりのポイントは?

高村風太 ブラスと弦のアレンジ、それと歌詞です! 今までアレンジに引っ張られて歌詞を書いていたんですけど、今回はそれを切り離して歌詞は歌詞として作品になるというものを書きたい気持ちが出てきたんです。最近は歌詞から曲を書くようにもなって、それも切り替えのターニングポイントになったかもしれません。

――歌詞を書く時、文学など本からインスピレーションを受ける時もあるのでしょうか。

高村風太 どちらかというと、日々の生活で閃いたことです。日常で感じたことをメモしたりして、それこそ感じた瞬間をシャッターで切り取るように。

――Hi Cheers!のバンド名らしい作り方ですね。Chieさんの今作でのポイントとなる部分は?

Chie やっぱりギターを頑張ったんですけど、今作では今まで弾かなかったようなこともやったんです。ギター2本の兼ね合いをどうしようかというのもあったし、ギターソロを何回も入れ直したりもしたので、今作はけっこう修行にもなったかなというのもあります。

上野正明 ギター陣は会議をしていたんです。Chieちゃんが弾いたいくつかのトラックを僕に送ってもらって、それを繋げ合わせたり、美味しいどころ取りみたいなことをしたりしていました。

――選曲も30曲から、ギターパートも密に詰めたりと、かなり洗練されたものなのですね。

Chie そうだと思います。あと、私は今作でギターの責任感が持てました。

――月川さんはいかがでしょうか。

月川玲 全部頑張ったつもりなんですけど、特にこだわったポイントは「親愛なる遠い君へ」のダブルベースです。ほぼシンセベースの音が目立っているんですけど、さりげなく所々フレットレスベースを弾いているんです。その方がバンド感が出るんです。シンセベースだけだと打ち込みで終わっちゃうというのが嫌で、わがまま言って入れさせて頂きました。ここはこだわりのポイントです。

同期を使わずライブがしたい

Hi Cheers!

――みなさんの楽器、機材面についてですが、MVでは上野さんはフェンダーのアコースティックギターやストラトキャスター、高村さんはNordのシンセサイザー、月川さんはフェンダーのジャズベース、Chieさんのストラトキャスターは?

Chie あれはmomoseのストラトです。

――フェンダーのアコースティックギターは比較的珍しい気もしますが。

上野正明 珍しいです。僕が高校生の頃、知識もないまま買ったんです。だからあのアコギは前から使っているもので、レコーディングではMartin(マーティン)のアコギを使いました。エレキはChieちゃんのmomoseを含め色んなギターを用意して頂いたんです。セミアコースティックギターを使ったりとか、ストラトも3本使い分けたりして録音しました。

高村風太 僕はソフトシンセを使ったりしました。

――MVで観られる楽器以外にも、今作ではあらゆる機材を使用したのですね。レコーディング自体は順調に進行しましたか。

上野正明 延長とかはしなかったよね?

Chie 手こずったところもあったよ。

高村風太 自分達のプレイより、ブラスと弦の細かいフレーズなど、そっちのレコーディングに時間がかかりました。

――なるほど。ところでライブについてですが、今のところ予定はない(取材時点)ようですが、これからライブをやるにあたってのビジョンについてお伺いします。

上野正明 ドラマーにサポートで入って頂いてという構成になると思います。

高村風太 ライブは音源と全然違うものにしたいと思っています。

Chie 私はライブではパフォーマンス的にわりとおとなしめというところもあるので、元気いっぱいにやりたいです!

月川玲 風太君が言うようにアレンジを変えるというのもそうですし、できればこの4人で完結するライブにしたいです。

高村風太 ライブを観た方が「Hi Cheers!ってこんなことができるんだ」と感じてほしいというか。だから絶対に同期を使わないライブをしたいので、なるべく4人で完成するアレンジにしたいです! ドラマーなどのミュージシャンの方に入って頂けるとしても、絶対に生でやりたいです。そういったアレンジにし直せばいいだけの話なので。

――最後に、今Hi Cheers!にとっての今後の展望は?

上野正明 今回のEPは名刺がわりと言いますか「よろしくお願いします」という気持ちで作ったものなので、ジャンルも1曲1曲違いますし、歌声もそれぞれ違うということが今作でわかっていただけたら嬉しいです。この先は僕らも想像がつかないような新しいこと、お互いがやりたいことを尊重しあって作品が作れたらいいなと思っています。音楽の本来の素晴らしさを伝えて、そういうものを残していきたいと思っています!

(おわり)

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