INTERVIEW

大橋ちっぽけ「自分をさらけ出す」純粋な想い落とし込んだニュースタイル


大橋ちっぽけ

記者:平吉賢治

掲載:20年09月16日

読了時間:約6分

 シンガーソングライターの大橋ちっぽけが16日、ニューミニアルバム『DENIM SHIRT GIRL』をリリース。大橋はUK ロック、オルタナなどに影響を受けネット動画サイトに歌唱投稿を開始。2017年 4月に上京し、2018年3月に開催された「J- WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE ~ YOUNGBLOOD ~」でオープニングアクトとして抜擢。その後、様々イベントライブに出演を重ね、声だけでなくスキルフルなアコースティックギタープレイも注目される。2019年3月にメジャーデビューアルバム『ポピュラーの在り処』を発売。2020年4月にはメジャー第2弾ミニアルバム『LOST BOY』をリリース。そして今作は、ポップなサウンドとエモーショルなリリックでポジティブな7曲を収録。ジャケットは韓国を代表するイラストレーターSHIN MORAE(シンモレ)とコラボレーション。大橋ちっぽけの“ニュースタイル”を落とし込んだ意欲作について話を聞いた。【取材=平吉賢治】

自粛期間で得たもの

――8月16日に実施した「Tokyo Eyes 2」公演の感触はいかがでしたか。

本格的に配信ライブを行うのが初めてで手探りな部分もありましたが、温かいコメントを多くいただけて嬉しかったです。ライブハウスで行われている公演を、お客さんそれぞれが好きな場所、時間で楽しむことができるのは配信ならではだと思います。そういった良さにも気づけて、とても意味のあるライブになりました。

――コロナ禍という特殊な時期ですが、自粛期間中などはどのように過ごされていましたか。

 読書や映画鑑賞、作曲などをしながら自宅で過ごしていました。もともとインドアな人間ではあるのですが、流石に何日も連続で家にいるのはしんどさも感じました。

――その中で得た新たな発見などはありましたか。

 自粛期間全体を通して、普段なかなか会えない人との距離を今一度考えるきっかけになったと思います。少しずつ日常が戻りつつありますが、この自粛期間を経て、会いたいと感じる人が増えたような気がします。そういった感情が作詞に反映された曲もあります。

前作『LOST BOY』と対をなす『DENIM SHIRT GIRL』

『DENIM SHIRT GIRL』

――本作で主軸となる想いは?

 本作は前作「LOST BOY」と対をなすミニアルバムになるのですが、前作が僕の失恋の実体験をコンセプトにした内向的で物悲しい作品になったのに対し、今作はより純粋に、自分が良いと感じる音楽の要素を自身の楽曲に積極的に取り入れて、「こういう音楽が好きだなあ」という想いを大切にしながら制作をした、自分好みのサウンドが集まったミニアルバムになったと思います。歌詞についても、前作よりも自分をさらけ出すような、また違った境地にたどり着いた内容になっているかなと思っています。

――ジャケットデザインを手がけたイラストレーターのSHIN MORAE(シンモレ)さんとは交流がある?

 シンモレさんを知ったのは、今回アルバムのアートワーク全般を担当していただいている東市篤憲さんが行っているオンラインサロンのメンバーさんから紹介されたことがきっかけでした。僕自身が彼女のイラストのタッチや色使いに強く惹かれ、また今作に収録されている曲の一部がK-POPの影響を受けていたことから、韓国のイラストレーターさんというところにもリンクすると感じ、ジャケットデザインを担当していただきました。とても素敵なジャケットになったと思います。

――「僕はロボット」はエレクトロサウンドと清涼感のある大橋さんのボーカルのコントラストが印象的です。どのような流れで制作をおこなったのでしょうか。

 もともとはアコースティックギターを弾きながらサビのフレーズを思いつき、そこから今のサウンドへとアレンジしていくという形で制作しました。思いついた段階でかなりメロディが気に入っていたので、作曲は割とスムーズに進んだと思います。

 恋愛において、相手の気持がわからなくなるという経験を多くの人がすると思います。最初は感情を見せない相手を疑っていた主人公が、最後は自分の方こそ相手を理解する力に欠けていたのではないか、と気づく歌です。すこし後悔のようなものも含まれている曲だと思います。

――「僕はロボット」の他の収録曲からもエレクトロミュージックの要素が印象的と感じましたが、エレクトロミュージックも大橋さんの音楽的ルーツの一つ?

 もともと音楽を始めたきっかけが、ニコニコ動画に歌ってみた動画を投稿したことでした。そのころはボーカロイド楽曲ばかり聴いていたので、エレクトロサウンドには自然と馴染みがあるのかなと思います。エレクトロミュージックには、冷たい温かさというか、独特の心地よさがあるなと思っていて、好きです。最近はシンセサイザーが用いられている洋楽も多く聴くため、影響を受けてそのサウンドを取り込んでいるという側面もあると思います。

――本作で、前作の『LOST BOY』と大きく変化した点はなんでしょうか。

 前作はとにかく内向きで、聴き手を意識していない作品だったと思います。今作はむしろ「こういう音楽って良くない?」と聴き手に提示するようなミニアルバムになったと思います。今の僕の好きな音楽を詰め込んだ作品なので、気に入ってくれたら嬉しいなと思います。

――本作で最も重要視した音楽的要素はなんでしょうか。

 様々なジャンルの要素を詰め込む、というところで、楽曲のアレンジやミックス、歌い方などを曲ごとにガラッと変えることは意識しました。UKロック的なサウンドの曲ではボーカルを歪ませたり、HIP-HOPに影響を受けた曲ではボーカルにオートチューンをかけたり、一方で日本のバンドサウンドに感化された曲では泥臭く力強いボーカルの質感にこだわったりと、声の処理だけでも様々な工夫を楽曲ごとに行いました。その分アルバムを通して聴くと、各曲のジャンルの振れ幅が大きく、オムニバスアルバムのような雰囲気にはなっていますが、音楽をプレイリストで聴く、ストリーミングの時代にも合っていてそれはそれで良いのかなと思っています。とにかくやりたいことをやりきれたので満足しています。

――「僕はロボット」のMVでは小畑優奈(元SKE48)さんが出演されていましたが、撮影の印象は? 

 小畑さんがとても綺麗で映像に映える方で、撮影中のカメラを監督と覗き込んで「可愛いは正義って本当だなあ」とこっそり考えていました。笑 撮影中、一時急な大雨に降られ大変でしたが、MVのラストカットではその雨も味になるような編集をしてくださっていて、とても良い映像になりました。

――ライブ公演やイベントの通常のスタイルでの実施が困難である状況下が続いていますが、これまでとは異なる新たな発信の仕方などの構想などはありますか。

 構想ではないですが、今は自宅から楽曲をより気軽に配信できる環境を作れたら良いなと思っています。人と会わない生活の中で、なんとなく感動することが少なくなってきた気がします。感じた心の動きをすぐ形にできるよう、今まで以上に宅録環境を充実させることが大事なご時世になっているのかな、と思います。

――ちなみに最近ハマっていることは?

 数ヶ月前にゲーム機を買いまして、オンラインゲームをすることにハマっています。このコロナ禍で地元にも帰れず、友人とも長いこと会えていなかったのですが、ゲームを始めたことがきっかけで、そのゲームをプレイしている地元の友人と数年ぶりに会話をすることができました。コロナがなければ逆にもう繋がることもなかったかもしれないと思うと、人と人との距離って複雑だなあと考えさせられます。

――これから新たにチャレンジしたいアプローチはありますか。

 今作でかなり自分の音楽の幅を広げることができたと思うので、今後は周りの反応も意識しながら、より自分らしさや自分にしかないものを模索できたら良いかなと思います。今作は自分の引き出しの中身を公開するようなイメージがあって、それをリスナーに見てもらうことに意味があったかなと思っています。逆に次の作品は、その中から音楽的なコンセプトを一つに絞った作品にするのも良いかもなと考えています。

――最後に読者へのメッセージをお願いします。

 好きな音楽に心を動かされる自分の感性を大切にしながら、より多くの人に自分の音楽が届くように頑張りたいです。自分の好きな音楽を詰め込んだ今作「DENIM SHIRT GIRL」は、1曲でもお気に入りの曲があれば嬉しいなと思っています。ぜひ一度、アルバムを通して聴いていただきたいです。

(おわり)

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