木村カエラが9月5日、キャリア初となるオンラインライブ『KAELA presents on-line LIVE 2020 “NEVERLAND”』を開催した。

 昨年6月にデビュー15周年を迎えた木村カエラは、今年3月には浜辺美波主演のドラマ「アリバイ崩し承ります」の主題歌「時計の針 〜愛してもあなたが遠くなるの〜」を収録したミニアルバム『ZIG ZAG』をリリース。同作の発売記念ライブやアニバーサリーイヤーのフィナーレを飾る「15th Anniversary special LIVE」などを予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大防止に伴い、全企画が中止となり、新たなチャレンジとしてオンラインライブの開催を決定。木村カエラにとっては、昨秋の全国「いちご狩り」ツアー以来、約10ヶ月ぶりのワンマンライブで、モチーフとなったのは “いつまでも子供の気持ちでいられる”ネバーランド。演出振付家のMIKIKOが初参加し、ストーリー性のあるコンセプチュアルなステージを展開した。

木村カエラ(撮影=ヤオタケシ)

 開演時間になると、バンド鳴らすジャングルを思わせるビートに合わせてタイトルロゴが映し出され、ステージではなく客席フロアに尖った耳をした妖精のバレリーナが姿を現した。インディアンの儀式を想起させるワイルドなダンスによってライブハウスは一気にファンタジーの夢の世界へ。やがて、円の中央にピーターパンのようなモスグリーンの衣装に身を包んだカエラが歩み寄り、強張った心と身体を優しくほぐすように「Sun shower」を開放的に歌い上げ、カメラに向かって「こんばんは、村カエラです。みなさん、NEVERLANDにようこそ」とあいさつ。「NEVERLANDは夢の国なので、今日はみなさんにとんでもない夢の国に連れて行きたいと思います」と本公演のコンセプトを明かしたあと、「みなさんに妖精の粉をかけたいと思います、一緒にNEVERLANDに行こう」と語りかけると、画面には金色に輝く妖精の粉が振りかけられた。

 そして、リリース当時、ジャケットで自身がティンカーベルに扮したフェスの鉄板曲「Magic Music」では、「みんなに早く会いたい!」と絶叫し、自分の手で未来を掴む強さを歌った速いパッセージのピアノロック「Super girl」で熱気はさらに上昇。ここで、バンドメンバーを「歳を取らなくなった子供たちことロストボーイ」と紹介。コロナ禍で発売記念イベントが中止なってしまったことにも触れ、離れては合わさる男女のすれ違いをテーマにした「時計の針 〜愛してもあなたが遅くなるの〜」をエモーショナルかつサスペンスフルに歌唱。続く、人間の生活を表した骨太なロックナンバー「BEAT」ではエレキギターをかき鳴らしながら雄叫びを上げてタフな鼓動を響かせ、「NEVERLANDの森のさらに奥の方に潜り込んでみようかな。心に向き合っていく音楽をやろうかな」と語り、アコースティックコーナーへ突入。

 <日々、気持ちを切り替えて頑張っていこう>というメッセージを込めたエールソング「TODAY IS A NEW DAY」はアコギとピアノの伴奏のみで全てのエネルギーを放つかのように高らかに歌い上げ、悩みに打ち克つ人の優しさがこもったヒット曲「リルラ リルハ」では「みんな元気かい?」「変わっていくよ、いろんなことがね」と歌詞にはない言葉も加えながら、柔らかな表情を見せた。

 曇り空を晴らすかのような伸びやかな歌声とリラックスした演奏で温かく親密なムードを作ると、チクタクワニのような時計の針を刻む音に続き、鐘の音が鳴り響き、場面は屋外のプールサイドへと移動。スペシャルゲストとしてラッパーのBIMが登場し、最新ミニアルバムのタイトル曲「ZIG ZAG feat. BIM」を二人で初披露。自由自在に動き回りながら明るく心地よい独特のフロウで雨雲を吹き飛ばし、最後は二人で背中合わせになり、ラッパーらしいポーズを決めた。パフォーマンスを終えたBIMは「今日はキレキレですね。夢が叶う島にご招待いただきましてありがとうございました」と感謝の気持ちを伝え、「最後まで駆け抜けてください」とエールを送った。

木村カエラ&BIM(撮影=ヤオタケシ)

 BIMを「ありがとう!バイバイ」と見送ったカエラは再びフロアに戻り、妖精と共にスパイダーのように踊り、愛情が蜘蛛の巣のように伝播する英語歌詞のアブストラクトなラウドロック「8EIGHT8」から、ライブでお馴染みの「TREE CLIMBERS」「Circle」と“森”をイメージした3曲を立て続けにプレイ。デビュー15周年を前に自身が作詞作曲を手掛けた「いちご」はドラムレスのアコースティックバージョンのアレンジで披露。フロアにペタッと座り、優しく美しく生きたいという決意にも似た願いを絵本の読み聞かせのように届けた。

 そして、この日のタイトルに紐づいたユニークな展開のポストロックナンバー「never land」で、ラウドでカオティックな爆音を鳴り響くと、目の前の風景は妖精が住むNEVERLANDからメインランドへと帰還。

 最後のMCでカエラは、「最近、焚き火と心が似てるなと感じてて。焚き火を見ると心が落ち着くし、人が寄ってくるものでもあるでしょ。でも、雨が降ると消えちゃうし、薪が燃えて尽きてしまうと消えてしまう。心も同じことで、その火が消えないように守ってあげないといけないし、火を起こすための新しい空気、風も必要だと思う。今日は、私のライブがみんなにとっての新しい風になって、みんなの心の中の火がぼうっと燃えるようイメージで作ってきました。今日のライブを見てくれた人の心の隙間に新しい風が入って、火が大きくなって、あったかくなって、自分自身も周りの人も温かくできる明日になればいいなと願ってます。心の火が消えてしまわないように大事にしよう」というメッセージを送った。

 そして、「そろそろみんなはおやすみの時間につく頃なんだね。みんなが今日、寝るときに素敵な夢が見れるように、みんなの夢の中に星の種を撒いてあげましょう」と語りかけ、人の命の大切さをテーマにしたファンキーなフューチャーディスコ「ホシノタネ」では画面ごしにクラップを誘発。妖精ダンサーとクラシカルなロボットダンスも繰り出し、最後に、ウエディングソングの定番曲となった「Butterfly」で愛情という優しさを存分に表現。

 「皆さん、今日はどうもありがとうございました。届いたかな? 私の願い。今日はぐっすり寝て、明日からまたがんばれますように」という別れの言葉のあと、画面には「Fin」という文字が浮かび上がり、約1時間半に及んだ“おはなし”のような配信ライブは終了。笑顔と涙、喜びと悲しみ、リアルとファンタジーが交錯した構成で視聴者の想像力を掻き立てながら、明日への希望や勇気を与えてくれるステージとなっていた。

 なお、本公演の模様は9月6日10:00~9月11日18:00までアーカイブで視聴することができる。

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