INTERVIEW

立花恵理、緊張と感動の映画初出演「恐れず飛び込んでいきたい」


立花恵理

記者:鴇田 崇

掲載:20年09月05日

読了時間:約6分

 女優・モデルとして活躍する立花恵理が初出演を飾った映画、『人数の町』が公開となった。本作は若手実力派・中村倫也の主演最新作で、立花は中村演じる主人公・蒼山に「町」のルールを教える謎の美女役として、存在感ある好演を披露している。一筋縄ではいかない新感覚のディストピア・ミステリーという異質の世界観の中で、観る者の視線を集める。

 立花は、2013年開催の「ViVi30周年記念専属モデルオーディション」に出場してグランプリを獲得、同年「ViVi」の専属モデルとして活動を始めるが、女優としての活動はここ最近になってからだ。「2年半くらい前までは思いが足りていなかったのですが、だんだんと心から演技をする人の魅力に気づいた時に、その表現を自分でも挑戦してみたいと思うようになったんです」と演技に覚醒した彼女に、初出演の映画のこと、好きな音楽のこと、今の心境などを聞いた。【取材・撮影=鴇田崇】

映画初出演、緊張と感動

――今回の作品は一風変わった作風だと思いますが、完成した映画を観ていかがでしたでしょうか?

 実は映画の出演が初めてだったので、撮影した映像を時間をおいて観ることも初めてで、観る前はすごく緊張しました。鑑賞中もドキドキしながら観ていましたが、自分が演じていた時の記憶と、その場その場で目撃していた場面とが、すべてつながった映像を観て本当に感動しました。

――自分が出ていないシーンは、初めて観るわけですからね。

 自分たち演じる側が作ったものに製作の方たちが手を加えていった最終形を観たら、みんなで作ったものだなと実感ができて、うれしくて感動しました。早くみなさんに観てもらいたいという気持ちにもなりました。

――演じられた末永緑という女性について教えてください。

 緑は、映画をご覧になるとわかると思うのですが、けっこうぶっ飛んでいる感じです。心が壊れているのですが、人数の町という世界が異様で独特なので、そこに完全にマッチしている人です。全体的に人数の町にいる人たちは個性的ではあるのですが、自分の意思みたいなものを失っちゃっているのかなと思っていて、その上で町に依存して生きているんです。

――思考停止などという表現もありますが、自分を見失った果ての人々ですよね。

 彼女もそのひとりであり、現実の世界で自分というものを持って生きられなかったから、拠りどころがなくて。あの町に流れ着いたと思うんです。この映画の中では気が強そうにみえますが本当は弱い人。人間みな誰しも弱いところを持っていると思うので、弱いことが悪いこととは思わないのですが、自分自身を肯定できなかった、自分を持つことができなくて流れ着いた人なのかなと思っています。

座長・中村倫也の印象

――無理やりコロナ禍に結びつける気はないのですが、見失った結果のやるせない世界が、コロナ禍の今の時代に妙に響くものを感じました。

 最初に観た時は、ここの世界が近いようで遠くに感じでいたのですが、でも世の中がいろいろと変わって来た今、本当に近い世界かも知れないと、すごく思いました。今のこの時代に観るとすごく響くのではと思いました。

――映画はすでに完成していたので、観る側の受け止め方が変わるってことですよね。

 コロナの自粛期間は初めてのことで大変な経験でしたけど、でもそういう期間がある意味では必要だったというか、それでこそ『人数の町』についても新しい角度から観られるようになったかなとは思います。

――主演で座長の中村倫也さんとの共演の感想はいかがでしたか?

 無理やりムードを作ろうとするタイプの方ではなくて、本当に飾らない感じの方で、自然とその場を癒してしまうような素敵な方でした。気張ったところがなく、誰にでも自然に声をかけてくださったり。差し入れもすごく華やかなものではなくて、アイマスクなどをくださって。みんな疲れているだろうからって、段ボールで持ってきてくださいました。

――本当にご本人が選んでいそうです。

 そうですね。わたしは映像の現場の経験は少ないのですが、アイマスクって個性的な気がするなとは思いました。みんなのことを考えてそれを選んでくれたんだなって。飾らない優しさがある方だなって思いました。

立花恵理

音楽への想い

――ところで日頃、音楽を聴くことはありますか?

 大好きです。幅広く聴いています。洋楽だとR&B、ポップス、ヒップホップ、ロックも。日本の音楽だと80年代の曲から2000年代まで聴きますね。

――80年代って、生まれてないですよね?

 そうですね。でも中森明菜さん、山口百恵さん、松田聖子さん、ジューシィ・フルーツさん、門あさ美さん、中原めいこさん……父の影響です。K-POPも父がきっかけで聴くようになり、BoAさんが大好きなんです。

――最近プチブームでもありますが、昭和の歌謡曲はどこが魅力でしょうか?

 女性のか弱さだけでなく、強さも歌っている曲が多いと思うのですが、その感じがたぶん好きなんだと思います。

――明菜さんの「イライラするわ」や、百恵さんの「馬鹿にしないでよ」など名フレーズもありますよね。

 そうなんですよね(笑)。そういうことを言っちゃう女の人、その強気な感じが大好きなんです。海外ではビヨンセ。辛いときは、ビヨンセの「ラン・ザ・ワールド」を聴くと、アドレナリンが出ます。MVを観た時に感動しました。あの曲は、わたしのエネルギーの源です。

――さて、昨年のドラマ出演も好評でしたが、俳優業へ力を入れられて仕事の意識に変化は?

 ありがとうございます。いろいろ経験させていただいて、すごく変わりました。撮影中は必死だったので、そのこと意外に頭は働かなかったですが、コロナで自粛期間に入った時に当時の経験を頭の中で整理したりして見えてくるものも確かにありました。

――もともと女優業を?

 それはまったくなかったんです。周囲は進めてくれましたが、わたしはモデルがやりたくて芸能界に入ったので、まったく興味を示さなかったんです。映画を観たりして女優さんも俳優さんも素敵だなと思ってはいましたが、モデルを目指して入ったので、わたしは違うと思っていました。でもある時、ひととおりモデルの仕事をやり切った時に、もっと先の表現をやってみたいと思うようになったんです。

――先の表現があることに気づいたのですね。

 それまでは周囲に言われたから、やらなくちゃという意識に持っていこうとしたこともあるけれど、そういう時って顔合わせに行っても、真剣に作っている人が見ると伝わるんですよ。この子は本気でやろうとしていないって。自分でもやろうやろうと思っていたつもりでも、心底やりたいという気持ちになるまでダメなんですよね。2年半くらい前までは思いが足りていなかったのですが、だんだんと心から演技をする人の魅力に気づいた時に、その表現を自分でも挑戦してみたいと思うようになったんです。

立花恵理

――今後、どのような活動をしたいですか?

 日本の映画も良いですが、韓国映画が好きでよく観ています。これから韓国で活動していきたいとか、そういうことではないのですが、いろいろな場所に出て行って学んだことを、日本に持って帰ってきても面白そうだなって思っています。あまり恐れずに、いろいろなことに飛び込んでみたいですね。

――目標とする人は?

 韓国映画界のペ・ドゥナさん、シム・ウンギョンさんみたいに国を超えて、映画や演技を通して何かを伝える人は素敵だなと思います。まだまだ勉強しなくてはいけないことがたくさんあるのですが、舞台も好きなのでやってみたいと思います。やりたいことがたくさんあります。

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