INTERVIEW

Dream Shizuka

夢舞台で再認識「殻を破りたい自分」 自己開拓に期待感


記者:鴇田 崇

撮影:

掲載:20年08月30日

読了時間:約9分

 1983年公開、世界中で1億ドル以上の大ヒットを記録した伝説的なアメリカ映画『フラッシュダンス』が満を持して舞台化され、2020年9月12日~26日の日本青年館ホールを皮切りに、名古屋・大阪で日本初演のミュージカルとして上演する。オリジナル映画版の脚本・原案であるトム・へドリーを舞台版脚本に迎え、映画版の遺伝子を受け継ぎながら、よりダンスと音楽をフィーチャーした誰もが楽しめるミュージカルとして、昭和・平成を超え、令和の日本に再登場する。

 夢見る少女アレックスの夢・友情・恋の物語は、「地球ゴージャス」公演をはじめ、近年は『ラディアント・ベイビー~キース・ヘリングの生涯~』『キンキーブーツ』など、翻訳作品の演出での評価も高い岸谷五朗が演出を担当。今回の日本初演では主演のプロダンサーを夢見る少女アレックス役を、宝塚退団後初の単独主演作となる愛希れいかが務め、そのアレックスの親友で“ハリーズ”のダンサー、キキ役を、2017年にE-girlsを卒業、現在はソロで活動中のDream Shizukaが熱演する。

 今回実施したインタビューでは、もともとミュージカルへのあこがれがあったことを明かすとともに、作品が投げかけるメッセージにも共感したというDream Shizuka。「暗い状況ではありますが、自分自身も作品を通して元気をもらっていますし、夢や抜け出した後に楽しいことが待っていると感じてもらえたら嬉しいです」と気合十分で送り出すミュージカル『フラッシュダンス』について、Dream Shizukaに話を聞いた。【取材=鴇田崇】

キキ役を演じるShizuka

自分が知らない世界に行ってみたい

――今回のミュージカルへの出演が決まった時、率直にいかがでしたでしょうか?

 いつかミュージカルはトライしてみたいと思っていたひとつの夢だったので、参加させていただけることは、素直にうれしかったです。

――いつくらいから夢として掲げていたのですか?

 これまでいろいろなグループに属して活動させていただくなかで、ミュージカルに触れる機会も何度かありました。その時に自分自身が初めて歌というものに触れた時と同じような感覚になったというか、すごく楽しいわくわくする、自分が知らない世界に行ってみたいなと思うような感覚があり、きっかけになっています。

――表現の方法の幅が広がりますよね。

 表現することが根本的に好きなので、そういう意味ではもろもろの活動を通して触れたことで、これほど楽しい世界がまだあるのかということを知り、いつかはやってみたいなと、心の片隅にずっとあったような感じですね。

――ミュージカルならではの醍醐味とは、具体的にはどういう感じでしょうか?

 わたしが醍醐味を語るのは恐れ多いことではあるのですが、非日常に飛び込める楽しみはあると思いますし、普段生活していると自分自身の生活を生きるだけですよね。でもお芝居やミュージカルは別の人の人生を生きることができ、普段だとなかなか言えないような感情を爆発させたりすることもできるんです。なによりもお客さんに生で観ていただけることも、醍醐味ではあると思います。録画したものを画面を通して観るのではなく、その時その場所で生きている自分自身の感情を観ていただけることがすごく面白いし、正解がないですよね。毎回気持ちも違うので、そういう意味では、それが面白味なのかなと思いますね。

――なるほど。ミュージカルの場合、個人的な気持ちも乗りやすいですか?

 わたし個人の感情というよりかは、そのミュージカルで生きている役がほかの役の人と会話することで、意味をなしてくるんです。毎回同じやり取りではないわけで、毎回ちょっとずつ感情が変化していくなかで、非日常ではあるのですが、そこでもリアルな日常があるみたいな感覚。そこは面白いですね。どう来るかわからないし、どう転ぶか読めないので、それも日常なんです。いろいろな人生を生きられる感覚。それがお客さんに生で観ていただける喜びはありますよね。

Dream Shizuka

Dream Shizuka

――もともとはクラシカルで有名な作品ですが、今回のステージはどうなりそうでしょうか?

 わたし自身、映画は当時Dreamのメンバーにすすめられて観たことがきっかけだったのですが、自分が生まれた80年代がこれほどまでにキラキラしていてカッコよくて、すごく新しい世界だったのかとびっくりしました。それが今回ミュージカルとなって日本で初めて上演となることに、自分自身も不思議な縁を感じています。わたしがミュージカルに本格的にチャレンジさせていただく作品が「フラッシュダンス」ということもすごくうれしいですし、きっといろいろな縁がめぐりめぐってきたのかなと思うので、そういう意味では、この作品が持っている夢への真っすぐな気持ちや、愛情、夢を目指す過程での挫折、不安、葛藤など、わたし自身が夢を叶えるために頑張っている今の気持ちを上手くリンクさせながら、こういう時だからこそみなさんにも観てほしい作品にもなるのかなと思っています。また、この作品の使命・役割が、このご時世だからこそ強く出るのではないかなと思っています。

――当時、メンバーはなぜ勧めてくれたのでしょうか?

 すすめてくれた彼女自身がその年代の楽曲や映画が大好きで、もともと詳しいんですよね。特に出会った頃から一番のおすすめの映画として、彼女は「フラッシュダンス」を挙げていたんです。とにかくカッコいいから観て、と。キュートだけれど、女子の強さもあり、それがきっかけで観たんです。

――今回のご出演はご報告されましたか?

 しました。すごく喜んでくれました。「観に行くわー!」と(笑)。

心細くなった時、当時の曲を聴く

――先ほど「わたし自身が夢を叶えるために頑張っている」と言われていましたが、それは具体的にはどういうことでしょうか?

 E-girlsを卒業して時間は経ちましたが、一歩目も踏み出していない状況かなと思っていて、いろいろなことに挑戦したいんです。それこそミュージカルに挑戦したいと思っていても、一歩踏み出す勇気が持てなかったり、もやもやした世界の中で葛藤している状況とすごくリンクしている部分があったので、そういう意味ではこの世界に暮らす人たちと同様、一歩踏み出すきっかけを探している感じがあるんです。自分自身もこの作品に出ることでようやく一歩を踏み出せるというか、今後も新しい世界にちゃんと踏み出せるようになりたいなと思っています。

――ソロになって約一年半、朗読劇などいろいろな活動をされていたので、躊躇しているような葛藤があることまではわからなかったです。

 そうですね。意外とあるんですよ(笑)。人知れず。

――いままでチャンスはあったけれども、勇気がなくて踏み出せなかったというパターンもあったのですか?

 というよりは、わたしはE-girlsという大きな存在に、いろいろな夢を叶えてもらっていたんです。チームで大きなひとつの夢をつかみに行っていたので、個人になった時にどれだけ頑張れるのか、とは思っていたんですよね。今までグループだったからこそ苦手な部分を補ってくれていたり、サポートし合っていた関係性の中でやっていましたが、ソロになると誰かに助けを求めることができない。自分自身で全部やっていかないといけないし、そこがネックでした。今までやってこなかったというか、やれていなかったことは、自分の思いを伝えることも含めて、やっていかないといけない。二の足を踏んでいるというよりかは、勇気を出して積極的に作っていかなければいけないということですね。

Dream Shizuka

Dream Shizuka

――頑張りたい時に当時の曲を聴いたりもしますか?

 そうですね。心細くなった時、当時の曲を聴く気持ちはすごくわかります。自分がやってきたことを振り返ることは、それだけやってきたという自信を再確認すること。自分自身が目の前の壁にぶち当たった時に忘れがちになってしまうので、そういう意味では今までの自分の成果を振り返って自信にするということは、大いにあることだと思います。

 わたしの場合、Dreamが解散となり、もう限界かなと思った時に、事務所の先輩でEXILEのATSUSHIさんが「希望の光」という曲を書いてくださり、自分たちにプレゼントしてくださったのですが、心が折れそうな時は必ず聴いています。今でも聴きます。もう一歩頑張ってみようと、最後の力をふり絞れるような曲ですね。

自分の中にある「殻を破りたい自分」

――演出の岸谷五朗さんからは、演じられるキャラクターについて、どういうリクエストがありましたか?

 わたしが演じるキキという女の子は主人公のアレックスの親友で、同じ職場で働く4人組のダンサー仲間なんです。岸谷さんは4人バラバラであってほしいと仰っていて、バランスは悪いけれど4人が集まるとまとまりがあるようなチームになってほしいと言われていました。

 最初のアプローチは素のわたしに近いというか、クールで強い感じのほうがいいのかなと思っていたのですが、そうじゃなくてもっと周囲を巻き込み、みんなを明るくまとめていくような感じにしましょうと。その意味では普段のわたしとは正反対の、思い切り明るく弾けているキャラクターを頑張って探っているところです。

――となると、ファンの方たちが初めて観るような感じですよね?

 そうですね。今まではクールで強いというイメージが強いので、そういう意味ではびっくりする方も多いと思いますね。

――そうだからこそ、先ほど「一歩踏み出す勇気がない」みたいな本音を言われた時も驚いたのですが、いろいろと新しいDream Shizukaが観られそうですね。

 (笑)。稽古場は恥をかく場所ですという言葉も初日にいただいているので、そういう意味ではやるからには思い切りふりきってやってみようかなと。自分自身でもどこまでやれるのかなと挑戦でもありますし、観てくださる方たちが想像とは違うわたしを観て、全然違うなと感じたら勝ちかなと思っているので、やりきっていきたいと思います。

――自分の殻を破ることってなかなか難しいことだと思いますが、これを仕事を通じて実現できることは、すごく素敵なことですよね。

 本当にありがたいですね。稽古場の方々はみなさんプロで、経験豊富な方々なのですが、その方々でさえも毎回挑戦をされているんです。だから自分ももっとやっていい、できないからと言って恥ずかしがっている場合ではないなと思わせてくれる環境です。このような機会を頂けたことは、自分の中に殻を破りたい自分がいるからだとも思うんです。まったくなかったわけではないと思うし、新しい挑戦が楽しいと思えているということは、そういう自分になりたいと思っていたのかも知れないとも思うんです。そういう意味で、ミュージカルに対して、楽しそうと最初に思ったのかも知れないですよね。だからみなさんが思っているわたしのイメージを崩していけることも、楽しみなんです。とことん自分自身の開拓にも役立てて、それを今後音楽活動など、いろいろなアプローチにつなげていければなと思っています。

Dream Shizuka

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――最後になりますが、『フラッシュダンス』を楽しみに待っている方々へメッセージをお願いします。

 このミュージカルを、この時代に上演できることは、すごくありがたいことですし、キャストのみなさんスタッフのみなさんも日々、頑張っています。新しい稽古のやり方や、いろいろな制限はあるのですが、その中でもひとつひとつ積み上げて、みんなでチームワークを高めて、みなさんに楽しんでほしくて日々稽古に励んでいます。この状況の中で足を運んで観に来てくださる方々には、幕が上がって観に来てよかったなと思ってほしいです。暗い状況ではありますが、自分自身も作品を通して元気をもらっていますし、夢や抜け出した後に楽しいことが待っていると感じてもらえたら嬉しいです。そして、少しでも元気が出る作品になればいいなと思っています。

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