INTERVIEW

鈴木みのり「上質な歌を届けたい」音楽に対する純粋な想いの先


鈴木みのり

記者:榑林史章

掲載:20年08月25日

読了時間:約11分

 声優で歌手の鈴木みのりが8月26日、2ndアルバム『上ミノ』をリリース。2018年1月に三原康司(フレデリック)が作詞作曲したシングル「FEELING AROUND」でソロ歌手デビュー。これまでに坂本真綾、DANCE☆MAN、コモリタミノル、南佳孝、宮川弾など多彩なクリーターを迎えて楽曲を歌ってきた彼女。今作には、北川勝利をはじめ、sasakure.UK、堂島孝平、h-wonder、照井順政、kz、やなぎなぎらを迎え、自らも4曲で作詞を担当した。「上質なみのりが詰まったアルバム」との意味を込めて『上ミノ』と名付けられた今作について、参加アーティストへの思いや制作エピソードを聞いた。【取材=榑林史章】

「最果てのハロー」は難しすぎて頭を抱えました

『上ミノ』タレ盤(通常盤)ジャケ写

――『上ミノ』というタイトルに、周りはどんな反応でしたか?

 「上質なみのり」という意味で付けさせていただいたのですが、それを知らずに聞いた人からは、「面白いタイトルを付けたね」と言われることが多いですね。配信番組の『マクロスがとまらない』でご一緒したKENNさんからも「また面白いね」と言って頂いて。

――1stアルバム『見る前に飛べ!』に収録の「ヘンなことがしたい!」のMVで、坊主姿になった鈴木さんだからこそ許されるタイトルですね。

 坊主を許された時点で、けっこう何をやっても許されるんじゃないかと(笑)。

――もともとお肉が、好きなのは好きなんですよね。

 はい。ひとり焼き肉も平気ですし。

――好きな部位は、やはりミノですか?

 実は飲み込むタイミングが分からなくて、ホルモン系はあまり食べたことがなかったんですけど、今作の<しお盤>(初回限定盤)のBlu-ray Discに収録した『出張版みのりんご~映える「肉パフェ」作って食べてみた!~』という企画で、上ミノを食べさせていただいて本当に美味しかったです。好きな部位になりました。

――「肉パフェ」は肉好き憧れのアレですね!

 私が想像していたのは、焼いたお肉とライスが層になっているようなものだったんですけど、思っていた以上におしゃれな見た目で、「こんな肉パフェが存在するのか!」と驚きました。まさしくインスタ映えです。撮影が自粛期間明けで久しぶりの外食だったし、美味しいお肉を食べるのも久しぶりだったので、喜びが大爆発しました。

――鈴木さんはYouTubeでもいろんな企画をやられていますが、動画を撮る上でこだわっているところは?

 YouTuberさんの動画を見て、親近感に溢れて、まるで友達のような感覚になれるところも魅力のひとつだと思って。普段の私らしい感じで、家にいるような等身大を心がけました。ぜひ見ていただけたら嬉しいです。

――そんな<しお盤>も楽しみなアルバム『上ミノ』ですが、オープニングナンバーの「Now Is The Time!」は、作詞を鈴木さんご自身で、作曲・編曲は北川勝利さんという曲です。

 今作は、今までも楽曲を提供していただいてきた北川勝利さんに、全体のプロデュースをしていただきました。北川さんは、私がソロデビューする前からワルキューレの曲も書いてくださったり、アルバム『見る前に飛べ!』でも表題曲を作曲・編曲していただくなど、私自身いちばん影響を受けている作家さんなので、今回プロデュースでも参加していただけてとても心強かったです。

――ジャズ調のサウンドで、まるでミュージカルのような華やかさがある曲ですね。

 北川さんを交えて「今回はどの曲もライブ映えするものにしたい」と相談して、「Now Is The Time!」はアルバムの1曲目を飾るにふさわしい、まさしくショーの幕開けといった雰囲気の曲を作っていただきました。歌詞は私が作詞をさせていただいたのですが、ショーというものを、ライブだけをイメージするのではなく、声優としての自分とも重ねた広い意味で捉えて書き始めました。ライブで、ファンのみんなとコール&レスポンスで盛り上がれるようにと付けてくださったパートもあって、ライブ感覚でレコーディングすることができました。

――今作は全体に、コーラスの入った曲が多い印象でした。コーラスやハモリも鈴木さん自身がほとんど歌っていますが、コーラス録りが大変だった曲もありましたか?

 楽曲によってコーラスがとんでもなく難しい曲があって。例えばsasakure.UKさんが作ってくださった「最果てのハロー」は、ただでさえ本線(主旋律)のメロディが難しいのに、コーラスも音程を取るのが難しくて。私は、コーラスは前日までに覚えてくるのではなく、本線を録り終えた後にその場で聴いて覚えて録るというやり方なんですけど、「最果てのハロー」は難しすぎて思わず頭を抱えました。sora tob sakanaのプロデュースなどを手がけている照井順政さんに提供していただいた、「茜空、私がいた街」もコーラスがすごく難しくて、最初に聴いた時は絶望しました(笑)!

――「最果てのハロー」はエレクトロな雰囲気の格好いいバンドサウンドで、sasakure.UKさん自身がメンバーでもある有形ランペイジさんが編曲・演奏を担当しています。

 sasakure.UKさんは、『見る前に飛べ!』に収録の「わたしはわたしになりたい」を作曲・編曲してくださって、その時はsasakure.UKさん個人の色が濃く出た可愛らしいサウンドだったんですけど、今回は有形ランペイジさん寄りのよりバンドチックなサウンドで作ってくださって。<WO WO WO>と歌うところもあって、スポーツ観戦をする時のような盛り上がり感や、スケールの大きさを感じていただけると思います。

――歌詞も面白いなと思いました。

 sasakure.UKさんの曲は、文字の並べ方もとても印象的なので、ぜひ歌詞カードも見て欲しいです。言葉も急に敬語になったりとか、「独特な感性だな」と思わせるところがあります。「最果てのハロー」も物語になっていて、私が暗闇の中にいたんだけど、陽が昇って新しい世界が見えた瞬間、別の空間で同じような体験をしていた人がいて、その人とやっと巡り合って前に進む…というストーリーがあるとsasakure.UKさんがおっしゃっていました。

――ラブストーリー的な?

 ラブストーリーにも受け取れますし、私とファンの方との関係で次のライブでまた巡り会うという意味でも成立するので、ライブで歌う時がすごく楽しみです。

前より成長した自分の歌を思い切り歌いたい

『上ミノ』しお盤(初回限定盤)ジャケ写

――「わからないのよBABY」も、鈴木さんご自身が作詞を担当していて。<モ・ヤ・モ・ヤ_(:3」z)_>という、絵文字の表記があって面白いです。

 曲がとてもポップで可愛らしいものだったので、歌詞もそういうものが書けたら良いなと思って書きました。少女マンガと妄想が大好きなので、恋の歌の作詞は楽しいですね。歌も全体的に「もう~、あなたったら!」とちょっと拗ねているようなテンションで、口をとがらせているようなイメージで歌いました。

 <_(:3」z)_>の絵文字は、北川さんからも「どういう意味があるの?」と聞かれたんですけど、特に意味を込めたわけではなくて。単に「可愛いしモヤモヤしてるっぽくなるかな~?」と思って付けたんですけど、あらためて意味を聞かれた時は、日記を読まれたみたいな感覚になって少し恥ずかしかったです(笑)。

――編曲には、新しい地図への楽曲提供などでも知られる10代のクリエイター=SASUKEさんが参加されていて。

 エレクトロニックでピコピコしたサウンドだったので、北川さんにしては珍しいなと思っていたら、SASUKEさんが共作で編曲に加わってくださっていて。まだ17歳で、私の音楽活動で自分より年下の方に参加してもらうのは初めてなので「私も頑張らなきゃな!」って思いました。

――「まいっちゃう」もポップな恋の歌で、堂島孝平さんの作詞・作曲・編曲です。

 堂島さんには、今までに「ちいさなみのり」と「心が、青い。」を提供していただいたのですが、2曲ともミディアムバラードだったので、堂島さんの明るい曲も歌ってみたいと思っていて。今回はライブをイメージして、堂島さんの「き、ぜ、つ、し、ちゃ、う」のような明るくポップな曲を書いてほしいと、お願いをして作っていただきました。

――堂島さんの曲から感じることは?

 初めて曲をいただいた時から感じていることですけど、すごく歌いやすくて、ライブでも自分の気持ちいいところで伸び伸びと歌えているなという感覚になります。きっと堂島さんご自身が、シンガーソングライターをやっていらっしゃるからかなと思いますね。

――堂島さんのファンになったきっかけは何だったんですか?

 デビュー前に、元Cymbalsの矢野博康さんが主催した『YANO MUSIC FESTIVAL 2014』を見に行ったことがあって。私が行った日は、坂本真綾さん、Negiccoさん、秦 基博さん、堀込泰行さんが出ていらして、トリを務めていたのが堂島さんでした。堂島さんが歌っていたアニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』のオープニングテーマ「葛飾ラプソディー」は聴いたことがあったんですけど、ライブを初めて見て「こんなに会場が一体になる楽しいライブをされる方がいらっしゃるんだ!」と、ひと目で虜になってしまい、ライブの物販でCDを買って帰ったほどです。

――鈴木さんがデビューした後の接点は?

 ワルキューレの「涙目爆発音」を作詞作曲していただいたのですが、カナメ、レイナ、マキナがメインの曲だったので私は歌っていなくて。『マクロスΔ』の台本をいただいた時に、最後のページに「涙目爆発音」の歌詞とクレジットに堂島さんのお名前が書いてあって。「あっ!」と驚いたのと同時に、「私も歌いたかった~!」って羨ましくて(笑)。「ちいさなみのり」を作っていただいた時にスタジオで初めてお会いて、「もっとみのりちゃんに書きたい曲があるんだ」とおっしゃってくださっていて、今回念願が叶ってすごく嬉しかったです。

――そんな堂島さんによる「まいっちゃう」は、タイトルの語感がどこか懐かしいと思いました。

 『まいっちんぐマチコ先生』みたいな(笑)。ちょっと懐かしい香りがするところが堂島さんの曲の魅力で、「き、ぜ、つ、し、ちゃ、う」と「まいっちゃう」と、言葉をかけてくださっているのも嬉しかったです。タイトルだけを見ると「わからないのよBABY」の歌詞みたいに男の子に振り回されて「まいっちゃう」のかな?と思ったら、別のまいっちゃうだったという歌詞で。いろんなニュアンスで受け取れるなと思いました。

――ちなみに鈴木さんが、最近まいっちゃったことはありますか?

 少し前に引っ越しをしたんですけど、新しい部屋にゴキブリが出たのにはまいりましたね。友達のシンガーの亜咲花ちゃんに退治しにきてもらいました(笑)。電話をしたら10分できてくれて、頼もしかったです!

――また今作には6月に配信限定でリリースした、TVアニメ『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』第二部エンディングテーマ「エフェメラをあつめて」も収録。やなぎなぎさんの作詞、kzさんの作曲・編曲です。

 kzさんとはこの曲で初めましてだったのですが、kzさんと言うとボカロPとしても知られていますけど、私はMay'nさんの「今日に恋色」などのアニソンで聴く機会が多かったので、いつかkzさんの曲を歌いたいと思っていました。やなぎなぎさんは『見る前に飛べ!』に収録の「astro traveler」を作詞・作曲・編曲していただいたことがあって、今回で2度目になります。

 kzさんのメロディは、気持ちいいところで裏声になったり、歌いやすい音域の広さがあって。なぎさんの歌詞も自分にフィットする言葉だという感じもありながら、アニメの内容にも合っていて。ずっと聴いてきたおふたりの曲という感じもあるけど、でもやっぱり自分のために作ってくださったという特別感もあって、自分の中でも特にお気に入りの曲のひとつです。

――最後に、11月に全4公演で開催するツアーについて、そこではどんな自分を見せたいと思っていますか?

 ずっと「もっと歌が上手くなりたい」と思っているので、アルバムタイトルの通りより上質な歌を届けたいです。細かいことよりも、シンプルに前よりも成長した自分をお見せしたいです!

(おわり)

作品情報

鈴木みのり
2ndアルバム『上ミノ』
8月26日発売

【しお盤(初回限定盤)】CD+Blu-ray/VTZL-175 4200円(税抜)
【タレ盤(通常盤)】アルバム/VTCL-60531 3000円(税抜)

<CD収録曲>
01. Now Is The Time!
作詞 : 鈴木みのり 作曲・編曲 : 北川勝利
02. ダメハダメ(Album Ver.) (TVアニメ「手品先輩」EDテーマ)
作詞 : acane_madder 作曲 : 浅利進吾 編曲 : 北川勝利
03. わからないのよBABY
作詞 : 鈴木みのり 作曲 : 北川勝利 編曲 : 北川勝利・SASUKE
04. まいっちゃう
作詞・作曲・編曲 : 堂島孝平
05. 最果てのハロー
作詞・作曲・編曲 : sasakure.UK
06. まぼろし
作詞 : 饗庭 純 作曲・編曲 : 出羽良彰
07. 月夜の夢
作詞 : 鈴木みのり 作曲・編曲 : myu
08. 夜空 (TVアニメ「恋する小惑星(アステロイド)EDテーマ」)
作詞 : 中村砂羽 作曲・編曲 : h-wonder
09. gloria
作詞・作曲 : acane_madder 編曲 : acane_madder・北川勝利
10. こいもよう
作詞 : 鈴木みのり 作曲・編曲 : 南田健吾
11. 茜空、私がいた街
作詞・作曲・編曲 : 照井順政
12. エフェメラをあつめて
(TVアニメ「本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません」第二部 EDテーマ)
作詞 : やなぎなぎ 作曲・編曲 : kz ストリングス編曲 : 真部 裕

<Blu-ray Disc収録内容>
01. 「ダメハダメ」Music Video
02. 「エフェメラをあつめて」Music Video
03. 出張版みのりんご~映える「肉パフェ」作って食べてみた!~
04. 出張版みのりんご~大量のTシャツ脱いでみた?!~

■公演情報

鈴木みのり 2nd LIVE TOUR 2020~Now Is The Time!~
11月21日 福岡・イムズホール
11月27日 大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
11月28日 名古屋・日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
12月2日 東京・日本青年館ホール

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