INTERVIEW

松井愛莉

改めて実感「ありがとう」の心地よさ 肩の荷が下りた20歳の転機


記者:鴇田 崇

撮影:

掲載:20年07月19日

読了時間:約6分

 映画『フォルトゥナの瞳』やNHK総合ドラマ「これは経費で落ちません!!」などでの演技も記憶に新しい女優の松井愛莉が、映画『癒しのこころみ〜自分を好きになる方法〜』で映画初主演を飾った。本作は、松井演じる主人公が、ブラック企業で挫折を味わい、心が折れてしまった後に“セラピスト”という職業と出会い、一緒に働く仲間やお客様の人生模様を通じて気づく、いくつもの「ありがとう」を描くヒューマンドラマだ。近年人気職業というセラピストという職業の素晴らしさだけでなく、誰もが経験するだろう人生の挫折を乗り超えていくテーマも見逃せない。

 松井自身、当初は“セラピスト”のことについて詳しくはなかったそうだが、施術という行為を通じて「ありがとうと言われることがすごくうれしいことなんだなって改めて実感しました」と感謝する気持ちのありがたみを実感したという。そして女優としての収穫も多かったという本作について、松井本人に話を聞いた【取材・撮影=鴇田崇】

映画初主演、毎日が必死だった

――今回、映画初主演ということで、その感想はいかがでしたか?

 主演ということで「ちゃんとしないと!」という想いは強かったのですが、撮影に必死すぎてそれどころではなくなってしまい、共演者のみなさんに助けてもらっていた感じだったので、申しわけないなって思っています。舞台あいさつでも、それまでは一番にステージに出て行く経験もなかったので、ことごとく緊張してしまう日々でした。

――映画の中では落ち着いて観えたので、意外です。

 ありがとうございます。本当に日々大変で、頭の中はいっぱいいっぱいでした。撮影期間が短かったということもありましたし、体力もそうですし、とにかく毎日が必死でした。体力は昔はあったのですが、最近はなくなってきちゃいました(笑)。

――新人セラピスト役を演じる上で、どういう準備をしましたか?

 わたしはこの映画でセラピストを知るまで、マッサージとリラクゼーションの違いさえ理解していなかったんです。なので今回の映画でリラクゼーションやセラピストは体だけじゃなくて、心を癒すお仕事だと聞いた時は、改めて素敵なお仕事だと思いましたし、誰もがそんなに簡単にできる仕事ではないんだろうなって思いました。

――どういう資質がいるのでしょうか?

 セラピストをする上ではやはり高い技術も要りますし、人と話すコミュニケーション能力が高くないといけないんです。人の話を聞く、聞き役にならないといけなかったり、自分から発信するというコミュニケーション能力が大事。そのあたりを考えると、お客さんに寄り添わないといけないですし、難しいだろうなって思いました。

――この映画から感じ取ったメッセージは?

 そうですね。お客様と接するリラクゼーションという意味で言うと、そうするにあたってありがとうと言われることがすごくうれしいことなんだなって改めて実感しました。セラピストという職業の役柄を通してですが、実際に自分が施術をして相手に感謝をされるとわかるんです。最初は怒られたりもするので、それもあってかモヤモヤしていましたけど、それを乗り越えてほめられた気持ちは、やっぱりすごくうれしかったですし、こちらもありがとうと伝えますし、その気持ちはすごく大事ですよね。

――監督からは役柄を演じる上で何かリクエストはあったのでしょうか?

 リクエストというよりかは、そもそもの最初にいただいた脚本では、主人公の女の子がまったく違うキャラクターでした。理系で思ったことをズバズバ言ってしまう、そういう設定でした。その時は彼女のセリフ、言動に不思議に思うことが多かったんです。そこで疑問に思ったことが多々あったので、そのことを監督にお伝えしたら、最終的に今のキャラクターになりました。自分との共通点がすごく多くなったので、それほど過剰に役作りをしなくても入っている台詞ひとつひとつも、感情も分かりましたし、そういう意味では、すごくやりやすかったです。

松井愛莉

松井愛莉

転機になった20歳、不思議な経験

――癒しがキーワードのタイトルですが、人によっては音楽が癒しにもなったりしますよね。その意味で、音楽で癒されることはありますか?

 普段、それほど意識はしていないですが、癒しになっている時もあるとは思います。日頃、その時の気分によって聴いている曲が変わったりしているので、いろいろなジャンルの曲を聴いています。

 でも、まったく聴かない時期もあるので、本当に極端ですね。まったく音楽を聴かない時が3~4カ月くらいあるんです。逆にスイッチが入れば、すごくたくさん聴く。これはなんでしょうね。自分の気分でしょうけれど、なので、それほど音楽にこだわってはいないほうかも知れません。

――欲している時に聴くような感じなんです。

 そうですね。それが癒されたいのか、リフレッシュしたいのかわからないけれど、そういう時に音楽を聴くタイプだと思います。

――今回の作品との出会いでよかったことは?

 もちろんたくさんあります。まず共演者のみなさんと出会えたことが一番で、みなさんが気を使ってくださって話しかけてくれたりしたことは、すごくありがたかったですし、渡辺裕之さんがわたしの高校の時の友だちのパパだったんです。撮影がすべて終わった後に連絡先を交換させていただいて、それで1回バーベキューに誘ってくださったのですが、わたしが行かれなくなってしまったので、その時の様子を送ってくださり、同級生のパパだったことを知りました。作品中でもすごく娘のように扱ってくださって、その後に違う作品でご一緒した際も親しくしてくださって。それはこちらとしてもうれしいですし、いい出来事だったと思います。

――運命的な出会いや再開も俳優という仕事の醍醐味だと思いますが、いくつかの経験を重ねて、仕事に対する価値観の変化はありましたか?

 20歳の時に不思議な経験をしまして、肩の荷がストンと落ちるような、特別な経験がありました。それがあってからは、自分の頭の中でちゃんと物事を整理して、話せるようになった気がします。それまでは思いがけないような質問が来ると、固まってしまって答えられないことが多々ありまして、すごく間を作ってしまったり、頭の中がパニックになっていた。それが最近では少なくなってきて、変わったところだと思うんです。

――何があったのでしょう?

 それが自分ではよくわからないんですよね(笑)。20歳になってから急になのですが、視野が広くなったのかわからないのですが、そんなに物おじしなくなったというか。自分でもいまでも不思議な感じがします。

――影響を受けやすい?

 どうでしょう(笑)。自分の中でこれって決まっていたら揺るがないですが、自分が悩んでいたらもちろん、いろいろな人の話を聞いて決めたりはしますけど、何かの影響を受けていたのかも知れませんよね。

――今、仕事をしている上で感じている自分の課題はありますか?

 やはり役になりきるということがわたしは苦手なので、それこそ自分に近しい役柄だとわりとすっと入れたりするんですけど、すごく明るい役だったり、自分と正反対の役だったりすると、ひとつひとつの言葉の意味さえわからなくなってしまって、すごく悩み始めてしまうんですよね。なので、そこは俳優をやらせてもらっている以上、どの役もこなせるようにならなくちゃいけないと思いますし、その辺は課題だなと思います。

――そのためにはどうすればいいと思いますか?

 やっぱりいろいろな作品を観ることもそうですが、普段から自分の低いテンションを上げることも大事なのかなと最近は思ったりしています。

――最後になりますが、映画が公開されていく今、どういう想いですか?

 このコロナがあって家から出られない状況が続いて、ストレスがたまっている人も増えたと思うので、この映画を観て癒されてほしいですね。リラクゼーションのシーンもあるので、自然のシーンもあります。少なからず感化されるものがあると思いますので、よろしくお願いします。

スタイリスト:倉田強/TSUYOSHI KURATA
ヘアメイク:相場清志(Lila)

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