INTERVIEW

Kitri「誰かの心を癒したい」いま2人が考える音楽の在り方


Kitri

記者:村上順一

掲載:20年07月02日

読了時間:約9分

 ピアノ連弾ボーカルユニット・Kitri(キトリ)が6月24日、配信シングル「Lily」をリリースした。3タイトル連続リリース企画第一弾となる作品で、ピアノとストリングスカルテットによる広がりのあるアレンジに、逢えない人に夢の中で逢えることが出来たら、という想いを綴ったバラードに仕上がった。リリース日には自身初となるオンラインライブ『キトリの独演会 #1 ~remote ver.~』も開催し、同曲を披露。アンケート形式で行ったインタビューでは、「Lily」に込められた想いから、この自粛期間で考えていたことまで、Kitriの“今”に迫った。【取材=村上順一】

オンラインライブの手応え

――6月24日に自身初となるオンラインライブ『キトリの独演会 #1 ~remote ver.~』を行いましたが、改めて手応えはどのように感じていますか。

Mona リアルタイムに演奏を聴いていただき、チャットを通して見て下さっている方とやりとりをすることができたので、ファンの方との一体感が生まれた貴重な時間でした。曲のリクエストをいただいて演奏してみたり、曲の感想を伝えていただいたりと、オンラインライブならではの楽しみ方ができました。またぜひ実現したいです。

Hina ファンの方々が、想像していた以上に私たちの音楽を待っていてくださったことを実感し、とても嬉しく感激しました。応援してくださる皆さんに楽しんでいただけることを、これからもっと考えていきたいと思いました。

――ライブに臨むにあたって、どのような準備をされていましたか。普段のライブとは意識的に違ったところなどあれば、教えてください。

Mona 本番と同じシチュエーションで、何度か配信の練習をしました。スタッフの方に映像と音を確認していただきながら、マイクの配置やカメラの位置を微調整し、リハーサルをもとにライブの大まかな流れも考えていきました。普段のライブでは、スタッフの方々が本番に向けて万全なステージ作りをして下さいますが、オンラインライブは私たちの準備次第で配信のクオリティが左右されるので、緊張感がありました。無事に配信できてよかったです。

Hina ピアノや歌の練習に加え、接続や音環境が上手くいくのかというところまで確認し、何度もリハーサルをしました。また普段のライブではお客さんが目に見えますが、今回は部屋に二人きりだったということがいつもとは違っていて、その中でいつもと同じように緊張するということが新鮮な感覚でした。

――オンラインライブを行ってみて、どのような可能性を今感じていますか。こんなことをやってみたいなど、展望もありましたら教えてください。

Mona オンラインライブは、場所や状況に捉われずに自由にアクセスしていただけるので、どなたでも気軽に参加してもらえるのが良いと思います。小さいお子さんがいて普段はなかなかライブに行けないという方や、海外から見ているという方もいたので、そういった方々にもライブを見ていただけて嬉しかったです。

Hina 一方的に配信をするだけではなく、応援して下さる方とコミュニケーションをとることもでき、ライブができない状況が続いている中でも、オンラインライブによって繋がることができると実感しました。今後、照明や音響、空間づくりにもこだわって、より本格的なライブ配信に挑戦してみたいです。

「Lily」に込められた想い

「Lily」ジャケ写

――「Lily」は逢えない人への想いを綴った歌詞が、現在の世間の心境ともリンクしています。歌詞はHinaさんが書かれていますが、具体的にはどのような心境、体験からこの歌詞が生まれたのでしょうか。あと、「Lily」というタイトルに込められた想いも教えてください。

Hina この曲のメロディを初めて聴いた時、光が差す部屋の隅に誰かが立っているようなイメージが湧いてきました。そこでMonaと相談して「歌の中で会いたい人に会えるような曲にしよう」と決め、歌詞を書き始めました。今はもう会えなくなった人や、遠くにいて中々会うことができない人を思い浮かべながら書いていると、寂しさや悲しみという感情の他に、その人と過ごした時間やもらった言葉、一つひとつの思い出に優しさや温もりがあることに気づきました。そういった心情も描きながら、このような歌詞が誕生しました。

 タイトルの「Lily」は、百合の花のことです。サビで歌う「リリー」という言葉は、メロディを聴いた瞬間にぱっと思いついて書きました。そして今回は曲調から白い色のイメージがあったので、白百合の花言葉を調べたところ、「純粋」「純潔」といった意味を持っている花ということが分かり、汚れなく清らかな心の動きを表すこの曲にふさわしいと思い、この花を取り入れました。「Lily」を「百合のように美しい人」と訳すこともあるようですが、私はこの「Lily」という言葉に「愛しい人」という意味を持たせ、タイトルとして納めました。

――Monaさんはこの歌詞を読んだ時、どのような印象を持ちましたか。特にどの言葉に現在のHinaさんらしさが出ていると思いますか。

Mona 色彩感や光を感じられる歌詞だと思いました。物語の主人公が明確に感情を表している部分は多くありませんが、深い悲しみや愛が感じられて、温かさが伝わってきました。「形もなくただ心の深みに」の部分は、目には見えない記憶や思い出も大切にしたいという今のHinaの思いが表れていると思います。

――作曲についてお聞きします。切ないメロディが心に沁み渡るように癒しを与えてくれる楽曲だと感じました。今回、作曲するにあたってこだわったところ、特に悩んだ点など教えてください。

Mona この曲では、言葉では表現しきれない「悲しみ」を音で表現したかったので、その点に意識を集中させ、歌のメロディーとピアノアレンジを作っていきました。特に悩んだ点は、サビのメロディーです。元々は、段々と盛り上がっていくようなメロディーを作っていましたが、なかなか納得がいかずに何度か作り直しました。今のサビができた時、頭の中のイメージをやっと音にすることができた、と感じました。

――Hinaさんはこの曲のメロディを聴いて、どのような印象を持ちましたか。Monaさんが変化、進化したと感じたところなどあれば教えてください。

Hina これまでの曲は、絵本や小説のように物語が繰り広げられるような音楽だと感じることも多かったですが、この曲は、一枚の印象派の絵のようだと感じました。静かで美しく、寂しいけど優しい、そんな絵を見ているような感覚になりました。今までになかった新しいバラードを作ってくれたと感じています。

――この曲では大切な人が描かれていますが、お2人にとって「大切な人」と問われた時、どんな人を思い浮かべますか。その理由とともに教えてください。

Hina 家族や親戚、友達、そしてKitriのファンの皆さんのことを思い浮かべます。無償の愛をくれる人、いつも支えてくれる人、味方になってくれる人、応援してくれる人たちは、私のことを大切に思ってくれる人でもあり、今の自分があるのはその人たちのおかげだからです。

Mona 私もHinaと同じ気持ちです。自分の人生においてかけがえのない存在だからです。

――レコーディングは東京と京都間でのリモートでのやり取りだったとお聞きしていますが、レコーディングでのエピソードがあれば教えてください。

Mona 東京でのストリングスのレコーディングの様子を、京都からリモートで見せていただきました。録音の直前に曲についてお話しさせていただき、「悲しさの中に温かさがあるイメージにしたいです。」とお伝えしたところ、アレンジをして下さった網守将平さんと吉田篤貴カルテットの皆さんがその意図を汲み取って下さり、実際に音に反映してくださいました。ピアノと歌を包み込むような温かく美しい音色で奏でてくださり、初めて聴いた時、二人で感激しました。

――今作はろうそくを立てて歌唱されたようですが、どなたの案から生まれたのでしょうか。他にも今後やってみたいレコーディング方法などあれば、併せて教えてください。

Hina ろうそくを立ててのレコーディングは私が思いついてやってみました。デモを録音した時に、たまたま部屋の電気が暗くなったことがきっかけです。こうすることで感情移入しやすくなることが分かり、本番レコーディングでもそのような環境づくりを試みました。いつかやってみたいレコーディング方法は、その曲に合った香りを部屋に満たし、その中で歌うというやり方です。視覚や嗅覚なども使って歌うと、想像力だけでは補えないその曲のイメージが自然と湧いてきて、歌に入り込みやすいのではないかと考えています。

Mona 今後やってみたいレコーディング方法は、歌の同時録音です。一緒に録音をすれば、お互いの呼吸や温度感が伝わって、自然と良いテイクがとれるのではないかと思います。まずは、二人で録音することができる素敵なマイクを探します(笑)。

――Lily(ゆり)の花言葉には“純粋”や“無垢”といった意味があるのですが、2人がお互いを見た時に、「純粋だな」と感じた出来事などあれば教えてください。

Mona いつでも人の言葉をポジティブに受けとれるところが、純粋だと思います。

Hina 雪が降って人一倍喜んでいた時に、とても純粋だと感じました。また、食器を洗っている時によく泡を膨らませて遊んでいるので、そういった童心のような、純真さを持ったまま育ったんだな、とよく感じます(笑)。

音楽で少しでも誰かの心を癒したいという思いが強くなった

――さて、自粛期間ではどんなことを考えていましたか。

Mona 曲の制作に集中できる期間だったので、色んな曲を作って、自分自身の感覚を磨いていくよう努めました。他の人の曲を聴いたり、絵を見たり描いたりと、さまざまなインプットとアウトプットも心がけました。

Hina 私も制作に励みながら、音楽を聴いたり、映画やドラマを見たり、簡単な運動をしたりと、楽しいことをたくさん見つけて過ごしていました。最近見た映画の中で印象に残っているのは、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の『アリス』です。昔の作品ですが、久しぶりに見直してみると以前とはまた違う発見があったり、不気味で奇妙なのになぜか目の離せない不思議な世界観に魅了されました。

――ライブの延期や中止、それに伴うライブハウスの閉鎖など、音楽業界が危機的状況に置かれていますが、お2人はアーティスト、ミュージシャンとしてどのような使命感がいま生まれていますか。

Mona このような状況になって、より一層、私たちが作る音楽で少しでも誰かの心を癒したいという思いが強くなりました。私もいろんな音楽に励まされてきましたが、音楽は人の「心」を救うことができるのではないかと思います。Kitriの音楽を聴いて楽しんでいただけるように、全身全霊を込めて音楽を作り、音を奏でていきたいです。

Hina 私自身、この期間に音楽を聴いて元気をもらう経験がありました。今はライブをしたり、ファンの方々と直接お会いしたりすることは難しいですが、だからこそ音楽で皆さんと繋がりたいと感じています。音楽をお届けする手段は沢山ありますし、音楽は場所を選ばず楽しめるものですので、皆さんに音楽を聴いて元気に過ごしていただけたら嬉しいです。

――その中で今、どのような希望をもって、現在活動されていますか。

Mona シングル曲の3作連続配信リリースやオンラインライブなど、今できることに挑戦しながら活動しています。ライブがなかなかできない状況で、インターネットを通じた新しい音楽の発信の仕方も広がっていると感じます。私たちも、今だからこそ楽しんでいただけるようなことを考え、様々なアイデアを取り入れていきたいです。

Hina 新しい音楽を制作するとともに、オンラインライブをしたり、私たちが選曲したプレイリストを公開したりと、音楽を通して皆さんと繋がることができる様々な形を考えています。Kitriの音楽も、誰かの生活の一部に、少しでも彩りを加えることができていたらいいなと思って過ごしています。

――最後に、読者の方へメッセージをそれぞれお願いします。

Mona 応援して下さっている皆さんのおかげで、いつも希望を持って音楽活動をすることができています! 心から感謝しています。これからも皆さんに楽しんでいただけるよう、音楽を作り続けていきます。ぜひ今後のKitriにもご期待ください。そしてまた、ライブ会場で元気にお会いできますように!

Hina 皆さん、いつも応援ありがとうございます。今、それぞれの方が大変な思いをして過ごされているかと思いますが、どうかお身体に気をつけてお過ごしください。またいつかライブを開催できる日を夢見て、これからもKitriの音楽を皆さんにお届けしていきますので、楽しみに待っていていただけると嬉しいです!

(おわり)

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