INTERVIEW

PassCode「どんな状態でも魅せる力を」南菜生が考える未来とは


PassCode

記者:村上順一

掲載:20年06月12日

読了時間:約13分

 PassCodeが5月20日に、6枚目のシングル「STARRY SKY」をリリースした。表題曲は東海テレビ・フジテレビ系全国ネット オトナの土ドラ『隕石家族』主題歌で、メンバーもドラマにカメオ出演。同曲も「オリコン週間シングルランキング」(6月1日付)で初週1位を獲得し、話題となった。インタビューでは今できることを全て詰め込んだ1曲になったと話す「STARRY SKY」についてや、この自粛期間での生活、日本武道館を目指すにあたっての意気込み、これからの課題などメンバーの南菜生に話を聞いた。【取材=村上順一】

ライブをすることでPassCodeをやっている意味を感じることができる

南菜生

――オリコンウィークリーシングルチャート1位、おめでとうございます。このニュースを聞いて私も自分のことのように嬉しかったです。

 ありがとうございます。朝に『めざましテレビ』(フジテレビ系)を観ていたら「STARRY SKY」がオリコンウィークリーチャートで1位というのが流れてきて、「本当に1位になったんだ」と実感しました。でも、みんなで大喜びしたのかといえばそうではなくて、今までやってきたことが結果として表れて良かったという感じでした。私たちより応援してくれている皆さんや、スタッフさんがすごく喜んでくれたのが嬉しかったです。

――SNSでもファンの方からの祝福の言葉がすごかったですよね。さて、この自粛期間中はどんなことをされていたんですか。

 自粛中の自粛をしていました(笑)。外出も4日に1回ぐらいしか出ていなくて。食事の材料を買いに行くのと、あとは土曜日にやっていたラジオの生放送ぐらいで(ニッポン放送「サタデーミュージックバトル天野ひろゆきルート930」4月度レギュラーアシスタントパーソナリティを担当)。もともとインドアなんで、あまり家にいるのも苦ではなくて、仕事ができないのは辛かったですけど。

――ギターも弾いたりされていたみたいですね。どんな曲を弾いていたんですか。

 アコースティックギターなんですけど、いずれ弾き語りとかできたらいいなと思って。 いつかPassCodeで役にたったらいいなと思い練習していました。曲はPassCodeの曲で「Ray」や「horoscope」といったギターで弾き語りしやすい曲を選んで練習していて。

――PassCode以外の曲も弾き語ってみたりするんですか。

 チャートに出てくるとか弾いてみたりしますけど、女性シンガーの曲はあまり歌わないんです。それは女性シンガーだと、私がその歌い方に引っ張られてしまって寄せてしまう傾向があって、それが自分では違和感があって…。なので男性バンドの曲を歌うことが多いかも。それは寄せたとしても全く違うものになるので大丈夫なんです。

――昔からそういった傾向が?

 PassCodeを始めてからです。私たちはプロデューサーの平地(孝次)さんの仮歌のニュアンスに寄せているんです。真似をしても平地さんの歌にはならないので問題ないんですけど、それをやっているうちに他の人の歌を歌うと自然と吸収してしまって、似てしまうんです。PassCodeを人生の3分の1、7年やってきたから故のですね(笑)。

――3分の1ってすごいですよね! さて、この期間に新しく始めたことはありますか。

 新しく始めたことは少ないんですけど、今までやっていたことで、絵を描いたり、料理を作ったりしていました。前はやりたいようにやっていましたが、この期間にちゃんとやって見ようかなって。

――絵はどんなものを描かれるんですか。

 最初に何を描こうかわからなくて、自分の目を描いてみました。自分の目は毎日見ているものなので、写真とか見なくても描けるかなと思って。「STARRY SKY」のMVの時の目を描いたんですけど、自分のメイクよりも、メイクさんにやっていただいた時の方が濃いんだなって思いました(笑)。

――自分のパーツを描くのは自分自身を見つめ直す良いきっかけにもなりそうですね。

 そうですね。絵をSNSに載せたんですけど、それを見た母から連絡がきまして「もっとやさしそうな目をしてるよ」と言われて、自分とは違った印象があることに気づきました。自分では強いイメージがあったんです。

――けっこう他の人から見た自分のイメージは違うのでおもしろいですよね。ここまでお話を聞いて、充実したおうち時間を過ごされてたみたいで良かったです。

 でも、私は常に「働きたい」と思っている人間なので、ライブができないことで自分の中で整理がつかない気持ちとかあって、ライブができないというのが自分にとって辛いことなんだと改めて思いました。ライブがあれば他のことはそんなに気にせずに生きていける、ライブをすることで自分がPassCodeをやっている意味をすごく感じることができるので。でもそれがないと不安になってしまうんですよね。これで本当に合っているのかな、大丈夫かなとか…。

――音源ひとつとっても、生で披露できる場所があるから、というのもありますよね。

 リリースもしたいしCDも売りたい、というのももちろんありますけど、何よりもライブが好きで、そのライブをたくさんの人に見てもらいたいから、そのためにいろんな活動をやっているので。ライブができないと見失ってしまうこともあります。

――ライブが南さんにとっての羅針盤みたいな。

 そうなんです。ライブができなかったら音楽活動はやっていなかったと思うんです。もともと音楽は好きですけど、なによりもライブが好きなんだなと、最近改めて感じています。

――コロナがなければ今頃は全国ツアー『STARRY TOUR 2020』も始まっていたわけですが、メンバーの皆さんとライブについてのお話とかされました?

 しました。みんなはツアーが始まる前は「もしかしたら出来るんじゃないか」と思っていたみたいなんですけど、私はファンクラブのツアーがキャンセルになったあたりで、『STARRY TOUR 2020』もできないんじゃないか、という話はしていたので覚悟ができていました。おそらくツアーに関しては、メンバーの方ががっかりしているかもしれないです。もちろんライブはしたいですし、観てもらいたいというのはありますけど、命が一番大事だと思うので。

大切にしたいもの

「STARRY SKY」通常盤

――昨年から続いたツアー『CLARITY Plus Tour 19-20』のファイナルが出来たことが今となっては懐かしいですね。

 新木場STUDIO COASTのDVDを観て、ライブをやっていたときは思わなかったんですけど、「It’s you」の最後でエンドロールが流れたときに、PassCodeの第一章と言いますか、「ひとつ区切りがついたな」と感じました。次からまた新しく始めていかなければいけないんだと思っていたので、そこで切替ができて良かったです。

――ファイナルは2Daysありましたが、いま2日間を振り返るとどんなライブでしたか。

 1日目は思うように行っていなかったステージでした。私たちからしたら、皆さんにあまり見せたくない姿でした。でも、それでも覚悟を決めて付いてきてくれるファンの方がこんなにいるんだなって。ステージ上に3人しかいなくても最後まで諦めずに手を挙げて声を出してくれ流ファンの方がこんなにいるんだなって思えて。改めてこの人たちを大切にしていかなければいけないし、がっかりさせてしまってはダメだなと思いました。

――私は1日目を拝見させていただいたんですけど、ファンの方たちとの絆を感じたライブで感動しました。2日目はいかがでしたか。

 私はまだ、1日目のことを引きずってしまってました。最後のMCで武道館について話すことになっていたんですけど、私の中では言っていいものなのか迷いがありました。言ってしまうと約束になってしまうので、これまでもなかなか言えずにいたんです。2日目も1日目のようなステージだったら日本武道館については言えないなと私は思ってしまって…。いま言ったらファンの方との間で温度差が生まれてしまうんじゃないかと思ったんです。

 でも、2日目の1曲目「ATLAS」をやっているときに「今日はいけるかもしれない」、という手応えを感じました。曲を重ねていくごとにその思いは強くなっていきました。メンバーのMCを聞いて、みんなの考え方に共感できたこともあり、武道館という言葉を言えることができたんです。

 1日目だけを観にきていただいた方には申し訳ないんですけど、2日間あって良かったなと思いました。1日だけだったら心が折れていた気がしています。今となっては2日間通して観たときにPassCodeの歴史を辿っている、苦悩しながらも進んでいく、一つずつ乗り越えていけるグループだということを改めて思えましたし、みんなにもそう感じてもらえた2Daysだったと思います。なので、納得はいってなかったけれど、これから1日目も大切な日になっていくんだろうなって。

――武道館を目指すにあたって、これからの課題はどこにありますか。

 武道館と一口に行っても、いろんなやり方があると思うんです。まずどういう形式でやるのかというのはアーティスト各々違うと思うんです。私はただやっただけの見せかけのライブは嫌で、ちゃんと人が入っている武道館をみんなに見せたいと思っています。

 そのためにはたくさんの人にPassCodeを認知してもらわないといけない。ここまで応援してくれている方たちに武道館という景色を見せたい、これから好きになってくれる人たちにも、武道館を体験したことによって、さらに好きになってもらえるような日にしたいなと思っています。なのでどうやったらPassCodeをもっと知ってもらえるかというのを模索しています。

――ラウドロックというマイノリティなジャンルということもあり難しいと、以前のインタビューでも仰っていましたね。

 知ってもらいたい、というお話をすると多くの方が「ジャンルの問題だよね」と言われることが多くて。まだこのジャンルを聴いている人が少ないからと…。ラウドロックバンドができない売り出し方が、私たちはアイドルという一面もあるからこそ出来ると思っています。ジャンルを決めずにやっていくということを自分たちで選んだからこそ、いろんな売り方ができると思っていて、ずっとそこを模索しているんです。

――認知してもらうための方法はさまざまあるとは思うのですが、南さんとしてはこういうやり方だけはしたくない、というものもあるんですか。

 見栄を張らない、身の丈にあった方法で知ってもらえたら、というのがあります。何よりも大切にしないといけないのは応援してくれるファンの方です。私たちはリリースイベントもそんなにやっていなくて、メジャーレーベルに所属させていただいている中で、それはなかなか出来ることじゃないんです。ファンの方が喜んでもらえるようなプロモーションをさせていただけているのはありがたいです。

今できることを全て詰め込んだ1曲になった

「STARRY SKY」初回盤

――さて、先日1位を獲得した記念すべき1枚となった「STARRY SKY」ですが、デモが上がってきたときに平地さんに「良い曲」ということを初めて伝えられたみたいですね。

 これまでもレコーディングのときに伝えたことはあるんですけど、デモの段階で個人的にLINEで伝えたのは初めてでした。誰も口には出していなかったのですが、今回が勝負の曲だという感覚は全員持っていて。今作はドラマ『隕石家族』の主題歌なんですけど、曲作りの期間が短くて、大丈夫かなと不安がありました。平地さんも勝負の曲だと感じながら厳しい状況で作っていたと思うんです。みんなの想いも背負って作ってきてくれた曲で、本当に良い曲だと思ったので、これはすぐに伝えなければと思いました。

――いつも以上にエネルギーが違う感覚があって。

 それもあるんですけど、シンプルにメロディがすごく良かったんです。シャウトがあって、バックの音もラウドだとそれだけで「なんだこれ?」と感じる人が多いと思うんですけど、良いメロディはそういったものすら私は超えると思っていて。PassCodeで何回もサビを繰り返すのも珍しくて、サビの主張が強い曲なんです。それがテレビで流れたときにも分かりやすくていいなって。かといって攻めていないわけでもなくて、PassCodeが今までやってきたことを忠実に守って、今できることを全て詰め込んだ1曲になったと思います。

――早く生で聴きたいなと思いました。

 シングルを出すたびに、今まで足りなかったピースが埋まっていく感じがしています。「こういう曲があればいいのになあ」と思いながらライブのセットリストを組むんですけど、完成形にだんだん近づいている感覚があります。今回のカップリング「Seize Approaching BRAND NEW ERA」は、自分が思っていたものとは若干イメージが違ったのですが、初めて聴いた人でも楽しさが伝わるような曲があればいいなと思っていたところにハマって。

――「Seize Approaching BRAND NEW ERA」はほぼ英詞ですが、どんな想いが込められているんですか。

 決意表明のような強さもあったと思うんですけど、私はもっとポップな感じで歌っています。他の曲の場合は歌詞に寄り添った歌い方をするんですけど、この曲はアッパーだったのでそのサウンドに合わせた感じです。私はAメロのラップを担当しているんですけど、平地さんが求めていたテンション感が私が思っていた以上に高かったんですよ。なので、考え方を変えて仮に言葉の意味がわからなかったとしても、歌から楽しさが伝わればいいなって。あとサビに歌がないとか、今までとは違ったことをやっているので、この曲ができたことによって、もっと色んなことに挑戦できるなと思いました。

――通常盤に収録されたカップリング「Tramonto」の歌詞を読んでどのように感じました?

 新木場の2Daysを終えて、そこからまた新しくスタートを切っていかなければいけない、今までやってきたことを提げた上で、自分たちの殻を破っていかなければいけないなと思っていたなかで、この曲ができたのは嬉しいです。この曲で<So restart>と歌っているんですけど、それはすり合わせたわけでもなく、自然と作詞家さんから出てきたのは、制作に携わってくれている人たちが共通認識をもっているんだな、というのがわかって、今のPassCodeだから歌える曲だなと思いました。

――この曲はどのような気持ちでレコーディングに臨んだのでしょうか。

 平地さんからこの曲は「春っぽく歌って欲しい」というリクエストがありました。でも、春っぽく歌うってどういうことなんだろうって(笑)。いつもはテンションが低めなことも多いんですけど、今回はいつもより優しく温かく包み込むような感じで歌うのが良いのかなと思いました。

――平地さんからのリクエストがメンバーそれぞれ違う時もあるんですか。

 「Tramonto」は全員が春っぽい感じでしたが、「STARRY SKY」はそれぞれ違っていたみたいです。Aメロは(大上)陽奈子が歌っていて、私はその後に続くんですけど、自分が思っていた以上に強く歌わなければいけなくて。「ATLAS」の時もそうでしたけど、私は「もっと強く」と言われることが多かったです。平地さんの中にイメージがあるので、それを私たちが再現していくんです。でも、私はたまにズルをして、自分が歌いたい歌い方で歌っていたりするんですけど(笑)。

――自分のイメージを優先することもあって。

 もう、できないフリをして自分の歌い方で歌ってしまいます(笑)。例えば「STARRY SKY」のBメロはもっと爽やかに歌いたいんですけど、平地さんは感情を込めて、泣いているような声で歌って欲しいみたいで。最初はちゃんとイメージ通りに挑戦して、3テイク目あたりで自分なりに歌ってみたり。結果そっちが採用されることもあるんです。

――そうだったんですね! 最後にこの先、どのような願望や展望がありますか。

 ライブを広いところでやりたいです。でも、すぐには以前のような感じにできるとは思っていないんです。PassCodeはバンドの方も含めると8人でステージに立っているのですが、これからはステージ上だけでも成り立つ、ショーのようなところまで持っていかなければいけないと感じています。

 今まではお客さんの力も借りて一つのステージを作り上げている感覚があって、それがステージ上だけでもできるようになったら、最終的に合わさったときには、もっとすごいことになると思うんです。

 これはスタッフさんも含めあまり考えていないことだと思うんですけど、全員が着席した状態のライブもやってみたくて。それってごまかしが効かないじゃないですか。それができるくらいにパフォーマンス力を高めたいなと思っています。どんな状態でも魅せることができる力をつけたいです。

(おわり)

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