INTERVIEW

KEYTALKが語る移籍1年、新たな環境で明確になった「核」 進化に手応え


KEYTALK(撮影・木村武雄)

記者:木村武雄

掲載:20年06月11日

読了時間:約9分

<KEYTALK「サンライズ」インタビュー前編>
 KEYTALKがレーベルを移籍してから1年が経った。「BUBBLE-GUM MAGIC」を皮切りに、4週連続配信リリース、フェス、ツアー、フルアルバム『DON’T STOP THE MUSIC』、そしてこれまでの5年間を総括するベストアルバムをリリースした。メンバーが口々に語るのは新しい環境での「手応え」だ。『DON’T STOP THE MUSIC』、そして今年3月にリリースした「サンライズ」にはそれが表れている。KEYTALKの進化が感じられるこれらの作品をメンバーはどう見ているのか。前編・後編に分けて掲載する。前編ではこの1年の振り返りと新曲「サンライズ」について。【取材・撮影=木村武雄】

小野武正にとっての1年、新しい環境で明確になったこと

――移籍から1年が経ちました。この期間を振り返っていかがですか。

小野武正 やっぱり移籍は一番大きい出来事で、よりKEYTALKのサウンドを突き詰められる環境がこの一年で整ってきたのでこれからが楽しみです。

――どのように整った?

小野武正 サウンドもそうですが、新たなものを作っていくことが明確になったことです。この期間は新しい人と関わることも多かったですし、フルアルバム『DON’T STOP THE MUSIC』やツアーも展開して、次のステップに行くにあたってディスカッションやミーティングも重ねました。それと、ビクター時代の5年間をまとめたベストアルバムをリリースして、それを記念するためのイベントに向けて昔の曲もスタジオに入って練習しているんですよ。新しい環境を整えつつも今までを振り返る機会がこの時期に出来て、より自分達を見つめ直して新たなものを作っていくことが明確になって。

――自分たちの核みたいなものが明確に?

小野武正 もともと、ブレていない核はずっとあったんですけど、昔の曲も新しい曲もその核で繋がっていることを再確認したというか。それによって今後どんな新しいものが生まれるか、ワクワクしているんです。

――「サンライズ」ではギターの音色が変わったような印象もあります。ギターを新しく新調したそうですね。

小野武正 この15年間、ライブでもレコーディングでもずっと同じギターを使い続けてきたんですよ。でもここ最近はレコーディングとかで、ギターが持っているもの以上の音を足していかなくてはいけない作業が結構あって。なので、後々足さなくてもフラットの状態から録れるものがあったらいいなと思っていたなかで、ビンテージギター屋巡りをしていたら、ハマるギターに出会えたんですよ! 去年の夏頃に買って。そのギターの面白さを掘り下げている最中ではあるんですけど、可能性を感じています!

八木優樹にとっての1年、自分からは出てこないフレーズ

――八木さんはこの1年どうしたか。

八木優樹 気持ちを新たに4人でやっていくぞ! という1年でした。新しい形でレコーディングすることも多くて、その中で良い音源も出来ていますし、できる幅も広がって楽しい期間でした。

――新しい形のレコーディングはどんな感じなんですか。

八木優樹 4人でデモを持ってきて、作る段階で周りの意見を入れて、組み上げていくスタイルがあるんです。それによってドラムのフレーズも結構アグレッシブになったり、逆に引き算していったりすることもあって、それが新しかったです。自分からは出てこないようなフレーズを叩くこともあったので。

――具体的にそれが出た曲はありますか。

八木優樹 「BUBBLE-GUM MAGIC」は、サビ中のちょっとしたハイハットのオープンくらいのところをディスカッションしていて、「そこに入れるんだ」という発見もありました。義勝くんが「Aメロは音数少なくしたい」と言ったので、初期の段階からは結構音が間引かれていて。面白くディスカッションしながら出来ましたね。

――一方で『DON’T STOP THE MUSIC』収録の「DROP2」はめちゃくちゃ叩いていますよね。

八木優樹 当時は腕がちぎれるかと思いました(笑)。今は大丈夫ですけど。

巨匠にとっての1年、時間をかけられたことで変わった歌詞

――巨匠はこの1年どうしたか。

寺中友将 4週連続配信リリースやタイアップもたくさん頂けて、新しい環境で作曲活動する中で『DON’T STOP THE MUSIC』というアルバムも生まれて、1曲1曲に長い時間をかけて向き合うことも出来ました。この1年は制作活動も楽しく、今まで使ってこなかった頭も使ったので進化が出来た期間だったと思います。

――1曲1曲に向かうなかで歌詞や曲作りで変化したところはありますか。

寺中友将 分かりやすいところで変わったのは、時間をかけられたので歌詞制作に余裕がもてました。一度出来たものをさらに「ああでもない」「こうでもない」と見直す作業を今回たくさん設けることが出来て。なかには最初に出来たものから最終的には全く別ものになった曲もありますし、今までなかなかそういう過程は出来なかったので、より良い方向に進める作業が出来たことですね。

――それが分かる曲は?

寺中友将 自分が作った曲でどんどん形が変わっていったのは「旋律の迷宮」です。アレンジも含めて、最初の形からどんどん変化を繰り返していって出来た曲です。

――それはテレビ東京系『警視庁ゼロ係〜生活安全課なんでも相談室~SEASON4』主題歌ですね。ドラマ制作側の要望で変わっていったのですか?

寺中友将 それはありました。こういうキーワードが欲しいとか、こういう曲調が良いなど、色々なヒントをもらう中で、やり取りをして作っていったので。

――タイアップ曲というのは、自分にとってどういうものですか。

寺中友将 今まで開けてこなかった引き出しを開けてもらう感覚というか。1人で自分の作りたい曲を作っていたら出来ないものが生まれてくるので。作詞作曲それぞれメンバーでやっていきますけど、それこそチームで作った楽曲っていう感が強くなるというか。

――その意識は移籍前も同じ?

寺中友将 そうですね。意識としては大きく変わったところはないです。ただ、作り込みのところでは大きく変わりました。

首藤義勝にとっての1年、充実していたチーム一丸

――首藤さんは?

首藤義勝 アルバムとツアーという2本の軸がバンド活動の基本になっていて、その2つをクオリティの高いものにしていこうとチーム一丸でやれたと思っていて充実していました。

――首藤さんはどうですか、同じ作る人としてタイアップ曲は。

首藤義勝 作り始めるきっかけは違いますね。こういうキーワードが欲しいとおっしゃっていただく機会も多いので。ただ、それが苦になるとかは全くなくて、それ自体は簡単なんですけど、歩み寄り過ぎてKEYTALKらしさを失っちゃうのはもったいない。そこだけは気を付けて作っています。

――そのバランスはどのように?

首藤義勝 結構好きに作っていますね。制約を与えられた、というよりも、ヒントをもらったという感じですね。

――ドラマの主題歌とかは原作を読み込んで書く感じですか。

首藤義勝 そうですね。「アカネ・ワルツ」(日本テレビ系「探偵が早すぎるスペシャル」主題歌)とかは。自分してはドラマタイアップの曲は初めて作ったんですけど、原作の本を読んで、面白いなと。作詞は少し時間かかりましたけど、面白い作業ですね。歌詞の部分では今回、セリフからは取っていないですけど、主人公と探偵がいて、何とも言えない関係性みたいなものが、歌詞の基盤になっています。

「サンライズ」それぞれの意識、歌詞に反映された「自分のこと」

「サンライズ」MVキャプチャ

――さて3月に「サンライズ」がリリースされました。作り始めたのはいつ頃ですか。

寺中友将 『DON'T STOP THE MUSIC』の後ですね。

――「実況パワフルプロ野球」タイアップソング第二弾ですが、作るに当たって意識したことは。

寺中友将 小さい頃から、色々なゲームをやってきましたけど、その中で絶対にパワプロはあって。パワプロは主題歌がついているゲームで、使われている楽曲は格好良いものばかり。サクセスモードは、いろんな癖を持った強いキャラクターがたくさんいて、キャラクター同士の絡みも面白くて。そうした楽しいイメージがあったので、明るく楽しく格好良い曲を作らなくてはいけないなと思いました。

――「サンライズ」を聴いた印象は。

小野武正 デモの段階から力強い感じがあったので、このまま突き進んでいけば強い曲になるんだろうなと思いました。

――ギターで意識したところは。

小野武正 細かいフレーズというよりかは、最初から最後まで勢いよくいけるフレーズで曲のパワーを後押ししたいというのはあったので割とシンプルな作りになっています。メロディへの絡みがありつつのシンプルというか。今まで以上に裏メロというよりも後押しする感じのフレーズにしようかなと最初から思っていて、オクターブ奏法とかでコードのハーモニーをサポートしたり、サビだと主メロとサウンドへのハモりの音を混ぜたフレーズでキャッチー感も出しつつ、逆にギターソロは暴れ倒して。そういった対比を作った感じです。みんなで「せーの」で録った時にバーっと出てきた感じなんですけどね。完全にアドリブです。

――八木さんはどうですか。最初に聴いた印象と、ドラムとして行ったことは。

八木優樹 熱さよりのハイテンションな曲だなと思いました。確実にライブで強い曲になれると思いました。ドラムに関しては発音命かなと。点が見えないとスピード感が見えないので、そこを強く押し出すように演奏しました。

――ドラムの音量とかって変えていますか?

八木優樹 ミックスとかで、微調整はするんですけど、根本的なものは変えていないです。よく聴くと、タッチが全く一緒じゃなかったりするんですけど、そういうのも含めてバンド感があって良いなと思いました。

――首藤さんはどうですか。最初に聴いた印象は。

首藤義勝 「メロコアだー!」と思いました。リード曲であまりやってこなかった感じで、メロコア+スカとか、もう少しポップスにかみ砕いてみたいな曲はあったりしたんですけど。自分的には歌唱が良くできたかなって。巨匠からデモがきて、デモでは全部巨匠が歌っているんですけど、巨匠の歌が強いので最初自分が歌うイメージがあまり湧かなかった。「Bメロ歌ってみて」と言われて、自分なりに巨匠の声との対比で出来ることを考えて、歌い方を工夫しました。

――「サンライズ」の歌詞は2つの人格があるんじゃないかなという印象をうけましたが、その辺どうですか。巨匠のところはプレーヤーで、首藤さんのところは上から見ているような。

寺中友将 言われてみれば、そういう見方もできますね。ただ、日常の中で色々なモチベーションを探して、新しいことを見つけて、踏み出して突き進んでいくみたいな感じです。歌い分けたBメロというのは、かなりポイントになっていると思っていて、あそこで世界観が変わるというか。歌詞もBメロの最後に、別のパーツとして作っていたものがあって、それがうまくハマったタイミングがあって。曲はどんどん突き進んで走っていくタイプの曲だと思うので、歌詞で抑揚がつけられると面白いものになるなと。

――首藤さんが先ほど「タイアップはドラマに寄り添いつつもバランスも考えて」という話もありましたが、裏テーマで、昔のKEYTALKも振り返っているんではないかなと。

寺中友将 歌詞を書く中で、どうしても自分の事というのは入ってくるので、特に僕の作る曲はその傾向が強いと思います。自分から見えるものを歌詞にすることがほとんどなので、自分の事を歌っているというのもありますし、自分と同じような境遇の人もいるだろうなと想像しながら。でもアイデアのスタートは自分のことかもしれないですね。

(後編は6月12日公開予定)

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