シンガーソングライターのmilet(ミレイ)が6月3日、1stフルアルバム『eyes』をリリース。本作はTVドラマ『偽装不倫』主題歌「us」、TVドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』OPテーマ「inside you」、CMソング「You & I」などを含む全18曲を収録。アルバム新録曲では「inside you」のプロデュースを手掛けたToru(ONE OK ROCK)が再び参加し、新曲「The Love We've Made」をプロデュース。ハスキーかつ重厚感のある神秘的な歌声と、グローバルな存在感を放つソングライティングを兼ね揃えたmiletの魅力に迫りたい。

デビュー1年で各方面から大きな反響を呼ぶ

 まず、miletのこれまでの活動について触れたい。milet は2018年より本格的に音楽活動をスタート。同年10月、パリ、NY、ソウルなど世界各国で開催されたイヴ・サンローランのグローバルイベント「YSL BEAUTY HOTEL」の東京・表参道ヒルズ会場でライブ出演。2019年3月6日に「inside you」でメジャーデビューし、iTunesなど各11サイトの音楽配信サービスで1位を記録。「東京ドラマアウォード 2019」でも主題歌賞を受賞。

 昨年夏には各大型フェスに出演。そして、YouTubeの「THE HOME TAKE」企画で歌唱した「us」アコースティックバージョンの再生回数は3週間で340万回突破、コメント欄は国内外からの多くの反応であふれている。

 デビュー1年で5枚のEPをリリースしたmiletは、MAN WITH A MISSION、ONE OK ROCK、桑田佳祐(TOKYO FM『桑田佳祐 のやさしい夜遊び』年末恒例企画『桑田佳祐が選ぶ、2019年邦楽シングル・ベスト20』(2019年12月28日放送)で1位に選出)らからも絶賛されている。各方面から大きな反響を呼ぶmiletの魅力を考察したい。

miletの「声の存在感と浮遊感の共存」

 デビュー曲「inside you」を聴いた第一印象は、「グローバルな歌声の持ち主」というものだった。たくましく生命力のある歌声、ロックかつソウルフルで訴求力のある歌唱、様々な音楽のボーカルカラーのよい成分が交差していると感じた。miletのオリジナリティあふれる神秘的な歌声がエレクトロサウンドに心地よく馴染みながら耳に入り込み、あっという間に4分弱が過ぎた。

 miletの魅力の要素を2つ挙げたい。1つは「声の存在感と浮遊感の共存」だ。歌声の輪郭がクッキリとしていながらも、各パートのアンサンブル全ての音を引き立てながら、ボーカルが楽曲で浮遊していると感じられる。「クッキリ」と「浮遊」という、相対するような表現だが、こうした表現が合わさって当てはまるボーカリストはなかなかいない。

 歌声の輪郭が明瞭な理由として、miletの歌声は中音域に独特の魅力があり、「抜けがよい」ボーカルカラーであるというところに注目する。

 たとえば、飲食店などで席から「すいませ〜ん!」と、大声を張り上げても店員に届かなかったりすることがある。呼び声が店内の喧騒にかき消されてしまうためだ。中音域の抜けがよい声だと比較的そういったことはなく、人に伝わりやすく、届きやすいのだ。(もちろん低音域や高音域が素敵な声もあるが)

 miletの歌声は中音域がストレートに響く。そして低音域は太く力強く、高音域はクリアさと心地よい倍音を兼ね備え、音楽的に非常に聴きやすく、深く印象に残る声だ。

あらゆるサウンドと親和性が高い歌声

 miletのボーカルは、エレクトロアプローチの楽曲の他にも「You & I」「Wonderland」「us」のようなギターサウンド、ストリングスアンサンブルにもマッチする。

 そして新録曲「Parachute」のシンプルな音像ではボーカルがビビッドに映え、「Somebody」のエレクトロポップな音像にもピタリとハマる。Kamikaze Boy(MAN WITH A MISSION)楽曲提供、プロデュースの新録曲「Grab the air」の力強いビート、壮大な展開の楽曲でも声のレンジの広がりを見せ、「Dome」のダーククールなアプローチでは深い情念を表す歌唱が聴ける。

 さらに「Without Your Love」の軽快な4つ打ちビート上では華麗に舞うようなボーカルが楽しめ、Toru(ONE OK ROCK)プロデュースの新録曲「The Love We've Made」のアコースティックギターのオーガニックで神聖なサウンドテイストにも深く絡み合う。海外サウンドアプローチが色濃い「Fire Arrow」では深い精神性がボーカル、サウンドと共に耳に、頭に、体に、心に染み込んでくる。

 miletの魅力として挙げたい2つ目の点は、「あらゆるサウンドと親和性が高い歌声」という部分だ。それは、miletの持つ「倍音が豊かな歌声」が他のパートと深く馴染みやすいということが理由として考えられる。

 「倍音が豊か」というのは、「音の成分が単一的ではくカラフル」という表現がシンプルだろうか。たとえば電話の「ツー、ツー」という音を「よい音だな」と感動する人は少数と思われる。理由は、倍音も音の揺らぎもほぼない電子音の波形だからだ。

 倍音とは、たとえば音階の「ラ:A=440Hz」の音を発した時、「ラ」という原音以外の周波数の音も混じるというものだ。加えて「音の揺らぎ」も関わってくる倍音は、音楽において複雑な概念かつ重要なものだ。

 心地よい倍音は、人を恍惚とさせる魅力がある。ロックが好きなリスナーだったら、エレキギターのフィードバック音や、独特のノイズの倍音に魅了されるかもしれない。ピアノの場合、整えて音源化された音より、グランドピアノやアップライトピアノの生音特有の倍音を含んだサウンドに魅力を感じるかもしれない。そんな生々しくも豊かな倍音を含んだmiletの魅力的な歌声は音として非常にカラフルなため、あらゆるサウンドと親和性が高い。これら2つの要素がmiletの歌声が多くの人を惹きつける要素の一部ではないだろうか。

 さらにmiletのソングライティングの魅力も目をみはるものがある。特にメロディや楽曲展開からは、日本のポピュラーシーンという枠を超えた存在感が感じられる。そして日本語と英語をブレンドした歌詞の聴き心地は至極ナチュラル。

 デビュー1年で各方面から大きな反響を集めるmiletは、唯一無二の歌声とグローバルなソングライティングで様々なアプローチをみせる。そこから感じられる可能性はあまりにもフレキシブルでこれからの活躍への期待の念が膨らむばかりだ。【平吉賢治】

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