INTERVIEW

さなり「学校に行く時間を音楽に使った」不登校だった少年時代の夢とは


さなり

記者:小池直也

掲載:20年06月03日

読了時間:約7分

 新世代ラッパーのさなりが6月3日、ニューシングル「Hero」をリリース。さなりは新人発掘プロジェクト『OverFlow Project』でグランプリを獲得し、若干15歳でSKY-HIのプロデュースのもと「悪戯/キングダム」でメジャーデビュー、昨年6月には1stアルバム『SICKSTEEN』をリリースしたシンデレラボーイ。さまざまな活動を経て17歳になった彼が繰り出す新作は、リアルな内面を描いた曲が収録されている。タイトルとは裏腹に「ヒーローはいらない」と語る、さなり。理由は「助けられるよりも、自分が助けたい」からだと語るさなりに話を聞いた。【取材=小池直也】

自分と向き合う時間が取れた

「Hero」通常盤ジャケ写

――この自粛期間、筋トレとランニングを続けているとSNSで発信されてましたが、今も続けていますか。

 ランニングは最近できてないですけど、筋トレはやっています。腕とか胸とか。現状が一生続いてしまったら悲しいなと思いますが、仕方ないですよね。時代に適応していくしかないなと思います。配信ライブは何度もやってきていますし、機会があればやりたいという感じですね。

――先日、韓流アーティスト・Heizeの韓国語カバーを「We don't talk together」をInstagramに投稿していたのも印象的でした。

 最近Kポップを好きになったんですよ。カバー動画をあげようと思った時に、自分が何を最近聴いているかを確認したら、これが多かったんです。歌詞を見ながら聴いていたら少しは覚えていたので、これを機にしっかり取り組みました。発音が合っているかは全然わかりませんが、頑張って耳コピしています。もともと韓国語を話せるとかではないんです。

 Kポップは基本的にパフォーマンス力やクオリティが高い。ライブの見せ方もみんなダンスもできるし、ラップのスキルもレベルが日本とは違います。GroovyRoomをはじめ、トラックメイカーのセンスも良くて、よく聴いてます。特にライブ動画を見ることが多いかもしれません。

――ということは、これからダンスにも取り組まれたり?

 ダンス自体は12月の赤坂BLITZ公演でもダンサーさんと一緒に披露したんですよ。まだまだ踊れるとかじゃないですけど、興味はありますし、踊れるようになりたいとは思ってます。理想はラップだけでなく踊ったり、歌ったりできるパフォーマーですから。

――では現在の音楽活動はいかがでしょう?

 今は制作ですね。この期間に引き込もって自分と向き合う時間が取れたのは良かった。前より納得できるハードルが上がって、時間も多く取らないといけないんです。歌詞も音楽もそうで、隅から隅まで考えるようになりました。特に歌詞ですね。曲調に関しては考えすぎずにノリで作っていることが多いので。テーマをより具体的に決めて、どういう言葉が出た方がいいのか、どんな人に聴いてもらうのかなどは吟味しています。

ヒーローはいらない

――新作「Hero」についても同様ですか。

 「Hero」はドラマ『いとしのニーナ』の主題歌でテーマがあらかじめ決まっていて、アイデアを1から出すより作りやすかったです。ドラマの主題歌など、作品に沿って曲を作るのは前からやってみたかったことなので、決まった時は嬉しかったですよ。

 表題曲のオシャレなビートは、アルバム『SICKSTEEN』の「嘘」でも関わってくださったNaoki Itaiさんによるものです。それをいただいてから原作を読んで歌詞を書き始めて、メロディも含めて完成するまで3、4日くらいかかりました。原作の主題がひとつじゃないので、まとめるのが難しかったです。

――レコーディングについてのエピソードなどあれば教えてください。

 いつもと変わらなかったです。この曲に限らず、いつもレコーディングはスムーズなんですよ(笑)。3〜4時間くらいで終わります。録っている時は「もっと上手くなりたいな」とは思いますが、悩んだことはありません。制作は普段から家で作ったデモをまず渡してから、スタジオで本録りをするという流れです。昨年リリースしたデジタルアルバム『HOMEMADE』に関しては家ですべて作りました。

――「Hero」のミュージックビデオを制作する予定は?

 作っていますよ。まだできあがっていませんが、自粛期間に気分転換で散歩がてら撮ったのでラフな服装です。監督さんも初めての方なので出来上がりが楽しみです。緊急事態宣言でミュージックビデオの内容は変わってしまったのですが、それはそれで今までにないような面白いものになりそうです。

――ではリード曲以外の2曲、「I AM ME」と「real」についても教えてください。

 「Hero」と同じく、「real」もソーシャルライブ配信アプリ『HAKUNA』のために書き下ろした曲です。書き下ろしについては今後もやれるなら、どんどんやっていきたいです。でも与えられたテーマだけではなく、自分の思っていることを五分五分くらいで混ぜて書くようにしています。リアルとフェイクのバランス感覚ですね。

――では「real」のリアルはどの辺にありますか?

 前から思っていることを歌詞に入れました。<口に出せない想いも全部/思うように>という部分で「人の思考は自由なんじゃないかと?」ということを言いたくて。インターネットで「考えること自体がダメ」という風潮に対して思っていたことです。どんなに残酷なことを考えていても、口に出さなければいいんじゃないかと思っていたんですよ。

 リアルという意味では「I AM ME」は自分の思っていることをハッキリ書きました。前々から僕みたいなスタイルは「アイドルラッパー」みたいに言われることが多いのですが、無視し続けてきました。とはいえ少しは意見を書こうと思っていたら、この曲が浮かんだんです。去年の10月にYouTubeで上げていたのですが、ファンのみなさんから希望が多かったので、この機会に収録することにしました。

――「I AM ME」のビートは一番ヒップホップ感のあるものでしたが、どなたによるものでしょうか。

 Black Rose Beatzというトラックメイカーによるもので、BeatStarsというサイトで買いました。暇になったらネットを漁ってチェックするようにはしているんですよ。買ったものを使うのはリリース作品では初めてかもしれません。みんな使っているし、手軽ですね。

――また、シングルには昨年12月に赤坂BLITZで行われた『1st LIVE TOUR「SICKSTEEN」』追加公演の映像DVDも付属します。こちらを改めて見ていかがでしたか。

 懐かしいって感じ(笑)。言うほど時間が経ってないですけど、自分のライブ映像をこんな尺で見たこともなかったので感慨深かったです。恥ずかしさもありますが、ぜひ見てほしいですね。

――ちなみに、さなりさんにとってのヒーローは誰でしょう?

 個人的にヒーローはいらないです(笑)。ヒーローって助けてくれる存在じゃないですか。僕は助けてもらいたくないんですよ。どちらかというと、自分が助ける側でありたいのかもしれません。

ずっと不登校だった

「Hero」初回盤ジャケ写

――先日「中3の頃に不登校だった」という投稿をSNSでされていましたが、その経験が今の考えに関係しているのかもしれません。

 ずっと不登校だったんです。小学生の頃から行きたくない時は行かない、という生活。小6の後半くらいから遊び始めちゃって、学校にはいるけど授業には参加しませんでした。野球のベンチでフリースタイル・ラップしていましたね。普通に迷惑なんですけど(笑)、それからだんだん友達と遊んでる方が楽しくなって、完全に学校に行かなくなりましたね。

 でも中2の後半に徳島県から兵庫県に引っ越したら、遊ぶ友達もいなくなっちゃったんです。一応転校して3、4日くらいは通学していましたが全く行かなくなり、ひたすらゲームしたり、曲を作ったり。高校1年生になるまでは学校に行く時間を全部音楽に使いました。親も変わっていたので、基本的に何も言われなかったです。

――「本当は学校に行きたかった」と考えたことは?

 そんなこと思ったことないですよ(笑)。「嫌だったら行かなくていい」という親の影響もあるかもしれません。どうでしょうね、行ってたら行ってたで何かが変わっていたかもしれないですけど、音楽に時間を使えたから良かったです。

 あと、その頃は夢見がちだったので、自分の明るい未来を考えるのがすごい好きでした。「俺は高校生になったら成功しているぞ。絶対になる」みたいな(笑)。ぼんやりはしていたんですけど、そういう夢を持っていました。

――今も夢をお持ちですか。

 「さなりといえば、これ」というヒット曲を作ること。あとは20歳までに武道館に立ちたいですね。難しいかもしれないですけど、早いうちに叶えたいです。

(おわり)

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