AKB48横山由依が、自身のYouTubeチャンネル「Yuihan Life」で、イラストレーター・326(なかむらみつる)氏の絵本『みにくいこねこ』を読み聞かせた。小学生の頃に同氏の絵本を読んで感動したという横山。新型コロナウイルス禍で学校に行けない子供たちに何かできないかと試みた。企画実施に当たっては難しさもあったという。どのような過程で取り組んだのか、横山に企画の背景や子供たちへの思いを聞いた。また326氏からもコメントを寄せてもらった。なお取材はアンケートで実施した。【取材=木村武雄】

 【動画】326氏の絵本『みにくいこねこ』の読み聞かせを行う横山由依

読み聞かせ、実現には壁も

 「握手会には小さい子供も来てくれていて、その子供たちの中には学校に行けなかったり、友達に会えなかったりする子もいると思います。子供だけでなく、いろんな方にどういう形で届けられるかを考えました」

 動画で語った企画への思い。読んだのは326氏の絵本『みにくいこねこ』だ。

 「幼い頃からずっと心に残っている大好きな作品を作られている326さんのことを調べていたら『みにくいこねこ』を見つけました。私個人的に猫が大好きなので326さんとねこという組み合わせに惹かれて選びました」

 読み聞かせを行うには、著作者の使用許諾を得る必要がある。今回も何作品か候補はあったものの難航した。その中で手を差し伸べてくれたのが326氏だったという。

 「絵本を読み聞かせしたい! と思い、いくつか選んだ作品がありましたが、なかなか良いお返事をいただけず、やはり無理なのかもしれないと思っていた時に326さんからのお返事をいただきました。とても嬉しかったです。絵本のデータも提供してくださいました。絵本の読み聞かせがしたいなぁというところから本格的にコラボさせていただけたのは今でも信じられません! 326さん本当にありがとうございます」

 そうして実を結んだ企画。動画の時間は約36分(横山のメッセージを含めると約44分)。YouTube動画では比較的長いとされる尺だ。しかし、14日に配信され、18日までの再生回数は1万4千回を超えた。視聴者のなかには「優しい声とこのフユの環境や成長に触れていくのにつれて自然と涙が出てきて止まらなくなりました」や「子供だけじゃなく、大人でも感動…泣ける」、「ゆいはんの声と絵本の物語が合っていて、すごく温かい気持ちになりました」というコメントが寄せられ、好評を得ている。

サプライズに夢のよう

 そもそも、横山が326氏作品に初めて触れたのは小学生の頃。出会いは『やさしいあくま』という絵本だった。

 「『やさしいあくま』は、小学生の頃に先生に読み聞かせをしてもらいました。お話は苦しいしとても切ないものですが、心が温まります。見た目やイメージ、人から聞いたことで“良い・悪い”の判断をしてしまうのではなく自分が見て触れて感じるということが大切だなと思わせてくれます。絵も鮮やかで今でもずっと心の中に残っている絵本です」

 そんな326氏から今回、主人公の猫・フユと横山を描いた直筆メッセージ付きのイラストがプレゼントされるサプライズもあった。横山は「こんな風に描いていただけるなんて夢のよう。小学生の私に教えてあげたい」。今ではアイドルとして憧れる存在の横山だが、その喜びように“少女”の面影が見えるようだ。

活動の原動力

 AKB48グループのメンバーには、小さい頃から憧れてオーディションを受けた人もいる。326氏の作品に心を打たれて「ぼろ泣き」した横山は今では影響を与える立場にいる。そのなかで気を付けていることがある。

 「発言や行動には気をつけるようにしています。人なので間違えてしまうこともありますが、これをしたらどうなるかということをまず考えます。目先のことではなく、長い目で見ても本当に後悔しないことなのかというのを考えます。最近は、考えすぎて行動できないタイプだと言われることも多いのでまずは信頼している周りの人たちに飾らない自分を出すことを心がけています。あとは、私はまだまだ知らないことが多いのでいろんなことを学んでいきたいなと思っています」

 そんな彼女が活動のモチベーションにしているものは何か。

 「人と一緒にものを作っていくことが好きだということだと思います。グループの活動、個人での活動、一人でできることは一つもありません。上手くいくことばかりではありませんが、奇跡のようなおもしろいことが起こる可能性があって楽しいです。あとはなによりも、活動を応援してくださっているファンのみなさんと離れていてもいろんな気持ちを共有できていることが嬉しいです」

 YouTubeチャンネル「Yuihan Life」もそのなかの一つといえる。

 「もっと自分を知りたい、発信していきたいと思い、始めて約2カ月です。いつのまにか深く掘り下げることをやめていた自分が、好きなことに少しづつ触れていけていると思います。きっと、絵本もそのうちの1つです。これからものんびりと発信していきたいと思います。なにかのタイミングで私のチャンネルを発見してくださったとしたら、気になったものだけでもいいのでよかったら見てみてください」

子供たちへの思い

 握手会に来てくれた子供たちの現況を憂いて、今回の企画に動いた。思いを寄せるのは握手会参加者だけではない。AKB48は東日本大震災以降、毎年被災地へ訪れ支援活動を行うなど様々な人たちの心に寄り添おうとしている。横山はどのような思いで子供たちを見つめているのか。

 「いまは学校や図書館に行けなかったり、お友達となかなか会えなかったり、大変な時期だと思います。でもこの期間にお家でできる面白いことを見つけた子もいるかもしれませんね。この先に明るい未来が待っていると信じています。そして、みんな一人一人が好きなことをできて夢が叶うことを願っています」

 今回、326氏からもメッセージが寄せられた。

 「本は読まれて初めて本になります。そして絵本は声に出して読まれて初めて絵本になると僕は思っています。優しく誰かに語りかけるように読む横山さんの横顔を見てどこか遠くで、この声にじっと耳を傾ける子供たちの笑顔が見えたような気がしました。みにくいこねこという物語が絵本になった瞬間を見させていただき感謝しかありません。この優しさが音のように広がって沢山の人のもとへ届くことを祈っています」

(おわり)

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