テクノロックバンドのザ・リーサルウェポンズが、じわじわと話題になっている。28日の深夜に放送されたTBS系音楽番組『PLAYLIST』に登場し、 数々登場したアーティストの中でも異彩を放っていた。そのザ・リーサルウェポンズの魅力に迫りたい。

 2019年、突如として出現し、80年代〜90年代のカルチャーを背景に、アメリカオハイオ州で製造されたサイボーグジョーと、彼を発明したプロデューサー・アイキッドが放つエンターテインメントユニットで、同年4月にインディーズアルバム『Back to the80’s』をリリースし、iTunesロックチャート1位を獲得(総合2位)。

 そして、2020年1月には恵比寿LIQUIDROOMで開催されたワンマンライブ『コンバンワンマン2020』も成功を収めた。同年2月26日に初のCD音源となるインディーズEP『E.P.』をリリースした。大槻ケンヂ(筋肉少女帯)や星野源、綾小路翔(氣志團)など、著名アーティストからも熱い支持を受けている。

 彼らはとにかくルックス、音楽ともにインパクトが絶大。ボーカルを担当するサイボーグジョーは、80年代のロックスターや映画俳優をクロスオーバーしたファッションスタイル、そして、ギター、キーボード、楽曲制作を担当するアイキッドは、アメリカンフットボールのヘルメットと黄色のオーバーオールがトレードマークだ。見た目からただものではない、何かやってくれそうな気配を醸し出している2人だ。

 2人が奏でる音楽は80’sを彷彿とさせるシンセサイザーの音色と、中毒性のあるメロディが印象的。そこに乗るエッジの効いたエレキギターが高揚感を煽る。ちなみにアイキッドがライブで使用しているギターは、スタインバーガーという80年代に登場したヘッドレスギターで、ボディやネックが木ではなくグラファイトとカーボンをミックスさせた素材でできているという異質な一品。

 そして、楽曲がキャッチーで面白い。大ヒット対戦型格闘ゲーム『ストリートファイターII』の「Theme of ken」をオマージュし、インストのメロディに歌詞を乗せた「昇龍拳が出ない」や、ライブでも大きな盛り上がりを見せる「80年代アクションスター」が鮮烈。「80年代アクションスター」は、シルヴェスター・スタローン主演映画『ロッキー』の登場人物<エイドリアン>や、『ターミネーター2』の<I’ll be back>のコールで盛り上がるなど、曲を知らなくてもライブを楽しめるのも彼らの強みだ。

 それは、誰もが知っている、体験したことを題材にしているのが大きい。「昇龍拳が出ない」というタイトルは『ストリートファイターII』をプレイしたことがある人なら大きな共感ポイントで、そのコマンドの難しさに多くの子どもたちがヤキモキしたはず。そして、「80年代アクションスター」でみられる歌詞に綴られた言葉は、ロッキーのように「エイドリア〜ン」と、叫んだことがある人も多いのではないだろうか。

 2月にリリースされたインディーズEP『E.P.』のオープニングを飾る「東海道中膝栗毛」は和の要素を取り入れ、日本特有の三・三・七拍子やサビの歌詞が五・七・五のリズムを使用しているのも、彼らのスキルの高さを感じさせてくれた。それをアメリカ人のサイボーグジョーが歌うことで、ユニークなシナジーを生み出している。

 さらにこのEPにはメンバーの住んでいる中野区の都立家政にある古書店をテーマにした「都立家政のブックマート」という彼らの黎明期にあたる楽曲も収録。古書店の店長から「ブックマート都立家政店」のテーマ曲を作って欲しいという依頼から、アイキッドがサイボーグジョーを誘い、ザ・リーサルウェポンズが結成されるきっかけとなった1曲。歌詞にある<イングヴェイ イングヴェイ イングヴェイ イングヴェイ ガンマレイ>の流れは、メタルファンにはたまらないオチだ。

 それらを巧みに組み込んだ楽曲たちは、ライブで心地よい一体感をステージとフロアで生み出し、その時代を通ってきた人たちは、体感するたびに心を“Back to the80’s”させてくれる。彗星の如く登場した2人は、驚異的なスピードでお茶の間にも浸透しつつある。ノスタルジックで力強いザ・リーサルウェポンズは、令和という新時代の最終兵器となり得るのか、これからの活動に期待が高まる。【文=村上順一】

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