<連載(全5回):「愛を知る」それぞれの戦い(5)阿部菜々実>
 ラストアイドルが3作ぶりに原点回帰する。8thシングル『愛を知る』の表題曲歌唱メンバーは、総勢41人が参加した選抜オーディションバトルで決めた。更なる飛躍を目指した「大人サバイバー」や「青春トレイン」では団結力やグループの中での個々の役割、協力し合うことが求められた。それを経ての本作は何を意味するのか。オーディションバトルで上位5位に入ったメンバーに思いを聞いた。第5弾は1位だった阿部菜々実(17)。【取材・撮影=木村武雄】

 笑顔が印象的で弱音を吐かず、涙もあまり見せない彼女が声を震わせ、言葉少なく「今回この曲が勝負だと思って頑張ります」と強い思いを伝えた。

 誰もが認める不動のセンター・阿部菜々実。感情をあまり表に出さない彼女だが、上昇志向の強さは言葉の端々にみえる。

 「去年、団体行動と高難易度ダンスをしてきて、最初は嫌でしたが、やってみて達成感がありましたし、このままの方向性で次も頑張れば、皆さんにまた注目してもらえるんじゃないかなと思いました。でもどこかで刺激を求めている自分がいて、バトルに戻りたいなと思う気持ちがあって。そのタイミングで選抜オーディションバトルの開催が発表されて、楽しみだなって思いました」

 彼女をバトルへと突き動かすものは何か。

 「『売れた』と実感できる所まで行きたい」

 3歳の頃から芸能活動していた。トップアイドルを夢見て東北で力を蓄えた。そのなかで巡ってきたラストアイドル。夢が叶い喜びを実感する中で新たな目標を掲げた。そのうちの一つ、ファッションモデルになることは『Rakuten GirlsAward 2019 SPRING/SUMMER』でのランウェイで実現させた。そして、もう一つは「ラストアイドルとしては最強のアイドルになりたい」

 その過程では、「歌番組にも出たい」ということを目標に掲げ、テレビ朝日系『ミュージックステーション』などへの出演を果たして実現させた。だが、達成感に浸るわけでもない。

 「夢だと思っていたことも、叶ってしまったら意外とあっさりしていて。夢を見て、叶った瞬間、『あ! 叶っちゃった』という少しあっけないというか、そんな感じなんですよ。例えば音楽番組に出たときも当時は嬉しい気持ちだったけど、その反面今の私たちで大丈夫かなとも思って。達成感ももちろんあったけど『また、次も出たい、これで終わったら意味がない』と思ってまた次の夢も出てきています」

 見つめているのはその先だ。

 「昔の私からしたら叶っている夢もいくつかあるんですけど、でも今の私は現状に満足していないし、夢を見続けていられるからこそ、すごく楽しく生きられていると思います。もし夢が全部なくなってしまったら、活力も失われてしまうと思うし、叶うか叶わないかよりも見続けることが人生のなかでは大事だと思っています」

阿部菜々実

 夢は「最強のアイドル」。その道は決して平坦ではない。阿部は「大人サバイバー」と「青春トレイン」の時も「この曲が勝負だと思っている」と語っていた。それだけ一つ一つに懸ける思いは強い。

 「毎回『今回が勝負』と言っているんですけど、前作、前々作とセンターをやらさせて頂いて、自分のなかではやり切りましたし、努力もしました。でもそこまで結果が出ていないというのが率直な思い。『もっと世間に知ってもらいたい』という欲というか、ずっともやもやしているというか」

 昨年出演した神宮花火大会のライブパフォーマンス。「悔いのないように全力で踊っていました」と臨んだステージ。目の前に広がっていたのは、何万人という観客の光景。刺激になったに違いない。

 夢実現の過程で掲げる目標。今は「日本武道館に立ちたい」。

 そのなかで臨んだ『愛を知る』。

 「悩んでいる方など、少しでも明日も頑張って生きてみようと思えるような、寄り添ってくれるような歌詞だと思います。曲だけじゃなくて、私たちのパフォーマンスを観て元気になってもらえたら…」

 高い目標を見つめ凛と立つ阿部菜々実。覚悟を背負うその背中から力がみなぎっている。

(おわり)

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