BLUE ENCOUNT、自身の青春時代と「あひるの空」を重ねた新曲に迫る
INTERVIEW

BLUE ENCOUNT、自身の青春時代と「あひるの空」を重ねた新曲に迫る


記者:村上順一

撮影:

掲載:20年04月10日

読了時間:約7分

 4人組ロックバンドのBLUE ENCOUNTが4月8日、配信シングル「ハミングバード」をリリースした。2020年第1弾リリースとなる同曲はアニメ『あひるの空』の4月クールオープニングテーマで、切なさを感じさせるメロディの中に我々を鼓舞する熱いメッセージが盛り込まれた1曲に仕上がった。インタビューでは「ハミングバード」に込めた想い、アレンジでメンバーそれぞれがこだわったフレーズや心掛けたこと、今彼らが夢中になっていることについて4人に話を聞いた。【取材=村上順一】

猛烈な反対があった学生時代

田邊駿一

――『あひるの空』のオープニングテーマに決まったとき、どのような感情が生まれましたか。この作品のどんなところに感銘を受け、フォーカスしようと思いましたか。

田邊駿一 昔から原作を読んでいたので嬉しかったです。壁や傷を乗り越えて目標に向かう登場人物たちにエールの気持ちを込めて作れた気がします。

――メンバーそれぞれが「ハミングバード」を初めて聴いたときに感じたことは?

江口雄也 優しくて温かみのある印象がありました。その中で、サビの言葉やメロディにはとてもパワーがあって、デモの段階で「これはよい曲になる」という自信があった曲です。

江口雄也

辻村勇太 とても抜けのいい明るい曲だなと思いました。ただ明るいだけではなく力強さと透明感があり、サビの歌詞が仮歌の時から同じだったので聴いていて、自分を肯定してくれいてる気分になれました。

高村佳秀 初めて聞いた時から耳に残る曲で、特にAメロは切なさと力強さを両方感じられて今までにない気持ち良さがありました。

――「ハミングバード」というタイトルに込められた想いは? 他にもタイトル候補はあったのでしょうか。

田邊駿一 この曲は最後の最後までタイトルが決まらないままでした。歌レコーディングが終わり、この曲の完成形を聴いた時に妙に心地よい高揚感に包まれたのを覚えてます。その時に浮かんだのがハミングバードでした。ハミングバードは鳥の名前ですが、“幸せの兆し”という意味もあり、昔からこの意味と言葉が好きでいずれ曲のタイトルにしたいなと思ってました。まさにふさわしい楽曲に出会えた気分ですね。この曲が誰かにとっての幸せのきっかけになればと願います。

――『あひるの空』だけではなく、自分たち自身にも重ねた部分があると思いますが、どのような1曲にしたいと思い制作を進めて行きましたか。

田邊駿一 青春が軸となる作品なので、自分たちの青春時代も想起してみました。高校の時にこのバンドを組み、幾度もの紆余曲折を繰り返し辞めたいときや逃げたいときを乗り越えてここまできました。「バンドで飯を食いたい」と夢を掲げていた学生時代は周りの猛烈な反対があり、自分のことを信じられなくなりそうな時期もありました。あの頃の自分に、あの頃の自分と同じ想いをしてる誰かに、今の「選択」をしっかりと肯定する存在の曲を作りたいと思い制作しました。

「ハミングバード」の演奏のこだわり

――制作やレコーディングで今までと違ったことや、新たな試みなどあればメンバーそれぞれ教えてください。

田邊駿一 ライブのクライマックスで歌ってるくらいのエモーショナルさを表現したかったので、歌う前にめっちゃ筋トレして大汗をかいて歌録りしました。

江口雄也 この曲は、最近のレコーディングには珍しく全部普段のライブ機材でレコーディングしました。レコーディングした時期がツアーの直後だったので、音も全員ある程度仕上がっていて、音づくりはいつもより早く終わった気がします。

辻村勇太 ずっとダウンピッキング奏法なので演奏をする上でグルーヴが崩れないように意識しました。

辻村勇太

高村佳秀 とにかく"丁寧"を合言葉に最初から最後まで意識しました。楽曲としてはすごく温度感ある曲に仕上がったと思っているんですが、レコーディングでは機械のように丁寧にグルーヴを繋げていく意識で録りました。でも仕上がりにはちゃんと温度があって自分がイメージした完成形に近づけたなと思っています。

――注意しないと気付かないが、「実はこんなことをやっている」など、隠れたこだわった箇所はありますか。

江口雄也 各サビ前のアルペジオは同じフレーズですが、場所によって細かくエフェクターの分量を変えています。ラストにむけてより感情的になるようにしました。

辻村勇太 サビからAメロに入る前の2拍の間にトーンコントロールをしています。2拍でトーンを少し絞ってAメロをまろやかな音で弾いてます。

高村佳秀 所謂"ゴーストノート"と呼ばれる小さな音。入れなくてもリズム的には成立するけど、あるとないとではグルーヴが全く違う仕上がりになる大事な要素です。是非耳を澄ませて聴いてみてください。

高村佳秀

――楽器演奏する方たちが「ハミングバード」をコピーするときに、皆さんの担当パートをアドバイスするとしたらどんなところですか。気をつけて欲しいところや特に難しいフレーズなどポイントがありましたら教えてください。

田邊駿一 とにかく汗だくで熱く歌って欲しいです。きれいに歌う必要はなく、あなたの腹の底にある想いを吐き出すように歌って欲しいです。

江口雄也 delay(※山彦のような効果を出す機器)を基本かけているのですが、セクションごとによってかける分量が大きく違うので、音源を聴き比べながら設定してみてください。

辻村勇太 全力でダウンピッキング! BPMはそこまで速くない曲ですが、だからこそアンサンブルを意識しましょう。

高村佳秀 難しいフレーズや真似したくなるフレーズは正直ないと思います。だからこそコピーしやすく、叩くのは容易なはずです。大事なのは自分だったらどう叩くか、この曲をどう感じてどう表現したいか。そこに意識を集中させて演奏してみてください!

トンネルの先で全員で笑い合いましょう

――「ハミングバード」の歌詞を読むと、<現実に裏切られたから>など理想と現実のギャップに苦しむ、葛藤する姿も浮かび上がりますが、皆さんが理想と現実のギャップを感じた瞬間はありますか。

田邊駿一 田舎出身者として、最初は「東京は街も人も冷たい」と思っていました。
しかし、上京して出会った東京の方々は皆さんいい人ばかり。都会だからといって勝手に悪い方に決めつけすぎるのは良くないなぁと。ある意味理想と現実のギャップですよね。

辻村勇太 上手いプレイヤーや演奏者の演奏を見て自分も弾けそうと思うのですが、実際やってみるとかなり難しい事をやってるんだな、とそこで理想だったんだなとギャップを感じます。

高村佳秀 昔はそのギャップがすごく嫌でしたが、最近は考え方もどんどん変わってきていて、自分が描く理想と現実の間に差があると言うことはまだまだやれることが自分には沢山あって、成長する機会が豊富にあるんだと思うようになってからは、ギャップというより道なんだなと感じています。

――<夢中で飛び込んだ世界は正解だ>という歌詞にちなんで、いま皆さんが音楽以外で夢中になっていること、ハマっていることはありますか。

辻村勇太 音楽以外は特にないかな…。

田邊駿一 サウナです。週に4回は行ってます(笑)。

江口雄也 『あつまれ どうぶつの森』を完全に流行に乗って始めました(笑)。

高村佳秀 やりたいこと好きなことが沢山あります。漫画にゲーム、作曲やピアノを弾くこと、ダンスも習いたいしボルタリングもしてみたい、動画配信もしてみたい。コツコツ少しずつやっていっているところです。

――感染症の影響でライブなどができない日々が続いていますが、ファンへのメッセージをお願いします。

田邊駿一 ファンのみんなに会えないのが辛いです。昨日まで自由にできていたことが抑制されてしまうことに息苦しさを覚えてしまいます。だからこそ今をしっかり乗り越えるために今できる最大限の対策を互いにしましょう。あなたの「我慢」があなたとあなたの大切な人たちを救います。トンネルの先で全員で笑い合いましょう。

――2020年はどんなBLUE ENCOUNTの姿をファンの方たちに見せて行きたいですか。

田邊駿一 シーンに属してるバンド、というカテゴリだけではもう物足りなく思います。俺らに出会ってくれたあなたにとってのとてつもなく大きい存在になるために、妥協なく遠慮せずに自分たちにしか鳴らせない音を届けていきます。

(おわり)

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