Uru「こんな歌を歌うんだ」らしさ詰まった『オリオンブルー』に込めた想い
INTERVIEW

Uru「こんな歌を歌うんだ」らしさ詰まった『オリオンブルー』に込めた想い


記者:村上順一

撮影:

掲載:20年03月30日

読了時間:約10分

 シンガーソングライターのUru(読み:ウル)が3月18日、2ndアルバム『オリオンブルー』をリリースした。前作『モノクローム』から約2年3カ月振りとなった『オリオンブルー』はデビューのきっかけに繋がった曲から、温めていた曲までUruの様々な一面、らしさが感じられる1枚に仕上がった。インタビューでは『オリオンブルー』というタイトルに込められた想いや、様々な感情を切り取った楽曲の制作背景、Uruの素顔に迫った。【取材=村上順一】

自分らしさを凝縮する事が出来た

『オリオンブルー』通常盤

――アルバムタイトルの『オリオンブルー』には、どのような想いが込められているのでしょうか。

 1stアルバムが『モノクローム』というタイトルだったのですが、YouTubeに動画を上げていた時も白黒だったので付けたタイトルでした。あれから3年経って私なりのカラー、何もなかったところから色を付けられて来れたかなと思いました。

 以前ライブの開催に際して、私を応援してくれている方々に私からイメージする色をお聞きしたら、青系が多かったんです。それはバラード系の楽曲が多いことと、ライブの照明に青系が多いことからだろうと思うんですけど、何となく私も青を想像していました。その青にも色々あるんですけど、私は緑色が好きで、青寄りの緑色というところでオリオンブルーを選びました。

――動画投稿をされている時、モノクロだったのは、どんな意図があったのでしょうか。

 最初は静止画で動画投稿しようと思っていました。でも、動きがある方が良いだろうなと思って。その中で色んな色があったり、動きが大きいと、歌に集中してもらえなくなるんじゃないかと思ってモノクロにしました。例えば本を読む時に抑揚をつけて読んでしまうと、そういう風にしか捉えられなくなるので、抑揚をつけないで読んでいる感じ、余計なものを省きたかったんです。

――そして、そこに色がついて来たわけですが、そのきっかけはどんなものでしたか。

 ライブをやって、同じ空気の中に一緒に存在しているということで色が見えてきた感覚がありました。

――「願い」の時のインタビューでも、ライブをやったことが大きな出来事だったとお話されていたので、ここでも影響が出ているんですね。

 はい。ライブは大きなことなんですけど、最初は私、ステージの真ん中で歌うのが嫌で、端っこが良いとスタッフさんに話していて...。光もあまり当てて欲しくないと(笑)。

――ダメでしょうね(笑)。

 でも、自分を客観視することが出来たので良かったです。まだ端っこで歌いたい気持ちはあるんですけど(笑)。

――さて、アルバムを制作する事になって、どのようなコンセプトで作ろうと思いましたか。

 前作と比べると自分で作った曲が多く収録されていて、前作『モノクローム』は名刺代わりの1枚とお話していたんですけど、今作はUruというアーティストが「こんな歌を歌うんだ」ということもわかってもらえる1枚、自分らしさを凝縮する事が出来たと思っています。

――色んなUruさんを感じられる1枚に仕上がった思うのですが、1曲目に「プロローグ」を持ってきたのは、制作している時から考えていたことですか。

 いえ、そこは当時は全然考えていませんでした。シンプルにイントロが印象的なので、1曲目に良いんじゃないかと。この曲で私の事を知ってくれた方も多いと感じますし、アルバムを再生して頂いた時に「これこれ」となっていただけるんじゃないかな、と導入の曲として最適だと思いました。

――タイトルも「プロローグ」で奇跡を感じますね。続いての「今 逢いに行く」は昔からあった曲で満を持しての収録ですね。

 この曲はデビューする前からあった曲です。今の事務所の方に初めて渡したオリジナル曲が「今 逢いに行く」でした。この曲のおかげでデビューする事が決まったといっても過言ではない、思い入れの強い1曲です。この曲がなかったら今ここにはいなかったかも知れないです。

――当時のデモと今では歌にどのような違いがあると感じていますか。

 当時は歌う事に必死でした。技術的なところに捉われがちだったのが、今は気持ちで歌えるようになったと思います。当時は自分で作った曲なのに上手く歌えなくて、毎日泣いていたのを覚えています。自分が思い描いたように歌えないと、悔しくて…。

 でも、今昔に録った歌を聴くと、それはそれで良かったと思えている分、少しは成長出来たのかなと思っています。どこでビブラートをかけるとかも考えるんですけど、今はもっと素直に歌の持つ表情を私が代弁するような気持ちで歌えたら良いなと考えるようになったら、少し楽になりました。

――この歌詞はどのような心境の時に書かれたのでしょうか。

 当時男女の曲を作りたいと思っていました。ただ、別れるとかそういうのではなく、男女の縺(もつ)れやすれ違いをテーマに書きたかったんです。

――続いての「あなたがいることで」は小林武史さんが編曲で。Uruさんの方からアレンジのリクエストをされたりも?

「あなたがいることで」ジャケ写

 平歌は抑えつつもサビで広がる感じというのをお伝えさせて頂いて。元々この曲が持っていた色や温度感はそのままキープして頂いたと感じています。

――この曲はTBS系 日曜劇場『テセウスの船』の主題歌となっていますが、作品のどこにフォーカスされたのでしょうか。

 先方からのリクエストは主人公の田村心さんの心情を描いて欲しいとのことで、原作を読ませて頂いて、感情移入しながら書きました。でも、いざ心さんの心情になろうと思うととても難しかったです。

――その中でもどの部分に感銘を受けましたか。

 父親が殺人犯という孤独感の中で、自分を信じる気持ちぐらいしかすがるものもないんです。タイムスリップして、昔の自分の家族の様子を見た時の心情、自分にはないと思っていた温かさを知った時の衝撃、何十年もあった虚無感がそこで断ち切られたんだろうなと思いました。それを絶対に守りたいと思うんだろうなと。

 でも、守りたいという直接的な言葉は入れませんでした。その言葉を入れなくても主人公は何を伝えたかったのか、ということが伝わるような歌詞にしたいと思いました。大丈夫、僕の思いで繋いでいるからという温度感と守りたい気持ちを感じてもらえるような曲にしたいなと。

――Uruさんは自分が生まれる前に戻ってみたいと思いますか。

 戻れたとしたら、自分が生まれるタイミングで楽しみに待っていてくれていたり、生まれて喜んでくれている瞬間を見たら、もっと周りの人を大切に出来ることがあったのかな、とか考えてしまいます。

――この作品を読んだことで生まれた感情ですね。レコーディングはいかがでしたか。

 心さんを中心に派生していく気持ちを考えながら歌ったのですが、歌詞の冒頭部分<どんな言葉で 今あなたに伝えられるだろう>は何回も録り直しました。心さんが現代のお父さんと会い涙を流すシーンがあるんですけど、過去のお父さんはあんなに笑顔だったのに、現代では別人のようにやつれてしまったことにすごく胸が痛くて...。心さんの「何とかしてあげるからね」という気持ちや言葉をどんな感情で歌うかは悩みました。

男性目線の方が書きやすい

『オリオンブルー』初回カバー盤

――さて、「space in the space」はどのようなきっかけで生まれたのでしょうか。

 現実の世界で生き辛い思いをしている、女性と身体を交えることによって満たされていく、そんな依存症がテーマの歌なんです。

――歌詞にある<僕の中に その宇宙を浮かべてよ>で登場する宇宙というのは?

 エクスタシーの比喩として宇宙という表現を使いました。

――他の曲でも見られるのですが、僕という一人称が歌詞に登場しますが男性目線は何か意図があるんですか。

 男性目線の方が歌詞が書きやすいんです。自分でもなぜかわからないんですけど。女性目線は自分も女性なので書きやすいはずなんですけど、どこか照れがあるのか男性目線の方が書きやすい気がしています。

――曲のアレンジも印象的です。

 前からこういった曲調にチャレンジしてみたかったんです。この曲は今までの作り方と違って、普段はピアノから作るんですけど、この曲はリズムから作りました。R&Bのようなリズムにコードを付けて、最後にメロディを付けました。

――新しい一面が感じられる曲になりましたね。続いての「marry」はウェディングソングですね。

 ウェディングソングを作ってみたいとずっと思っていて。中島みゆきさんの「糸」はウェディングソングではないんですけど、そういった風にも聴ける曲を作りたいなと。でも、もっとストレートなウェディングソングも良いなと思って、「marry」が出来ました。

――実際に制作されてみていかがでした?

 どこかペラペラした感じが出てしまうと言いますか、難しさを感じました。それで男性にも女性にも当てはまるようにしたいと考えて、一人称を使わずに歌詞を書いてみました。

――この曲にはUruさんの理想も入ってます?

 そうですね。例えば<どんな姿見たって変わりはしないと 良い時も悪い時も隣にいてくれた>という歌詞は理想です。編曲をしてくださったShingo Suzukiさんはこの曲を聴いて「結婚当初の事を思い出した」と言って下さって。結婚されている方にも聴いてもらいたい1曲です。

――今作を聴いていて感じた事がありまして、特に「Don’t be afraid」なんですけどどこかカレン・カーペンターの趣き、メロディに対する感情の込め方が重なりました。カーペンターズは聴いていたりしましたか。

 カーペンターズさんは良く聴いていました。昔カラオケで「青春の輝き(I Need to Be in Love)」を歌って100点を取った事があるんです! その時すごい嬉しくて(笑)。「Don’t be afraid」はデビュー前からあった曲で、デビュー前のライブでも披露した事があったので、もしかしたら覚えてくれている方もいるかもしれないです。

――カーペンターズのカバーも聴いてみたいです。英語の発音も良いですね。

 ありがとうございます。YouTubeをメインに活動していた時は自分でも発音は気になっていて。私はピンクとグリーンのノートを使って、YouTubeのコメントをピンクには嬉しいコメント、グリーンには厳しいコメントをそれぞれに書いて課題にしていたんです。その中に「英語の発音が気になる」というコメントがいくつかあって…。自分も悔しかったので、そこから英語を習い始めました。まだ習得中ではあるんですけど、そう言って頂けて嬉しいです。

新しい一面や変化を見てもらえたら

『オリオンブルー』初回映像盤

――続いての「頑な」はどんな事をモチーフに書かれたんですか。

 これはボクサーの和氣慎吾さんのテーマソングを勝手に作りました(笑)。和氣さんのドキュメント番組を観て感動して、そのあとにブワーッと出た感情で一気に作りました。歌詞もメロディも同時に降りて来たのですごいスピードで、その番組から自分を信じて突き進んでいくすごいパワーを感じました。

――歌詞にある<「行ける」>や<「必ず」>は和氣さんが実際に番組で言っていた言葉ですか。

 これは実際に言っていたわけではなく、アスリートの方々がこの曲を聴いて、鼓舞出来るような言葉を入れたかったんです。

――Uruさん自身を鼓舞する言葉はありますか。

 私は「大丈夫」です。もう、ライブ前とかすごく緊張するので、ずっと「大丈夫」と心の中で言っています(笑)。

――ステージに立ってしまえばその緊張もやわらぎますか。

 最近やっと少し慣れて来たんですけど、前はライブ中盤くらいまで緊張が解けなかったんです。「コウノドリコンサート」に参加させて頂いた際もツアーで最後の方には慣れてくるかなと思ったんですけど、しっかりツアーファイナルまで緊張していました。

――さて、「いい女」は前作『モノクローム』に収録された「いい男」に続いてのシリーズですね。

 “いい人シリーズ”です(笑)。1stアルバムをリリースした後に作った曲で、次はやっぱり女性かなって。割とスラスラ歌詞も書けて。男性から見たいい女声像というのはわからないんですけど、相手に好きな人が出来てしまって、居なくなってしまった設定で、その相手に対してすがらない女性というのが、私の中での“いい女”なのかなと。強がっている部分もあるんですけど。

――それ、すごい人です! これからもいい人シリーズは続いていきそうですか。

 続けて行きたいですけど、次は「いいおじさん」、「いいおばさん」とかですかね? あっ!「いいおじさん」はすぐに書けそうな気がします(笑)。

――楽しみに待っています(笑)。さて、最後にこれからどんな姿をファンの方に見せて行きたいですか。

 まずは自分自身が楽しんでる姿、あと動きを見せたいと思っています。その動きとは、今までにない動き方で、ツアーもその一つなんですけど、新しい一面や変化を見てもらえたら嬉しいです。

(おわり)

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