GReeeeNの「星影のエール」が主題歌のNHK連続テレビ小説『エール』が30日からスタートした。『エール』は福島出身の作曲家・古関裕而氏をモデルとした作品。その福島県で結成されたGReeeeNのNHK 連続テレビ小説主題歌書き下ろしは初となる。ここでは福島出身の古関裕而氏と、福島県で結成されたGReeeeNの、福島と音楽が紡いだ縁について触れたい。

 『エール』は、昭和という激動の時代に人々の心に寄り添う曲の数々を生み出した作曲家と、その妻の物語。銀行に勤める福島の青年と豊橋に住む女学生が文通で愛をはぐくみ電撃結婚。音楽によって強く結ばれた二人は戦前・戦中・戦後を生き抜き、多くの名曲を生み出した。少し気弱な夫とたくましい妻が織りなす珍騒動。そこに愉快な仲間たちが次々と加わる。

 主人公・古山裕一のモデルとなった福島出身の古関裕而氏は国民的作曲家で、作曲した曲は5000曲に及ぶという。古関裕而氏は音楽の力で戦後日本を応援した。そして、出身地である福島のJR福島駅の発車メロディは古関裕而氏作曲の「栄冠は君に輝く」「高原列車は行く」が使用されている。

 福島で生まれた古関裕而氏、福島で結成されたGReeeeNは、福島という土地と、音楽を通じた重なりが多くある。

 2015年4月からJR郡山駅の新幹線・在来線の発車メロディに、GReeeeNの楽曲「キセキ」、「扉」が起用されている。

 また、2016年の楽曲「始まりの唄」のMVは、福島県東白川郡矢祭町立関岡小学校の最後の日々を記録したドキュメンタリー作品。明治に創立し、142年の歴史のあるこの学校は2016年3月26日閉校。学校の先生よりレコード会社へ「閉校する学校の生徒やその親たちのために記念DVDを制作したく、そのBGMにGReeeeNの『キセキ』を使いたい」という問い合わせがあり、それ聞いたGReeeeNは快諾。

 先生や生徒の学校を想う気持ちに心打たれたGReeeeNは、関岡小学校を多くの人々の心に永遠に刻むべく、閉校までの日々を記録した映像を撮影し、楽曲「始まりの唄」のMVを制作する企画を提案。そこには、GReeeeNにとってもゆかりの地である福島に恩返しをしたいという想いもあったという。

 そして、国の行事として1950年以来毎年春に開催されている全国植樹祭が2018年は福島県で開催され、『第69回全国植樹祭ふくしま2018』のテーマソングをGReeeeNが担当。テーマソングのタイトルは「福ある島」。福島の自然と人々の温かさが感じられる楽曲で、 GReeeeNが故郷に恩返しをした。さらに郡山市フロンティア大使に任命と、GReeeeNと福島との繋がりは多岐にわたる。

 2011年の東日本大震災当時、福島にいたGReeeeNにとっても大きな出来事だった。GReeeeNのリーダーのHIDEは、歯科医師として、福島第一原子力発電所から20km圏内で発見された遺体の検死作業に携わった。

 HIDEは「すごい衝撃があったので、いつもだったら頭の中で音楽のメロディを探すんですけど、思いつかなくなったというか、もしかしたらその時、音楽に意味を見いだせなくなったのかもしれないです。自分の中で音楽を見失ったというか、必要なんだろうかとか」と、当時を振り返る。「(亡くなった人々が)ご遺族の方にお会いできるお手伝いをできたのは、歯科医師になってよかったなって本当に思えた瞬間」と感じているという。

 また、水を届けるように音楽を被災地へ届けたいという思いから、楽曲「Green boys」を無料配信し、東北の多くの方も参加したMVを制作し、音楽の面でも故郷を応援し続けた。

 震災時に音楽の無力さを感じたというHIDE。一方、福島出身の古関裕而氏も、戦時中は自分の作った曲(軍歌)で多くの若い命を戦場に送り出していることに葛藤・自責の念を感じていたという。そして、激動の時代を駆け抜け、戦後も多くの名曲を生み出した。

 激動の時代に「人々の心に寄り添う曲を生み出した」という点で、福島という地、古関裕而氏、GReeeeNの音楽を通じた接点からは、福島を通して重なる部分があり、絆、そして縁が感じられる。

 『エール』の主題歌「星影のエール」は、星影を想わせるサウンドの導入から、力強くも清涼感あふれるGReeeeNの音楽性が深く表れた雄大なアンサンブルが広がり、温かく背中を押してくれる心地よい6/8拍子のリズムの中、希望と愛に満ちた言葉が連なる。

<泣いて 生まれて 響く命>

<星の見えない日々で 迷うたびに 誰か照らすその意味を知るのでしょう>

<愛する人よ 親愛なる友よ 星影に 響くはエール>

 命の尊さ、苦楽を共にする人との繋がり、互いに寄り添う人々の心模様、様々なメッセージと共に多くの人々に向けられた想いとエールが深くもストレートに込められている。

 音楽の力で戦後日本を応援した古関裕而氏に思いを馳せながら、現在進行形で福島という地に、そして日本にエールを送るGReeeeN。音楽を通じての絆と、苦難を乗り越え、笑いと涙の中で生まれる珠玉のメロディ――。

 GReeeeNはデビューからどの時代でも、希望の言葉と旋律を光輝くアンサンブルに乗せ、「今だからこそ伝えたい想い」を多くの人々に向けて発信し続けている。「星影のエール」は激動の時代を生きる人々への“エール”となって、日本中に響き渡るだろう。【平吉賢治】

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