シンガーソングライターのももすももす(以下ももす)が3月3日に、1stアルバム『彗星吟遊』をリリースした。昨年、2月にシングル「木馬」でメジャーデビュー。同年11月に2ndシングル「アネクドット」をリリースし、12月にはソロ初となるワンマンライブ『ももすももすワンマンライブ〜HUEは鳴き続ける。〜』も成功させた。インタビューでは1stアルバム『彗星吟遊』の制作背景に触れながら、2020年のももすが考える自分自身の理想の完成像についてなど、多岐にわたり話を聞いた。【取材=村上順一】

理想の完成像は「ももすももす展」

――アルバムのお話の前に、昨年12月に行われたワンマンライブ『ももすももすワンマンライブ〜HUEは鳴き続ける。〜』についてお聞きしたかった事があるんです。タイトルにある“HUE”とは何ですか。

 それをライブのMCでHUEを説明しようと思っていたんですけど、失念してしまいまして。でも、これはまだお話するのはやめようと思いました。ヒントとしてはフワフワしたものなんですけど。

――それは物体で、皆さんも見たことあるものですか。

 物体です。私は見たことはあるんですけど、おそらく見たことない人の方が多いかも知れません。

――謎が深まりますね。お話していただける日を楽しみにしています。ワンマンライブ当日のテンションはどんな感じでしたか。

 すごく楽しみにしていました。演奏する事に脳の全ての働きが集中している感じだったので、MCのことを忘れちゃってました。

――むしろ完璧じゃないところがすごく良いなと感じます。ももすさんは完成しているものと未完成ではどう感じていますか。

 私は完成してしまったら、生きている意味もあまりないのかなと思っています。今は未完成のままで良いかなって。完成する自分ももちろん見てみたいですけど。

――ももすさんの理想の完成像とは?

 最近思ったんですけど、100年後に伊勢丹とかで「ももすももす展」が開かれたら完成かなと思います。それが今の目標なんです。最近詞とかその時に思ったことを日記としてつけるようになったので、それをショーケースに入れてもらって(笑)。

――いいですね。銅像とかいかがですか。

 銅像は嫌です...。何かマフラーを掛けられたりイタズラされそうなイメージがあって...。なのでちゃんとガラスケースに入った展示会が良いんです!

今の私の活動を四字熟語にした『彗星吟遊』

『彗星吟遊』通常盤

――1stアルバム『彗星吟遊』が完成したしましたが、ジャケットも素晴らしいですね。

 ありがとうございます。川口絵里衣さんというペン画家の方に描いて頂きました。SNSで川口さんを知って、展示会にも観に行かせて頂いたんですけど、もう本当に尊かったです。絵のタイトルにも凝っていらっしゃって、そこもすごく引き寄せられました。

――このジャケットを書いてもらうにあたって、ももすさんからリクエストはされたんですか。

 細かいリクエストはしなかったです。ただ、「火星よ、こんにちは」を1曲目にする事と『彗星吟遊』がアルバムのタイトルという事を伝えて、そこからイメージしていただいたんです。

――『彗星吟遊』というタイトルも良いですよね。

 ありがとうございます。タイトルは曲が全部揃ってから考えました。今の私の活動を四字熟語にしたらどうかなと思って。

――今のももすさんを表す造語なんですね。宇宙がお好きなももすさんですが、一番好きな星は?

 月が一番好きです。

――そういえば、ワンマンライブの時も開演前まで月のオブジェをアンプの上に飾ってましたね。演奏が始まったら撤去されてましたけど(笑)。

 プロデューサーが本番中にも置いてあるとお客さんの目がそっちに行ってしまうからという理由で持ってかれてしまって(笑)。あれは悲しかったです。あの月はボロ市で見つけたんですけど、夕方に歩いていたら、ボロ市のおじさんが、その月のオブジェの電気をつけていて、7色に光り始めました。すごく惹かれましてそれを売って頂いたんです。

――月といえば、月は1年に12回地球を回るわけですが、それと今回の12曲という曲数も関係していますか。 

 それは偶然なんですけど、あると思います(笑)。奇跡的にそうなりました。

――奇跡が起きましたね。曲順はどのように考えたのでしょうか。

 アナログ盤のA面、B面を意識しました。「火星よ、こんにちは」から「シャボン」まででA面が終わって、「隕石」からB面が始まるイメージなんです。

――アナログ盤を意識した流れだったんですね。収録曲はライブでもすでに披露されていますが、いつ頃から作り始めた曲たちなんですか。

 3年くらい前から少しずつ作り始めて、「シャボン」と「うさぎの耳」が最初の方に作っていた曲です。もともとアルバムを作ろうと思っていたわけではないんですけど、この3年で沢山曲が出来て、その中からどれを収録するか考えました。一番最近に作った曲は「火星よ、こんにちは」です。

――「火星よ、こんにちは」では、歌詞の冒頭から猫が登場しますけど、最近猫がお好きなんですよね?

 めちゃくちゃ好きなんです。昨日も猫としゃべる夢を見ました。すごく飼いたいので、それに向けて頑張っているところなんです。

――なぜ猫が気になり出してしまったんですか。

 昔から猫が好きでした。猫に会ってしまうと今みたいな状態にいつもなってしまうので、意識的に猫を避けていたんですけど、映画を観に行った時に上の階にペットショップがあって、ちょっとのぞいてしまったのがいけなかったんです...。

――やってしまいましたね(笑)。

 そうなんです。それでなんでこんな風になるのか考えたら、私はジャン・コクトーという詩人が好きで、その言葉に「私が犬より猫が好きなのは、“警察猫”という職業がないからだ」というのを思い出して、すごく府に落ちたんです。人間に服従しない自由な感じが良いんだなって。

――それで自分も猫が好きなんだと。面白いですね。歌詞に出てくる猫はどのような象徴なんですか。

 私の中にいる猫なんです。この猫を出さないと私は猫背になってしまうので。

――ちなみに火星はどういう場所ですか。いろんな星がある中で火星を選んだのかが気になりました。

 地球よりそんなに遠くなくて、いずれ行き来出来るようになると思うんです。生きているうちに行けるようになったら行ってみたい場所なんです。この曲は未来の話なんですけど、未来の事を語るには過去のことも話さなければいけないと思い、20億年前のオロシリアンという原生代の事を入れました。

――過去に戻り過ぎですよ(笑)。この曲はももすさんがアレンジもしていますが、こだわったところは?

 Bメロのコード進行と、最後の大合唱、そこに入ってくるエレキシタールが気に入っています。

――その大合唱というのは60人分をももすさんお一人でレコーディングされたみたいですね。

 そうなんです。本当にすごく大変でした。テーマが火星ということもあって、スケールが増大だったので、それに合わせて挑戦しました。包み込むくらいの人数で入れたかったので、もう気が狂いそうでした(笑)。

――スケール感が出ていますよね。Bメロのコード進行というのは、いつもとは違うんですか。

 Aメロとサビを繋ぐために、崖のようなイメージのBメロにしたいと思いました。岩場を登っていくようなコード進行にしました。コードが切り替わるタイミングにもこだわりました。

――イントロのギターも楽曲をイメージさせてくれますよね。火星へ向かっていくかのようなワクワク感があります。

 宅録で自分でギターを弾いて録りました。昨年のブラックフライデーで『BIAS AMP』というアンプシミュレーターを購入したので、それを使ってレコーディングしました。

――音も生っぽいですよね。ももすさんがアレンジしたものに加えて、宇多田ヒカルさんなどのアレンジも務める本田優一郎さんが参加されていますね。

 3年くらい前は自分でアレンジをしようとは思っていなくて、その時に本田さんにお願いしてアレンジしてもらうことになりました。初めて編曲していただいたのが本田さんで、私がアレンジを、やってみようと思うきっかけになった方なんです。

――「シャボン」がそうなんですね。

 はい。今回「シャボン」を収録するにあたって、リリースまで時間があったので、改めて壊したいなと思う部分が出てきました。楽器を追加したり、リズムを変えたりしています。

――さらにブラッシュアップして今回収録されて。歌詞の<泣き声抱擁この世は狂気かい>というところがすごくインパクトがあるんですけど、ももすさんの思う狂気というのは?

 狂気に陥った人を何回か見たことがあって、私はそれで人生が変わった部分もあるんです。その人は心が体から溢れ出しちゃって、自分の四肢すらも制御出来なくなっている感じでした。それを見た時に「人間ってここまで感情が暴れだすんだ」と知りました。私はそうはなりたくないので、そうならないようにしているんですけど、もしかしたら見えない部分で私もそうなっているのかもしれないと考えたり。

――確かに自分では気づいていない部分はあるかもしれないです。ちなみにシャボンの魅力はどんなところにありますか。

 シャボンは光に当たると、色んな色に変化するところです。ライブの時に置いていた月のオブジェも色が変わるんですけど、それはシャボンのイメージもあったんです。

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