ロックバンドのアルカラが2月20日、東京・恵比寿LIQUIDROOMで『ア・ル・カ・ラ 10枚目“NEW NEW NEW”レコ発全国ツアー「NOW NOW NOW」』初日公演を行った。昨年発売したアルバム『NEW NEW NEW』を引っ提げ、5月17日のマイナビBLITZ赤坂まで全国20公演を行うというもの。対バンに中田裕二を迎えた初日公演は盛大なテンションと熱気のなか、最高のツアー立ち上がりをみせた。【取材=平吉賢治】

中田裕二、弾き語りで椿屋四重奏のナンバー含む全9曲を披露

中田裕二(撮影=新倉映見)

 アルカラ全国ツアー初日は対バンの中田裕二のステージから幕が開かれた。中田はギター弾き語りで全9曲を披露。MCではアルカラとの交友関係なども語りつつ、和やかな空気ながらも中田の艶やかで豊かな歌唱とプレイでオーディエンスを魅了した。

 中田はアコースティックギターを構えての「ランナー」からライブを走らせ、ギターのボディアタックを交えるパーカッシブなビートにオーディエンスの手拍子が乗り、ギター1本弾き語りながらも中田はリズミカルなビートを刻みつつ楽曲を披露した。

 「Deeper」「月の憂い」と、ギターをセミアコに持ち替えた中田はリードプレイも加えながらの演奏で伸びやかな歌唱を魅せる。ブルーのライトの元でムーディーに、そしてメロディアスに中田の歌声がオーディエンスを包み込んだ。

 MCでは自身9枚目となるアルバムリリースもアナウンスし、再びアコースティックギターに持ち替えた中田は出身地である熊本県の民謡「五木の子守唄」を、魂のこもった歌声で情念たっぷりに歌い上げた。そして自身がボーカルギターを務めていた椿屋四重奏のナンバー「いばらのみち」を弾き語りバージョンでじっくりとメロディアスに聴かせてくれた。

 アルカラとの関係をMCで語る中田は、稲村太佑(Vo/Gt)に対しての印象として、打ち上げの場で友好的にコンタクトしてきたことを思い出しながら「顔の割にメールが丁寧で、フランクかつ失礼な男」と表し、会場の笑いを誘う。中田と稲村の良き友好関係が垣間見られるシーンだった。そして、「アルカラさんには誘って頂いて、本当にありがとうございます」と、この場に招かれたことに対して感謝の気持ちを表し、「MIDNIGHT FLYER」で中田のステージは幕を閉じ、十分にフロアを温めアルカラのライブへ引き継いだ。

アルカラ、計り知れない未知数のライブ熱を暴発

アルカラ(撮影=新倉映見)

 SEが鳴り渡るなか、アルカラメンバーとサポートギタリストの為川裕也と竹内亮太郎が踊りながらステージに登場。5人が揃うとステージ下手から順に、アルバム『NEW NEW NEW』のジャケットでアルカラがとっていたポーズを決める。そしてこのシュールな導入から強烈なバンド拍が数発。稲村がヴァイオリンを奏でる「サスペンス激情 第二楽章」のサウンドがフロアに豪快に、鮮烈に轟いた。華々しいオープニングから稲村が「『NOW NOW NOW』はじめるか!」と景気良くシャウトするとオーディエンスは右手を力強く上げてレスポンス。ツアー初日にふさわしい最高の立ち上がりを見せた。

 ライブ序盤はアルバム『NEW NEW NEW』の曲順通り4連発と、アルバムリリース前におこなわれた昨年10月の東京・渋谷CLUB QUATTRO公演を彷彿とさせるセットリストだ。

アルカラ(撮影=新倉映見)

 1曲目を終え、以降はアルカラと為川裕也の4人編成でおこなわれた。2曲目は電光石火のサウンドアプローチと複雑なアンサンブルを悠々とエネルギッシュに演奏する「瞬間 瞬間 瞬間」。正にそのタイトルが表す通り、瞬間を切り取って爆音で放つというアルカラ独自の世界観がフロアを満たした。高速で瞬くライトと共に光を放つようなプレイの下上貴弘(Ba)、そして瞬間瞬間を拍で叩き込む疋田武史(Dr)のパワフルで熾烈なアタック感のドラミング、そして「ギターのお時間!」と稲村が歌詞の言葉を放つと為川のギターソロが縦横無尽に咆哮。バンドサウンドを止めずに「猫にヴァイオリン」へと続くと、ベースを低く構えるスタイルがクールな下上のゴツいベースラインが地を這い、サビでは命の叫びのような稲村のハイトーンボーカルが輝きを放った。

 稲村と下上のコーラスからの「誘惑メヌエット」では、疋田は迫り来るような四つ打ちビートを強かに打ちつけ、その拍は胸と腰の後ろまでを重低音で揺さぶってくる。そしてオーディエンスとの掛け合いの後に稲村はロングトーンを響かせ、ヴァイオリンを華麗にプレイ。楽曲が3拍子に展開し、再び強烈な4つ打ちへ戻り、後奏では稲村のヴァイオリンと為川のギターが美しいハーモニーを生成させた。そして曲が終わった後、J・Sバッハの「メヌエット ト長調」をバンドバージョンで披露するというスペシャルな展開も見せてくれた。

 稲村はMCで「顔の割にメールが丁寧で、フランクでいて失礼な男――ロック界の貴公子アルカラですけどいかがお過ごしでしょうか」と、対バン相手の中田に“アンサー”しつつ挨拶するとオーディエンスは笑わずにいられない様子。稲村はテンポ良くトークをしつつ、「今日は(ツアーの)始まりの日でしょ? だからこの曲を次届けようと思います!」と、「はじまりのうた」へライブを運ばせた。

アルカラ(撮影=新倉映見)

 稲村&為川の2本のギターの硬質なサウンドの掛け合い、そして下上の強烈なグリッサンド、疋田のヘヴィなビートがスリリングに交わる「はじまりのうた」から「夢見る少女でいたい。」へと続き、凄まじいほどのバンドパワーを受けたオーディエンスは楽曲の拍と共にシンクロしてのアクションを見せ、アルカラのライブの熱気を如実に表した。間髪入れずに鋭いサウンドアプローチがたまらない「チクショー」へと進むと稲村は首にかけたタンバリンを叩きつつ燃え盛るようなトーンのボーカルを魅せる。オーディエンスは熱気あふれるクラップを刻み、下上と為川は同時ジャンプアクションを適所で魅せた。マックスボルテージをフィジカルに表すようなその光景は、赤のストロボフラッシュとこの上なくマッチングしていた。

 そして稲村の「発車準備オーライ!」という契機から「おうさまと機関車」に続き、「捨てるに捨てられなかったぬいぐるみの歌」と紹介された「くたびれコッコちゃん」へ。あふれんばかりの勢いで演奏されつつも、にわとり目線で書かれた歌詞が表す深い情念と別れと新たなスタートという内容がしみじみと心に染み渡るプレイを味あわせてくれた。

 稲村は「みんなそれぞれ何ができるのかって思った時に、俺はステージに立って歌を歌って、みんなが素敵な笑顔になることが凄く嬉しいんです」と、各々ができるそれぞれのことの素晴らしさを言葉にしつつ、「僕がここで最高のライブをすればみんなが笑顔になって、その笑顔をみんなが周りの人に伝えていったら凄く綺麗な世界ができるんじゃないかなって。僕ができるのは、その1ページ目なのかなって思っています。だから音楽を作り続けて歌い続けています」と、想いを語った。そして稲村はテレキャスターからアコースティックギターに持ち替え、「夕焼いつか」をノスタルジックな空気感のなかで熱唱した。これまで弾き語りでは何度も歌ってきたというこの曲だが、バンドバージョンでの披露はこの日が初だという。

アルカラ(撮影=新倉映見)

 稲村の伸びやかなハイトーン、下上のベースの和音が印象的な「未知数2」へと進むと、<同じ時代を>という歌詞がエモーショナルに広がり、曲の後半では<ララ ララ ラララララ>というハーモニーにオーディエンスもシンガロングで加わり、ドラマティックに着地。そして稲村の「俺達は同じ時代に生まれて運命共同体!」という頼もしい言葉からの本編最終曲「TSUKIYO NO UTAGE」へ。ソリッドなサウンド、複雑なパートを勢いたっぷりに、サビのパートで細かくもパワフルに刻まれる疋田のキックの拍と、豪快さ、繊細さ、純粋さ、美しさ、独自感が混じり合ったアンサンブルで演奏するメンバーの姿が輝かしく光を放っていた。

 本編が終了するとアルカラはステージを後にし、稲村はオーディエンスにも、ステージを去る寸前ではステージにもお辞儀をして綺麗にライブを締めくくった。

 しかし本編のみで締めくくられるような勢いではなかったことをオーディエンスは物語る。歓声にクラップと、フロアは盛大なアンコールに包まれた。アルカラはアンコールで「今日のごはんはうなぎ」「ボーイスカウト8つのおきて」と立て続けに披露。レコ発全国ツアー「NOW NOW NOW」初日公演は盛大なテンションと熱気のなか、幕を閉じた。鮮烈なライブ空間という瞬間を体験させてくれた一夜、ここからファイナルまでのアルカラのライブ熱がどこまで膨張するのか、それは計り知れない未知数だ。

セットリスト

『ア・ル・カ・ラ 10枚目“NEW NEW NEW”レコ発全国ツアー「NOW NOW NOW」』
2月20日@東京・恵比寿LIQUIDROOM

▽中田裕二
01.ランナー
02.誘惑
03.Deeper
04.月の憂い
05.※新曲
06.五木の子守唄
07.髪を指で巻く女
08.いばらのみち
09.MIDNIGHT FLYER

▽アルカラ
01.サスペンス激情 第二楽章
02.瞬間 瞬間 瞬間
03.猫にヴァイオリン
04.誘惑メヌエット
05.はじまりのうた
06.夢見る少女でいたい。
07.チクショー
08.おうさまと機関車
09.くたびれコッコちゃん
10.夕焼いつか
11. 未知数2
12.TSUKIYO NO UTAGE

ENCORE

EN1.今日のごはんはうなぎ
EN2.ボーイスカウト8つのおきて

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