4人組バンドのフレデリックが2月24日、神奈川・横浜アリーナでワンマンライブ『FREDERHYTHM ARENA 2020〜終わらないMUSIC〜』を行った。昨年から4つのシーズンに分けて1年を掛け行ったツアーを締めくくるライブは、この1年間の集大成ともいえるパフォーマンスで全20曲を披露し、集まったオーディエンスを楽しませた。この日、2020年秋のツアーに加え、2021年2月23日に日本武道館公演を行うことも発表された。アンコール含め全20曲を駆け抜けたライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

音楽が大好きな気持ちを、もっと上に行くような1日にしたい

 ソウルフルなダンスミュージックがBGMとして高揚感を高めてくれる。チケットはソールドアウトで会場は満員。発表から約1年間、この日を待ちわびたオーディエンスで埋め尽くされた。

「フレデリズムアリーナ始めます」

三原健司(Vo、Gt)の声がアリーナに響き、SEのなか、暗闇のステージに4人が登場。暗闇のステージに4人が登場。オープニングを飾ったのは、神戸 ワールド記念ホール公演でアンコール最後の曲として演奏された「飄々とエモーション」。あの場所からの続きを感じさせる幕開けだった。スクリーンには歌詞が飛び交うように投影。エネルギッシュで伸びやかな健司の声がアリーナに響き渡る。それに呼応するオーディエンスのシンガロングは、序盤からクライマックスのような空気感を打ち出していた。

オープニングを飾った「飄々とエモーション」(撮影=渡邉一生)

 赤頭隆児(Gt)のストラトによるソリッドなカッティングが身体を揺さぶる「シンセンス」へ。健司の「俺たちの遊び場を作ろうぜ」の声により熱気は高まる。オーディエンスの振り上げる腕もシンクロし、美しい光景が広がった。

 そして、昨年リリースされたEP「VISION」へ。理想としてきたビジョン、もっと楽しい未来はきっとこの空間から始まっていくことを実感させてくれた。立て続けに、「オンリーワンダー」へ。LEDのオブジェも踊るようにステージを彩り、オーディエンスのクラップの一体感はフレデリックの真骨頂とも言える。

 健司は「音楽が大好きな気持ちを、もっと“上”に行くような1日にしたいと思います」と話し、音楽の衝動と向き合ったナンバー「夜にロックを聴いてしまったら」を届けた。さらに続けて、好きも嫌いもあなた次第と、感情に寄り添った「スキライズム」は、原点回帰ともいえるフレデリックらしさが詰まった一曲で、横浜アリーナを煽情していく。

 ガラッとグルーヴを変え「シンクロック」へ。高橋武(Dr)のスキルの高さを肌で感じさせる一曲だ。後半で聴ける三原康司(Ba、Cho)の歌声も楽曲のカラフルさ、一つのアクセントに。様々な要素を盛り込んだフレデリック一丸となったナンバーに酔いしれる。

 そして、「真っ赤なCAR」、「LIGHT」とノンストップでミディアムダンスナンバーを繰り出すフレデリック。一昨年からBPM縛りのライブ『フレデリズムツアー特別公演-LIGHT LIVE (4分音符)=120~140』を行い、新たなフレデリックサウンドの楽しみ方を提示したのも記憶に新しい。「LIGHT」ではミラーボールが、ここにいる全ての未来を祝福するかのように眩い光を反射させる。

 オーディエンスのスマホライトがカラフルにアリーナを彩った「NEON PICNIC」。これはメンバーにも内緒にされていたサプライズ演出で、客席に広がる美しい光の景色に目を奪われる。切ないメロディを叙情的な歌声で紡ぐ健司は、その光景に「感動した。ありがとう」と言葉を残した。

「NEON PICNIC」でのサプライズ演出(撮影=ハタサトシ)

 異色な演出だった「峠の幽霊」は、ステージ上はメンバーの姿も目視できないほどの暗闇に包まれる中でのパフォーマンス。しかし逆に捉えれば音に集中出来る空間でもある。後半にはセンターステージに続く花道に、この楽曲を象徴する女性の姿。その女性は緑の球体を手に、ゆっくりとセンターステージへと向かっていく。

「峠の幽霊」での演出(撮影=渡邉一生)

 スモークでセンターステージの様子がわからない中、高橋武(Dr)のカウントから「対価」の演奏が始まると、センターステージにライトが当たり、そこには健司の姿が。瞬間移動ともいえる演出で会場を沸かせ、凛とした健司の歌声が印象的な一曲だった。

 グルーヴィなバンドの演奏に呼び寄せられるように、健司はゆっくりと花道を通りそして、ステージに戻り、真っ赤に染まるステージが視覚的にも興奮を煽るさせる「逃避行」を投下。複雑に絡み合う楽器のフレーズ、間奏で見せた康司によるモジュレーションが掛かったベースソロは異空間へと誘う。

 アリーナというスケールの大きなステージへ向かうための扉を開けた重要な一曲「TOGENKYO」。この曲ができたことで、自分たちの桃源郷へ新たな一歩を踏み出すことが出来た曲ということもあり、そのエネルギーは凄まじいものがあった。

俺たちフレデリックは次のステージに進みます

 後半戦への起爆剤として投下された「KITAKU BEATS」は、康司と赤頭もステージを自由に動きオーディエンスを煽る。健司が「まだまだ遊ぼうぜ!」と投げかけ放たれたのは「バジルの宴」だ。いなたいオルタナティブロックチューンで、また一味違った前衛的なフレデリックサウンドで魅了する。そして、代表曲「オドループ」でボルテージは最高潮。会場全体で奏でた<カスタネットがほらたんたん>の歌詞とシンクロしたクラップは圧巻だった。

 「一番カッコいいフレデリックを見せて帰ります」

 自信に満ちた健司の意気込みから、本編ラストに届けられたのは「イマジネーション」。ズッシリと体に響くサウンドに、エモーショナルなら健司の歌声。フレデリックの意思がビンビン伝わってくる、想像力を掻き立てるパフォーマンス。特効のフレイムボールがガンガンステージで上がる中、健司は「もっともっと音楽を愛してもらいたい」と、メッセージを発しながら、アリーナの客席後方まで自らの足で回る。メインステージに戻ると、張り裂けんばかりの声で「イマジネーション」を歌い上げ、ステージを後にした。

「イマジネーション」で燃え上がるフレイムボール(撮影=渡邉一生)

 アンコールに応え再びステージに4人が登場。センターステージに向かうのに二手に分かれ、集まったオーディエンスに感謝を伝えながら移動し、ここで一人ずつここまでの想いを語った。

 康司は「こういうアーティストになろうと思っていたイメージはあったけど、こういう場所に立って想像できないようなライブが続いていた。自分が思っている以上に、誰かと作ることが好きなんだということを感じているので、それを作ってくれて本当にありがとうございます」。

 赤頭は「本編は思っていた以上に一瞬でした。それだけ楽しかった」。

 横浜出身の高橋は「神戸をやった時に健司くんが言っていたことがあって、ワールド記念ホールは神戸のバンドマンの憧れの場所だと話していたのを覚えていて、横浜出身者にはここ横浜アリーナだと思う。次のキャパシティを目指すときに色んな選択肢があるなかで横浜アリーナを目指せたことが嬉しい。でも、根底にあるのは応援してくれるみんなのためのライブなので、最後までみんなのためにドラムを叩かせて下さい」

 健司は「僕ら双子だけではできないことをメンバーが支えてくれて、面白いなということがもっと広がり、仲間がどんどん増えていきました。自分でも予想していなかった『NEON PICNIC』の演出だったり期待以上のものをいただきました。ここからもっと大きな所に進んでいけるところが作れるのが嬉しい。このままじゃまだ終われないと思っているので、良い音楽を作って鳴らして、遊び切って人生を過ごしたいと思います」と想いを語った。

 FAB!!~Frederic Acoustic Band~スタイルで届けられたのはライブ初披露となった「CLIMAX NUMBER」を演奏。心地よいモータウンビートに乗って、穏やかな冬の日を描いていく。演出による粉雪が舞うなか、センターステージで歌い上げた。

「CLIMAX NUMBER」(撮影=渡邉一生)

 そして、幕が微かに開くメインステージにゆっくりとここまでの想いを噛み締めるように向かう4人。健司は「いつまでもこの歌の主役でいて下さい」と話し、最後は「終わらないMUSIC」を披露。エンドロールがスクリーンに流れるなかでの歌唱は、昨年4月からここまでのエピローグのようだった。

 健司は「俺たちフレデリックは次のステージに進みます」と告げステージを降りた後で再びエンドロールが流れ出して、秋の全国ツアーと来年2月23日に日本武道館の公演が発表され、大きな歓声が起こった。

 ライブは自信に満ち溢れ、これがフレデリックだというサウンドを終始放ち続けた。そして、オーディエンス以上にメンバーがこの会場でのライブを楽しんでいる姿が印象的だった。来年開催される日本武道館公演ではどのような光景を見せてくれるのか期待は高まるばかりだ。

セットリスト

『FREDERHYTHM ARENA 2020〜終わらないMUSIC〜』
2月24日@横浜アリーナ

01.飄々とエモーション
02.シンセンス
03.VISION
04.オンリーワンダー
05.夜にロックを聴いてしまったら
06.スキライズム
07.シンクロック
08.真っ赤なCAR
09.LIGHT
10.NEON PICNIC
11.峠の幽霊
12.対価
13.逃避行
14.TOGENKYO
15.KITAKU BEATS
16.バジルの宴
17.オドループ
18.イマジネーション

ENCORE

EN1.CLIMAX NUMBER(FAB!!)
EN2.終わらないMUSIC

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