ハナレグミが2月7日、東京・NHKホールで新たなツアー『THE MOMENT』が開催された。このタイトルは、永積 崇が、自身の人生においてその時々に<音楽からもらった感動の瞬間>を思い起こし、実際のライブでオーディエンスとその感動の瞬間を分かち合おうと名付けたものだ。この日は、ハナレグミ with 東京スカパラダイスオーケストラ(以下、スカパラ)という豪華な10人編成で「THE MOMENT 〜HORN NIGHT〜」と題した。これまで何度も共演してきた2組だが、この日は、初めてがっつりとひとつのライブを一緒に作り上げ、約4000人が集まった会場を熱くした。

永積 崇(撮影=田中聖太郎)

 まずは、スカパラのインスト「Paradise Has No Border」で幕を開けたが、メンバーが登場するや客席は総立ち。ホーン隊を含め9名の前へと迫る音とGAMOによるアジテーションでいきなり盛り上げていき、曲が終わるころには、谷中敦、GAMO、加藤隆志、川上つよし、北原雅彦、NARGOのフロント6人がギュッと一列に並び、圧倒的なかっこよさでキメてくる。そこへ、GAMOが「彼がいないと始まらない。プライマルダンサー!ミスターソウル!ハナレグミ、永積 崇!」と呼び込むと、永積は踊りながらノリノリに登場した。

 オープニングからできあがっているオーディエンスの熱気に「最初からまちがいないね!」と永積。スカパラの演奏に合わせて、いきなりスチャダラパー「今夜はブギー・バック」のラップを引用するなど、登場から何が起こるかわからない自由な空間になっていた。

 そして、1曲目はハナレグミの1stアルバム『音タイム』より「Jamaica Song」。3階まで総立ちのオーディエンスが裏打ちのリズムに合わせて体を揺らし、大合唱が起きた。さらに「愛にメロディ」では<星に願いをのフレーズ>だけで会場が沸く。歌い終えた永積もアウトロの北原のトロンボーンに合わせて体を寄せ、大きく手を広げ音を感じていた。「(スカパラ9名の)強靭な男たちをバックについつい煽りたくなる」と永積。オープニングからいきなりグッと会場を掴み、ハッピーな空気で満たした。

東京スカパラダイスオーケストラ(撮影=田中聖太郎)

 その後も、スカパラがハナレグミをボーカルに迎えた「太陽と心臓」はもちろん、マイケル・ジャクソンの「Human Nature」など、ハナレグミゆかりの楽曲や永積自身が青春時代に“シビれた”楽曲を披露するなど、まさにこの日この瞬間にしか感じられないシーンの連続だった。

 さらに、この日会場限定で販売された新曲「独自のLIFE」も披露。同曲は作曲を永積自身が手がけ、作詞は原田郁子と共作、さらに編曲はmabanuaという強力なタッグで生まれた。この日はスカパラによるアレンジで軽快なリズムに合わせ、「踊って!」と会場中で手拍子が起きる。全員で歌って手拍子するゴスペルを体感しているような幸福感で満たしたかと思うと、ここでも永積はラップをしてリズムに合わせながら、思いのままにステージを横断する。オーディエンスもスカパラのメンバーも、全員が永積から目を離せず、笑顔で見つめていた。

 この日のライブでは、永積の曲への思いが語られるシーンが随所にあったが、ボブ・マーリーのカバー「Waithing In Vain」がすばらしかった。高校1年生の時に出会ったという同曲だが、歌の合間に、この曲は<君の気持ちを聞かせてほしい>と歌っているのだなどと、ラップなのか語りなのか、演劇のように思いを乗せていく永積。2人編成や弾き語りで歌を聴かせる場面もあったが、音と身体がカチッとはまる、圧倒的な熱量で迫ってくるエンターテイナーとしての魅力も大いに発揮していた。

永積 崇と谷中敦(撮影=田中聖太郎)

 クライマックスでは、ハナレグミがゲストボーカルで参加したスカパラの「追憶のライラック」からフィッシュマンズのカバー「いかれたBaby」になだれ込む。永積はフィッシュマンズのメンバーでもあるドラムの茂木欣一を大フィーチャーし、茂木がボーカルをとるシーンも。スカアレンジの「オリビアを聴きながら」では客席は総立ち。永積の<浮かぶ君たちの顔>という会場に向けられた替え歌に大いに盛り上げ、大合唱の中、大きな拍手で終えた。スカパラのメンバーも永積もお互いをたたえあうように拍手をおくっていた。

永積 崇(撮影=田中聖太郎)

 同会場で本日2月8日、今月末2月23日には大阪・オリックス劇場で「THE MOMENT 〜STRINGS NIGHT〜」が開催される。今度はLITTLE CREATURESの鈴木正人氏率いるバンドに美央ストリングスを迎えた編成となり、全く違うライブを見せるのだそう。さらに、4月には東京・大阪で弾き語りワンマンライブ「THE MOMENT 〜acoustic with moon light〜」を開催。きっと、どれもその日にしかない特別なライブを見せてくれることだろう。大いに期待したい。

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