入江悠監督、音楽の観点から紐解く『AI崩壊』 考える余白になった主題歌
INTERVIEW

入江悠監督、音楽の観点から紐解く『AI崩壊』 考える余白になった主題歌


記者:木村武雄

撮影:

掲載:20年02月06日

読了時間:約8分

考える余白になっている主題歌

完成披露試写会で熱唱するAI

――主題歌はシンガーのAIさんが歌っています。監督が決めたのですか?

 女性ボーカルが良いなというのは編集しているときに決まりました。ハイテクノロジーな話ですし、ハードな部分もあるので。人工知能と人がどう関わっていくのかがテーマですので、映画の最後のシーンを編集している辺りから、やっぱり最後は女性の肉声が聞こえてくる曲が良いなと。女性ボーカルを探している時に、AIさんの名前が挙がってり、AIとAI(アイ)でネタ感はあるなと議論になって。「狙っている」と思われるだろうなと(笑)。

 それでも、AIさんの声の力強さや包容力が、最後にこの映画のテーマも含めて、観客の心に残るだろうなと思ったので、お願いしに行きました。AIさん自身も、最初は冗談と思ったらしいのですが、映画を観て下さって、すぐに書いて下さった。AIさんの声に惚れて、声がこの映画にとっては必要だと話をしたらシンプルに作って下さいました。

――AIさん=ソウルフルな歌声ですが、ソウルいわば感情と人工知能の対比が面白いとも思いました。

 AIさんは地面を想像させるというか、地面に立っている感じがするんです。それが、「僕たちは地球で生きている」とか、母親的なものを想像させたり、色々な想像をさせてくれるんですよね。

――コーラスも贅沢ですね。

 AIさんは、ゴスペルもされているので、人間の声が大きな楽器になるというか。聴いていて、いつも思います。

――鳥肌立ちました。

 AIさんも泣きながら歌ったと言っていました。大事な人を失うとはどういうことだろうとか、家族といる時間は何なんだとか、いろいろな事が含まれてあの曲を歌われていたんだろうなと。映画が終わっても何かが続いていく感じが主題歌から感じられて好きなんですよね。

――人工知能というテクノロジーに対して、主題歌はストリングスでしかも音数も少なくてシンプル。余白がありますね。

 まさにそうですね。制作者側の情報を詰め込み過ぎると、観客が、今後AIはどうなっていくんだろうか、とか幸福になるとはどういうことなのかということを考える余地がなくなってしまうので、そういった意味でも今回の主題歌は隙間を与えてくれている気がします。

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