デビュー21年目に突入した歌手の氷川きよしが2月1日と2日、東京・中野サンプラザで『氷川きよしコンサートツアー2020~それぞれの花のように~』の公演を行った。ツアーは1月28日の埼玉・ウェスタ川越公演を皮切りに、年間を通しておこなうというもの。中野サンプラザはファーストコンサートを行った会場で、2日間4回公演で計8800人が訪れた。デビュー曲「箱根八里の半次郎」や2月4日に発売する第35弾シングル「母」を初歌唱するなど、アンコール含め全23曲を熱唱し魅了した。2月2日の昼の部の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

ゼロからスタートする思いで頑張っていきたい

 ステージには紗幕が掛かっており、両サイドに投影された薔薇の花が鮮やかに埋め尽くしていた。その紗幕の向こうには薄っすらと豪華なステージセットが垣間見える。いよいよ開演時刻になり、氷川による影アナから「それぞれの花のように」でコンサートの幕は開けた。ステージ上段からゆっくりと競り上がりながらの登場。その姿はサナギから蝶へ羽化するかのよう。ブルーのバタフライ衣装で伸びやかな歌声を響かせ、同曲の持つ意志を歌でしっかりと届けた。

 「天地人」を歌い上げ、桜があしらわれた白と黒を基調とした着流しにチェンジし「最上の船頭」へ。氷川による「船が出るぞ〜!」の威勢の良い掛け声から、楽曲の物語が見えるような力強い歌声で歌い紡ぐ。

 MCでは、「20年前のこの日に氷川きよしが誕生しました。20年前の2月2日はコロムビアでサインを書いて、そのあと帰宅し家でジッとしていました」とデビュー日のことを明かした。さらに続けて「みなさんに20年支えられて今日を迎える事が出来ました。感謝の気持ちでいっぱいです。21年目、またゼロからスタートする思いで頑張っていきたいと思います」と気持ち新たに頑張っていくことを述べた。

 「きーちゃん」と呼ぶ声が客席から飛び交うと、氷川も「“きー”でございます。バンバン言ってください」と笑顔で手を振り応える。「お一人お一人に届くように魂を込めて歌うので、最後までお付き合い下さい」とデビュー15周年記念曲の「ちょいときまぐれ渡り鳥」を届け、お馴染みの“きよしコール”も巻き起こった。

 氷川のこぶしが光る「越後の雪次郎」からミリオンヒットとなった「大井追っかけ音次郎」、そしてデビュー曲「箱根八里の半次郎」と代表曲をメドレーのように立て続けに披露。観客もリズミカルにるペンライトを振り、楽しんでいる様子が伝わってきた。

 ステージ初出しとなるマザーブルーの衣装に着替え、MCで「一生大切にしていきたい曲」と語った2月4日に発売される「母」を初披露。なかにし礼氏が3年かけて歌詞を書き上げたという「母」。氷川は情感を込め、他の曲とはまた違った表情を見せる。グッと感情移入させてくれる歌に、観客も静かに耳を傾けていた。

ステージ初出しとなるマザーブルーの衣装で歌唱する氷川きよし(撮影=村上順一)

 20周年当日という事でケーキにまんじゅう2つ=“まん2じゅう”で満20歳というシャレの効いたお祝い。そして、「命ある限り歌い続けます。母から生まれたような真っ白な思いで歌いたい」と、”新生氷川きよし“としての決意を語った。

20周年を記念してプレゼントされたケーキに感激の氷川きよし

 バンドメンバーの紹介から「今年デビューした氷川きよしです」と冗談を交えて挨拶し、居なくなってしまった父にいつか会えますように、という想いを歌った「母」のカップリング曲「いつか会えますように」を清流のような滑らかな歌で表現し、女心を歌った「おもいで酒場」では演歌らしさ溢れる歌声で届けた。

 そして、みんながハッピーになるようにと想いを込めた「東京ヨイトコ音頭2020」では心躍るリズムに乗って、観客とともに手拍子で一体感を作り上げた。そして、アミューズメントパークのような鮮やかなイルミネーションも印象的だった「きよしのズンドコ節」はきよしコールも相まって大きな盛り上がりを見せた。

人間にとって大切なことを歌で伝えていきたい

 眩い青い照明が輝くなか、ゆっくりとポップアップでステージ上段から登場し、凛とした紋付袴姿で「一剣」でコンサートは後半戦へ突入。どっしりとした演奏の上で迫りくる歌唱。雷鳴のSEからスモークがステージを覆うなか届けられた「白雲の城」。そこはセットも相まって、まさに白雲の上にいるかのような空間で、ダイナミックに身体を動かしながら歌い上げ、ステージの下へと戻っていった。

 HKバンドによる躍動感あふれる生演奏から、紅白で着用していた黒と紫のドラスティックな衣装でシリアスでクールなロックチューン「確信」を歌唱。続けて一気に会場をロックな空間に変えてしまった「限界突破×サバイバー」は前半は下手(しもて)の高台で歌唱、後半は上手(かみて)の高台へと移動し、圧巻のパフォーマンス。迫真のシャウトに心震わされ、セクシーなステージングは観客の目を奪った。客席後方まで氷川の熱気が伝わってきた。

「限界突破×サバイバー」を熱唱する氷川きよし(撮影=村上順一)

 バンドによる「限界突破×サバイバー」のインストを挟み、星柄の白い衣装でクイーン(英・ロックバンド)のロックの枠を超えた大曲「ボヘミアン・ラプソディ」をフルコーラスを日本語詩で表情豊かに届ける。氷川の歌唱スキルの高さは、ドラマチックな楽曲の魅力を余すことなく表現。そこから発せられるエネルギーに観客も息を飲み見届ける。

「ボヘミアン・ラプソディ」を歌い上げる氷川きよし(撮影=村上順一)

 氷川は「人間にとって大切なことを歌で伝えていきたい」と語り、先輩方の作品を継承していくことも大事だが、オリジナル曲をもっと作っていきたいと意欲を述べ、本編ラストはGReeeeNが書き下ろした「碧し」。歌詞に2月2日という言葉が入っていて、この日に歌うことでより意味合いが強くなる1曲。希望に満ちた歌声は会場全体を包み込むよう。包容力を感じさせるパフォーマンスで、ステージを後にした。

「大丈夫」を歌唱する氷川きよし(撮影=村上順一)

 アンコールに応え、金色のゴージャスな衣装に身を包んだ氷川が再びステージに登場。披露されたのは美空ひばりの「歌は我が命」。歌手の矜持を体現しているようなメッセージが心を打つ。

 氷川は「次の節目は25周年だと思いますが、25周年というよりも、1日1日を大切に歌い続けていきたい。この世に必要なものは愛と平和と歌だと思います」と話し、最後に昨年リリースした「大丈夫」を届けた。観客とのコール&レスポンスは絆を感じさせる一体感の中、約2時間30分のステージの幕は閉じた。

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