元乃木坂46の伊藤万理華が1月24日から2月11日まで、東京・渋谷のGALLERY Xで展覧会『伊藤万理華 EXHIBITION “HOMESICK”』を開く。「私は話すのが苦手で…」と思いや考えを伝える方法をアートに求めた。2017年に開いた最初の展覧会『伊藤万理華の脳内博覧会』の準備を進める過程で自身と向き合い乃木坂46卒業を決めるなど、彼女にとって展覧会は気持ちを整理する機会ともいえる。そしたなかで迎える約2年半ぶりとなる展覧会は何を意味するのか。卒業後の2年間は「試練だった」と明かした彼女の苦悩。それを経て掴んだものとは何か。【取材・撮影=木村武雄】

 【写真】撮りおろしカット(7枚)

「無駄にしたくなかった」

 「今回の展覧会は新しい自分が見せられる、新たなスタートを切るきっかけになると思います」

 2017年に最初の展覧会を開いた。当時は主催するパルコからの打診だった。今回は自ら「開きたい」と手を挙げた。

 「私は話すのが苦手ですが、その苦手な言葉を使って『展覧会をやりたいです』と伝える勇気が湧いてきて、自分からプレゼンテーションをしました」

 苦手な言葉を使ってまで伝えたいと思わせたものは何か。昨年、あるイベントを取材した。当時と比べ、今いる彼女は明らかに表情が明るい。

 卒業後1年目の出演作は、主演ドラマ『ガールはフレンド』(TOKYO MX)のみ。翌年公開映画の撮影もあったというが、地を確かめながら一歩一歩ゆっくりと進んでいるようにみえる。しかし、実際は異なっていた。

 「実は気持ち的に落ち込んでいて、私にとって試練の時期でした」

 気付けば、創作意欲も失っていた。

 「前回の展覧会で全て出し切って『もうこれ以上はない』と思って…それまであった『新しいものを作りたい』という感情がいつの間にか無くなっていました。私の性格から、本来の自分はもっと外に出ていろんな人と話して、あんなこと、こんなことをやりたいと思っているはずでした。でも、引き籠ってしまい、外に出るまで時間がかかって…」

 その状況でも仕事に真剣に向き合った。一つに『賭ケグルイ』がある。謎の武装集団の犬八十夢役を演じた伊藤は、舞台を観ているかのような臨場感と気迫が溢れる迫力の演技を見せた。

 ただ本人は「現場に置いて行かれないように必死でした」と、目の前のことで精いっぱいだったという。

 アーティストのなかには、実体験が作品に表れるものもいる。創作を続けていくなかで、そのアイディアが枯渇する時期もある。「お芝居とクリエイトな部分は別の考え方をしている」という伊藤にとってアートは、自己を表現する手段でもある。しかし、その創作意欲が失われた。それは何を意味するのか。

伊藤万理華

伊藤万理華

 そもそも、彼女にとってアートとは何か。

 絵が好きで、将来はファッションデザイナーにもなりたかった。乃木坂46在籍時は小説の表紙デザインも手掛け、映像監督とコラボレーションして作られるPVが高く評価され、ファンの間で「個人PVの女王」とも称された。また、ブログではファッション系の情報を発信。「おしゃれ番長」の異名も取った。

 グラフィックデザイナーの父、ファッションデザイナーの母のもとで育った。今回の展覧会にも母がデザインしたファッションが飾られる。

 「親の影響は大きいと思います。でも、小学生の時から漫画が好きで漫画の画を真似して描いていました。そのことも大きいと思います」

 2011年、乃木坂46の1期生オーディションに合格した。多くいるメンバーの中で埋もれまいと自身の特技を探した。最初に打ち出したのは「絵」だった。しかし「私よりもうまい子が多くて…」。辿り着いたのはファッションだった。

 当時からアートに造詣が深いとして注目を集めていた。乃木坂46加入から6年が経った頃、展覧会の話が舞い込んだ。ちょうど進路を悩んでいた時期だったという。

 「展覧会の準備を進めていくなかで、これでおしまいでいいと思いました」

 それが最初の展覧会。テーマは「卒業」だった。

 伊藤にとってアートは自己を表現する手段である一方、気持ちを整理する役割もあるように思える。

 「この2年を無駄にしたくなかった」

 再び展覧会に挑む。今度は自ら手を挙げアプローチした。

 テーマは「家族」や「大切な人」。

 「気づけたことがありました。私はきっとこうやって2、3年後また展覧会をやっているんだろうなと」

 思考はアーティストに近い。作品をみれば彼女がどういう期間を過ごしてきたのかがうかがえる。試練だったこの2年でようやく差した光。晴れやかな表情で見つめるその未来は明るい。

 以下は一問一答。

伊藤万理華

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