令和初の紅白は、斬新なコラボレーションと豊富な演出が光っていた。それは「変化とチャレンジ」を表すような、新時代の幕開を提示していたようにも感じられた。そしてそのなかにも、紅白の“芯”を感じさせる歌唱もしっかりとあった。

 リハーサルの取材では、Foorin、GENERATIONS from EXILE TRIBE、Kis-My-Ft2、LiSA、King Gnu、Official髭男dism、菅田将暉など、初出場となるアーティストが力強い意欲を示していた。

 特に印象的だったリハーサルは、Official髭男dismとKing Gnuの細部まで入念にチェックをおこなう真剣な姿勢だ。Official髭男dismはマイク位置の微調整、演奏中でのメンバー同士の綿密な調整。King Gnuは、わずかなノイズ混入も徹底的に原因究明するなど、初出場となる紅白への意気込み、妥協を許さない姿がそこにあった。

 そんななか迎えた本番、初出場の面々のステージはどれも素晴らしかった。そして、ひときわ心に染みたのはビートたけしの「浅草キッド」の歌唱だった。

 ビートたけしは歌手として紅白初出場。他の出演者の様々な演出や斬新なアプローチのなか、ビートたけしはストレートに、魂が込められた唄を聴かせてくれた。その歌声は、どの世代にも響く見えない力があったように感じた。

 シンプルな伴奏で、ビートたけしはハスキーで深みのある歌声を響かせた。心の琴線を優しく揺さぶるようなその唄は、粋でいなせな温かみに溢れていた。<夢はすてたと 言わないで>というフレーズは、令和という新時代へ向けての希望を抱かせてくれた。

 令和初の紅白では斬新なアプローチが多々あった。“限界突破”した氷川きよしの大胆なパフォーマンスは、新時代に生まれ変わったような姿を見せた。最新テクノロジーでAI美空ひばりとしての姿を見せたことも、新時代の幕開けを感じさせてくれた。

 コラボレーション面でも、天童よしみとMatt、そして関ジャニ∞となにわ男子とピカチュウのコラボ、清塚信也のピアノ演奏で島津亜矢と「糸」を共演するなど、斬新で大胆な組み合わせが多々あった。

 そして東京五輪・パラ五輪やラグビーW杯を絡めたアプローチなど、演出の豊富さが特に際立っていた。それは、「令和からの紅白」という新たなアプローチを提示した部分でもあったのではないかと思える。

 平成から令和と変化する時代の流れに寄り添った様々な演出を見せたなか、ビートたけしは「浅草キッド」で歌に100%力を注ぎ、しっかりと歌そのものを聴かせてくれた。それは、70回続いている紅白歌合戦という番組の“芯”を表しているように感じた。【平吉賢治】

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