シンガーソングライターの立花綾香が12月7日、東京・渋谷duo music exchangeでメジャーデビューミニアルバム『HELLO』発売記念ワンマンライブ「HELLO in TOKYO」公演をおこなった。レコ発ライブは東京、大阪、福岡の3箇所で開催され、初日となった東京公演では、「みなさんが応援してくださったから巡り会えた奇跡」という立花の想いが、歌となり、サウンドとなり、花開くように会場中に広がった。【取材=平吉賢治】

新たなスタートラインに立った立花

立花綾香(撮影=二瓶 彩)

 「まずは曲を聴いて頂いて、会って初めましてと言いたいなという気持ちを――」

 ミニアルバム『HELLO』発売前にそう語っていた立花はこの日、メジャー1stレコ発ワンマン初日という節目、堂々たる歌唱で産声を上げた。

 ライブ開始のSEがフロアに鳴り渡ると観客は総立ちで迎え、クラップを刻んで温かく立花を迎え入れる。立花は白のドレスに身を包み真っ直ぐと前を見据える。力強い歌声は音源では収まりきらないほどの豊かな倍音を広げ、メジャー盤1曲目「最初はHELLO」からライブを走らせた。

 鍵盤弾き語りで披露される曲目ながら、立花は身振りを交えつつ情念を惜しみなく伝える。滑らかなグリッサンドを要所に挟みつつの鍵盤さばき、そして逞しくも繊細なバックボーンを感じさせられる歌唱は、あふれんばかりの存在感を示していた。

 「東京へようこそお越しいただきました。最後まで楽しんで行きましょう!」と、簡潔ながら明朗なMCをはさみ、ライブはリズミックに進行。会場は立花の人間性を表すような清く潔くフレッシュな空気感に包まれる。

 MC明けでは、4つ打ちビートとワウギターのバンドアンサンブルと観客の手拍子が同期し、立花は歌詞とリンクした表情と手振りでパフォーマンス。続く「パスタ」と、ポップな楽曲が連なるなか、ロックバンド編成のアンサンブルは息ピッタリのフィーリングで楽曲の世界観を映えさせた。

 「いままでは生音のバンドアンサンブルにこだわってきたけど、今回からは新たな試みを」

 立花がそう語ったのちに披露されたのは、エレクトロサウンド同期での歌唱。「Eyes」で見せる真剣な物腰、ボーカルは、彼女の深いエモーションがまざまざとライブで表された。この楽曲は、「作った時が自分のなかで一番の絶望期」と、立花はアルバム発表前に語っていた。挫折を乗り越えてたどり着いたこの日のステージで披露された同曲からは、過去の悲壮も現在の希望も、そしてこれからの展望とストレートな激情も、その全ての結晶が混じり合った人間味溢れる深いコントラストで輝きを放っていた。

「みなさんが応援してくださったから巡り会えた奇跡」

立花綾香(撮影=二瓶 彩)

 立花はメジャーデビューミニアルバム『HELLO』について、「ただ寄り添うというよりも、一歩踏み出せるような、あとちょっと力がほしい時に寄せるアルバムにしたいと思いました」と、作品に込めた想いを、スムーズに言葉で表した。

 そして、「頑張っているのにどうして上手くいかないんだろう。そういう時はもちろん私もあります。そういう時に手を引けるような気持ちを込めて」と伝え、『HELLO』収録曲の「あいいろ」を披露。ミドルテンポのなかで広がるファルセット混じりのボーカルがフロアを優しく抱きしめる。

 うっとりとする空気感から一転、「後半戦も楽しんで行って!」という立花の合図と共に楽曲はアップテンポの展開で3曲たたみこむ。奮い立たせるような赤い照明が立花とバンドを熱く照らす。鋭い8ビートのドラムにベースライン、躍動感たっぷりの鍵盤プレイ&ワウギター、そして立花の生命の艶やかさを表すボーカルがライブの彩りを広げる。オーディエンスはその熱量に吸い込まれるようにクラップでアンサンブルに参加し、フロアの熱気は最大限まで押し上げられた。

 そして立花は、「衝動」ではハンドマイクでの熱唱。ライブ後半に向かうほど声量と音圧が増す立花のボーカルのポテンシャルを生々しく示していた。

 立花は本編ラスト曲目「ハルノセ」について、「みなさんに出会って、27年間生きてきたなかで、いままで自分で気づかなかった自分を見つけられました」と、胸中を語った。 

 そして、「新しい自分を受け入れて、さらに先の自分に進むことができて、いままですがっていた自分を“過去の自分”にすることができました。それが“進む”ということなんだなと」と、この曲に出会えて良かったという心境を、朗らかな表情で観客へ伝えた。

 ピアノの音色からゆっくりと、ロックバラードアンサンブルが壮大に広がる。挫折の昇華、そして情熱が花開くその歌声は、会場の隅々まで行きわたり、聴き手の心にフィードバックされるようだった――。

 1分間はあっただろうか、立花は深々と清楚に礼をしてステージを去った。そしてアンコールに応えて再び登壇し、「メジャーデビューは新しい自分に変われるきっかけをもらえたと思っていて、みなさんが応援してくださったから巡り会えた奇跡だと思っています」と、新たなスタートラインに立った感謝の意を会場全員に向けて伝えた。

 アンコール1曲目に披露する「Again」について立花は、「この曲にすがるように生きてきたというか、これが私の一番言いたいこと、これが一番私を表している」と語った。

 そして、「この曲はアルバムには入らなかったけど、それは『ハルノセ』という『Again』のアンサーソングができたから。それによって大切なものになって、それを超えるきっかけになりました」という楽曲への想いを伝えた上で、「Again」をアカペラ混じりに弾き語りで披露した。そしてもう1曲は仕上がり抜群のバンドと共に繰り広げた壮大なアンサンブルでフィナーレとなった。

立花綾香(撮影=二瓶 彩)


 
 メジャーデビュー初のレコ発ライブを終えた立花の表情は、“清々しさ”のその一つ上の言葉で表したいというほどの絶好のスマイル。終演後、立花はメジャーレコ発ワンマン初日を振り返って、「気合が入りすぎたところもありましたけど、やっとここまで来れたという感じがあります!」と、華やかな表情でこの日の感触を表した。東京公演は大盛況で幕を閉じ、レコ発ワンマンは大阪公演、福岡公演へと続く。

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