自分に起きたことに感謝してありのままを愛する

――アニメから受けたインスピレーション、学びなどはありますか?

 中学校までは一般向け的なアニメを観たりしていたんですけど、そこからは一気に深いほうのアニメを観るようになってオタクというかアニメがマイブームになったんです。その時に聴いていたこの曲たちが私の青春時代の象徴でもありますし、私の人生で最も色が濃かった時期ではあります。大人になっていくと丸くなっちゃうというか。

――年齢とともに感性も丸くなっていくという部分もあるかもしれません。

 そうなんですよね。青春時代、いわゆる中二病な頃が、人は感受性と表現力が一番高い時期だと思っていますので。あの時の感性を大事にしたいと思うので、今回自分の代表的な精神世界を表せる曲をカバーさせて頂いたんです。

――そんな本作の曲目の最後には暁月さんのクレジット「暁月凛 / コノ手デ」が収録されていますね。

 「コノ手デ」は『青の祓魔師』のエンディング曲だったんですけど、もともと『青の祓魔師』も大好きで、青春時代を構築する一部だったんです。自分が「コノ手デ」で、この素晴らしい作品に参加することができて感動していた記憶がまだ鮮明ですし。歌詞も自分の精神世界に近いので。

――この曲は作詞作曲が湊貴大さんで、以前のインタビューで「小さいころから湊さんの曲を聴いていたので、自分の中では、もはや同化している」と仰っていましたね。

 はい。最初に聴いたのが「朧月」という曲で、これも中学校の時に何度も聴いていたんです。「朧月」が好き過ぎて1stアルバムのボーナストラックとしてカバーさせて頂いて。本当に湊さんの歌詞が素晴らし過ぎるんです。

――共鳴する部分があったのでしょうか?

 共鳴し過ぎなんです! A.T.フィールドがないというか。(※A.T.フィールド:アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に登場するバリア。心の壁という解釈もある)もともと自分が湊さんと共通している何かを持っているのか、自分が小さい頃から湊さんから影響を受けているのか、もはやわからないんですけど、歌詞で表現している内容がもの凄く共鳴できるし。

 「コノ手デ」の最初のAメロ<泣いたって変わらないなら 笑っても同じ そう思っていた>というフレーズがあるんですいけど、もう正に「何でわかるの?」という感じでした。湊さんとは「コノ手デ」を出す時点ではあまり交流がなくて、お会いしたことも1回くらいしかなくて、そんな深い話をする機会もなかったんですけど、「何でコミュニケーションなしにこんな刺さるような言葉が書けるの?」って不思議に思いました。「コノ手デ」自体は私の精神世界を表現できる1曲でもありますし、世の中奇跡だなと思うような出来事でもありました。

――出会い自体が奇跡だったと。

 そうですね。それで私が『青の祓魔師』ファンでその作品のエンディング曲を歌えるのは奇跡に近いことだと思いますし…この曲は奇跡ですよ!

――それでは最後に、これから新たにチャレンジしたいこと、展望を聞かせて下さい。

 いままではけっこう自分のやりたいことや目標を常に考えていたんです。老子の「無為自然」という価値観があるんですけど、“自然”って言葉は奇跡だと思いません? 自然って「そのままなる」「なるようになる」というか、そのままの姿、自ら物事がそうなるんです。“無為”はそのまま物事が動くのを受け入れるという。ある意味、世界のこのままの姿を愛する意味もあると思うんです。いままでは自分の執着だったり目標や夢とかが強くてずっとそのために頑張ってきたんですけど、それも一つの正解かもしれませんし、でも気づいてみれば世の中って出会いに満ち溢れているし、奇跡が毎日起きているし、起きていることが全部自分の努力のおかげかもしれないという。

 もちろん努力もしなければいけないんですけど、自分に起きていることが全て自分の行動が起こした結果ではないと思います。自分に起きたことに感謝してありのままを愛する、ということを目標にしています。これからは自分のやりたいことや表現したいことももちろんあるんですけど、きっと自分が想像している場面よりも、運命が良い世界を連れてきてくれるんじゃないかなって思います。

――意図的に「こうしよう」ということだけではないと。

 そうです。全てを反抗しないということでもないし、無為自然のなかには「自分のありのままの姿を受け入れる」という意味合いも含まれていて、もし自分が極度に何かを嫌がっていて、極度に行動したい時やしたくない時もあれば、その感情を大事にして、それも含めて受け入れるんです。それも無為自然の一部なので、自然に行動して自然に受け入れると。そう思います。

(おわり)

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