男性2人組アーティストの吉田山田が11月30日、東京・中野サンプラザホールで『吉田山田10周年記念「大感謝祭」』をおこなった。47都道府県ツアーに最新アルバム『証命』リリースもあった10周年の集大成ともいえるこの日の公演、吉田山田はアンコールを含む全23曲を披露。これまでの10年と、これからの未来を提示するライブでオーディエンスを魅了した。【取材=平吉賢治】

「ここから見える景色が僕らの生きてきた10年の全て」

(撮影=松本いづみ・白石達也)

 “10周年記念「大感謝祭」”のスタートは、吉田山田の10年間の軌跡を振り返る映像からだった。2008年から2019年までの2人の様々な姿が流れ、映像が終了すると「魔法のような」からライブが開始された。

 ステージ後方には巨大なミラーボールが設置され、色とりどりの光を反射して10周年ライブを彩る。バンドメンバーはドラム、ベース、ギター、鍵盤、バイオリン、そして吉田山田の7人編成。初曲から山田はステージ前方で左右に移動しながら、エネルギッシュな身振りのパフォーマンスを見せる。オーディエンスからの<LA LA LA>というコーラスは、ミラーボールの光と交わるようにホールを輝かせた。

 MCで吉田は「吉田山田が10年活動してきて、ここから見える景色が僕らの生きてきた10年の全てなんだなって凄く実感しています」と、感慨深くも笑顔で語った。

 大歓声に包まれながらライブは「街」へと進む。吉田はアコースティックギターから赤と黒のカラーのテレキャスターカスタムに持ち替え、8ビートのロックサウンドのなか吉田と山田のハーモニーが駆け抜けた。

 10周年を彩るステージカラーは多種多様に移り変わり、「RAIN」では雨を模したブルーの光がスクリーンに垂れ落ちるように、「桜咲け」では桜色の照明に包まれながら、吉田山田の歌声の色が視覚的に映し出されるようだった。また、「HENSHIN」ではドラマティックな展開で壮大なアンサンブルが奏でられ、楽曲の世界観をホールいっぱいに広げていた。

 客席からどよめきが上がった炎が燃え盛る演出が加わった「欲望」では、ステージのビジュアルに同期するかのような2人の熱唱がミドルテンポに絡み、前半のハイライトともとれる盛り上がりを見せた。

「ちゃんと、命の交換なんだよ」

(撮影=松本いづみ・白石達也)

 吉田は、「『変身』は変わりたいという気持ちを込めたアルバムでした。その次に出した『欲望』は、変身した先に、誰かのために歌う歌ではなくて、自分の中から湧き上がる気持ち、欲望をテーマにアルバムを作りました」と伝え、「そして、3部作完結編としまして『証命』というアルバムが発売されて」と、語ると、山田は「お墓に入れていってもいいくらい」と、作品に対する想いを伝えた。

 真面目な内容のMCだが、言い間違いを吉田がテンポ良くツッコむなど、2人の息ピッタリなMCのほっこりムードはオーディエンスを和ませる。そして吉田が「この3枚のアルバムは特別な想いがある」と締め、「“変身”、“欲望”と僕らの変化を聴いてもらったので、次は最新アルバムのタイトルトラックを」と、「証命」を披露。アコースティックギターと歌の導入、サビの終わりからのバンドイン、2人は真っ直ぐオーディエンスを見据えながら、“命の歌”を歌い上げた。

 そして「笑える」ではムード一転。ハーモニカ、タンバリン、アコーディオンにバンジョーと、陽気なアンサンブルは客席からのクラップを引き起こし、一気にハッピーな雰囲気が花開いた。続く「おとぎ話」ではスクリーンに映し出されたメルヘンな映像と共に、ロマンティックな空気感に満たされた。

 ライブも中盤になったところで、ここからはお客さんからのリクエスト曲の演奏コーナーへ。これは、それぞれの思い入れがある曲を1曲リクエストしてもらったという曲目の、上位3曲が演奏されるというもの。

 まずはリクエスト第3位の「水色の手袋」から。清涼感あふれるバンドサウンド、伸びやかなバイオリンの音色、そしてフェイドアウト&フェイドインのCD音源再現という技も見せ、ライブ感あふれる演奏でオーディエンスを魅了した。さらにリクエスト2位「希望とキャンディ」を演奏したあと、吉田のも「1位は正直びっくりした!」という「ララバイ」へ。リクエスト第1位、そして10周年を迎えたことへの感謝の意がたっぷりと込められた演奏と歌唱を披露した。

 そして続けざまに「夏のペダル」へと進むと、山田はお立ち台に上がっての熱烈パフォーマンス。その熱に触発されたオーディエンスはクラップで応え、一斉に右手を掲げて横に揺らすという会場一体感を見せた。「ここから飛ばして行くぞ!」と山田がさらにテンションを持ち上げると、コール&レスポンスが沸き起こり、山田のロングトーンのコールにも同尺でオーディエンスは応え、ライブは最高潮に向かう。

 ポップなビジュアルアートと共に披露された「Color」、タオルの舞いが巻き起こった「イッパツ」と、圧巻の会場一体感を見せる中で吉田は「見えてるよ! ありがとう!」と、演奏中に満面の笑顔でオーディエンスへ感謝を伝えた。

 そして吉田は、「3、4ヶ月の間に全国をまわってきました。まずは本当に、全国各地でライブをやらせてもらって、遊びに来てくれてみんな本当にありがとう」と改めて感謝の気持ちを伝えた。そして、「人は孤独だからこそ、僕らは吉田山田だから、1人じゃ絶対にできない、2人じゃないと絶対できないことを、これからも信じて、探し続けて行こうと思います」と、10周年の節目での決意表明をし、「Today, Tonight」を情念いっぱいに歌い上げた。

 本編最後のMCでは、山田が「僕らは歌を歌う。みんなはそれぞれ色んなことをやってるじゃない? 日々の生活でも何でも、そういう些細なことのように思えても、ちゃんと命の交換なんだよ――僕らは“歌”という形で、この命をみんなに渡すから、まだまだ続いていくからさ、寂しくなったらまた思い出して」と、感情いっぱいの口調でオーディエンスへ告げた。そして最終曲、「約束のマーチ」へ。きらびやかな光に包まれながら、吉田山田は“命の交換”というフレーズを実感させてくれるような演奏と歌唱を披露した。そして、「10年間本当にありがとう!」の生声の叫びで本編は締めくくられた。

「まだまだ見せたい景色がある」

(撮影=松本いづみ・白石達也)

 <どれだけアナタに助けられてきただろう――>

 会場から巻き起こったアンコールの声は、「約束のマーチ」の大合唱だった。再び姿を現した吉田山田は、「日々」を2人で演奏し、美しいハーモニーを中野サンプラザに響き渡らせた。

 続くアンコール曲目は、ステージにセットされたテーブルにグラスを置き、乾杯をしつつの演奏となった。

 本公演最終曲を前に、山田は「まだまだ見せたい景色があるから、さあ、ついてこれますか?」と客席に言葉を寄せる。オーディエンスは「10周年以降も、もちろん」と言わんばかりの花開くような音の拍手、歓声で応える。「ガムシャランナー」では<走れ 走れ 走れ 走れ>と、吉田山田と一緒に進むことを表すような合唱が輝かしい雰囲気のなか響き渡った。

 10年の集大成、そしてこれからの未来を提示する“吉田山田10周年記念「大感謝祭」”は、ホール満たした輝かしい空気感のなか幕を閉じる。最後に山田は「ずっと言いたかったことがあるんだよね。みんな愛しているよ。この先10年もまたよろしく!」と、吉田は「10年間本当にありがとうございました! これからもよろしく!」と向けたオーディエンスへのメッセージは、“10周年の向こう側”を示すようだった。

セットリスト

吉田山田10周年記念「大感謝祭」
2019年11月30日@東京・中野サンプラザホール

01. 魔法のような
02. 街
03. RAIN
04. 桜咲け
05. 僕らのためのストーリー
06. HENSHIN
07. 欲望
08. 証命
09. 笑える
10. おとぎ話
11. 水色の手袋
12. 希望とキャンディ
13. ララバイ
14. 夏のペダル
15. Color
16. 未来
17. イッパツ
18. Today, Tonight
19. 約束のマーチ

ENCORE

EN1. 日々
EN2. 街が夜になる
EN3. 新しい世界へ
EN4. ガムシャランナー

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