ロックバンドのザ・クロマニヨンズが19日と20日、東京・TSUTAYA O-EASTで『ザ・クロマニヨンズ ツアー PUNCH 2019-2020』の東京公演をおこなった。10月9日に発売した13枚目のアルバム『PUNCH』を引っさげての本ツアーは10月30日の秋田公演から始まり、2020年4月11日の北海道・名寄市民文化センターまで全国58公演をおこなうというもの。ザ・クロマニヨンズは規格外のロックンロールでオーディエンスを圧倒した。東京公演初日となった19日の模様を以下にレポートする。【取材=平吉賢治】(※ネタバレあり)

瞬間的に沸騰するロックンロールのエネルギー

甲本ヒロト(撮影=柴田恵理)


 
 本能をダイレクトに突き動かし、むき出しに弾けるロックンロール。ザ・クロマニヨンズの衝動がオーディエンスの心を、体を、魂をストレートに突き上げ、どこまでも情熱と興奮を揺さぶり続けて全身を高ぶらせてくれる。甲本ヒロト(Vo)のありのままの姿がロックに、真島昌利(Gt)のクールなプレイとのコントラストが世界観を広げ、小林勝(Ba)の骨太なボトムと桐田勝治(Dr)の豪快なドラミングが一塊りとなり、規格外のロックンロールがO-EASTを灼熱のボルテージに仕上げる。

 割れんばかりの大拍手のなか開演されると、オーディエンスは開始1曲目から前列に向かって押し寄せ、一斉に人差し指を力強く掲げての熱烈歓迎。ザ・クロマニヨンズが「会ってすぐ全部」を披露すると瞬間的に沸騰するようなロックンロールのエネルギーが会場を満たした。「やっと会えたぜ!」と、甲本が叫ぶと熱気はさらに上昇。簡潔に心に刺さる甲本の歌、まっすぐ重なり合うようなコーラス、真正面からガンガンと響くバンドサウンドはオーディエンスをこれでもかというほどに盛り上げ、それに応える客席は超お祭り状態で湧きまくった。

真島昌利(撮影=柴田恵理)

 ザ・クロマニヨンズはアルバム『PUNCH』からの楽曲を立て続けに、たたみ込むように演奏し、“会場一体”という言葉のその一つも二つも上を行く一体感を表すような空気感のなか、ライブは電光石火の如く疾走した。

 各メンバーの名前が熱くコールされるなか、MCで甲本は「13枚目のアルバムをやらせて頂いていますが、全部やっても30分ちょっとなので、他のアルバムからもやります」と言い、「セックス・ピストルズは楽でいいよな。1枚出して解散したから」と、会場の笑いを誘った。そして、『PUNCH』以外の既発アルバムから楽曲を演奏。ドシリと胸に叩き込まれる桐田の四つ打ちビートのなかで真島のギターソロが鋭く放たれ、甲本のボーカルと縦横無尽なダンスと絶好に絡み合った。

他に類を見ないほどの圧倒的熱量

小林勝(撮影=柴田恵理)

 続けて甲本は「他にもいい曲がたくさんあるのでアルバムを全部聴こう!」と笑顔をオーディエンスに向けた。そして「それでは13枚目のアルバム『PUNCH』のB面、やらせて頂きます!」と、アルバム後半の曲を次々と披露。ゴツさと滑らかさが交互に繰り出されるベースライン、強拍とブレイクのアンサンブルがたまらない「クレーンゲーム」、そして裏打ちとウォーキングベースのアクセントが光る「整理された箱」と緩急を付けつつも、沸騰したテンションはキープされたまま熱演は続いた。

 真島のギターサウンドが心地よく響くなか、「リリイ」「長い赤信号」を披露。温かみのあるコードストロークと逞しいリズム隊の拍、人間味溢れる甲本のボーカルにブルースハープのプレイと、ストレートに、熱く、温かく、ド直球でザ・クロマニヨンズのサウンドが鳴り渡った。そして甲本は「ここからはお喋りはしません!」と会場に伝え、「単二と七味」に続き、その後はほぼノンストップでライブを走らせた。

桐田勝治(撮影=柴田恵理)

 「ぶっ飛ばして行くぜ!」という甲本の契機で始まる「生きる」ではオーディエンスの熱量はさらに膨張し、拳を掲げて応える。真島は華麗に舞いながらクールにプレイ、甲本はステージ全面に出てオーディエンスとタッチを交えつつと、会場一体感をさらにブーストさせた。ザ・クロマニヨンズとオーディエンスの一体感は激越なエネルギーを保ちながら、甲本の「ありがとう! たのしかったなぁ!」という言葉からの最終曲、「ロケッティア」で本編終了となった。あまりにも濃密な20曲、約1時間強のロックンロールショーだった――。

 大きなアンコールに応えたザ・クロマニヨンズ。上半身裸で登場し、デビュー曲「タリホー」を含む3曲を立て続けに披露してライブに幕を閉じた。

ザ・クロマニヨンズ(撮影=柴田恵理)

 この日のザ・クロマニヨンズのライブを体験して、「ロックンロールを味わいたかったらザ・クロマニヨンズのライブを観ればいい」と、心底思えるほどのライブ感、熱量、張り詰められつつもハッピーな空気感を感じられた。ザ・クロマニヨンズのツアーはまだまだ続く。13枚目のアルバム『PUNCH』の世界観、あまりにも強大でハッピーなロックンロールバンドのエネルギーが全国に轟くかと思うと、ロック魂が震えずにはいられない。

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