シンガーソングライターのましのみが11月15日、東京・Shibya O-WESTでワンマンライブ『ましのみワンマンライブ OKIGARU』をおこなった。をおこなった。ライブは10月に配信リリースされた「エスパーとスケルトン」の発売を記念し、この日の東京と20日の大阪・アメリカ村 DROPの2公演をおこなうというもの。生ドラムやエレキベースなど今までのセットとは違ったスタイルで「ハッピーエンドが見えません」や「エスパーとスケルトン」などダブルアンコール含め全19曲を披露し、一味違うましのみで魅了した。挑戦と実験が詰まった東京公演の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

私も今日は気軽に楽しみたい

ましのみ

 ステージには生ドラム、DJブース、シンセサイザーが所狭しと設置。これまでのエレクトロ要素が強かった彼女のライブとは、違った趣きを開演前から放っていた。今年おこなわれた主催イベント「ましのみpresents 心が上昇するライブ」でのバンドとの共演により生楽器にも興味が湧いたましのみの、新しい挑戦が汲み取れる。

 開演時刻になり、今回初参加となるサポートメンバー、オギノメリョウによるDJプレイでライブはスタート。ノリノリな空間のなか、本日の主役であるましのみがステージに登場し、キーポードで音を重ねていく。そして、高揚感を感じさせる中、今年2月にリリースした2ndアルバム『ぺっとぼとレセプション』に収録されている、ましのみらしい観点から人の確信に迫るナンバー「AKA=CHAN」で幕は開けた。オーガニックなグルーヴに乗って、気持ちよさそうに踊りながら歌い上げるましのみ。「ストイックにデトックス」では、オーディエンスもクラップで一体感を作り出し、ステージとフロアとのシナジーを感じさせてくれた瞬間だった。

 今回のライブタイトル『OKIGARU』について、気軽に楽しんでほしい、という思いから付けられたと説明。ましのみも「私も今日は気軽に楽しみたいと思います」とライブへの意気込み!? を話し「美化されちゃって大変です」、続いて印象的にサビをリフレインさせた「ハッピーエンドが見えません」へ。間奏でましのみはショルダーキーボードを使用し、リードプレーで会場を沸かせた。ましのみ曰く、サカナクションの「忘れられないの」をオマージュしたアレンジで、オリジナルとはまた違った一面を見せてくれた。

 MCでは大学を卒業して出会いがないと嘆くましのみが、マッチングアプリに興味を示している話題で盛り上がった。今回のライブの特徴でもあった話す内容決めていないというスタイル。その場の空気感で話していくましのみは、生き生きと会話を楽しんでいる様子もあった。こういった細かいところも、今までとはまた違った、まさにお気軽でどこかスリリングな雰囲気もあったMC。

 ここで有形ランペイジのsasakure.UKと制作された新曲「エスパーとスケルトン」を演奏。この曲は撮影OKということで、オーディエンスはスマホをステージに向け、録画しながらも、ましのみの挑戦がつまったナンバーをじっくり堪能。

 シーンは一転し、しっとりとしたバラードナンバー「錯覚」を披露。続いて、ましのみによる弾き語りから、バンドサウンドへの変化がドラマチックさに磨きをかけた「凸凹」は、一際楽曲の世界観を強くしていた。季節感を感じさせ儚さを感じさせてくれる「フリーズドライplease」は、この曲が持つ情景を歌と演奏で届けてくれた。今の季節に寄り添った一曲で煽情させてくれる。

みんなの輪が広がって始まりになれば

ましのみ

 後半戦は「ゼログラビティのキス」。人と関わるからこそ生まれる感情、そこから逃げてはいけない、それを忘れないようにと、ましのみは丁寧に情感を込めて歌う。その空間は重力から解放されるかのような、心が解き放たれていくような感覚を与えてくれた。

 メンバー紹介を経て、渋谷といえばこのナンバー「Hey Radio」を投下。オーディエンスと心のチューニングを合わせながら、ライブも佳境に突入。身体を動かさずにはいられない「名のないペンギン空を飛べ」、そして、オーディエンスによる、リズムに合わせた腕の振り上げが美しい光景を作り上げた「コピペライター」、そして、本編ラストは、ましのみのポップセンスが光る「プチョヘンザしちゃだめ」。再びショルダーキーボードでリードプレイも披露し、アグレッシブな一面を度々覗かせながら、ステージを後にした。

 アンコールの手拍子に応え、サビでのシンコペーションによる疾走感、躍動感が心地よい「灰かぶり姫」でアンコールはスタート。ドライブ感のあるグルーヴにキラキラとしたサウンドで、会場は再び熱さを取り戻していく。

 そして、過去に弾き語りでは披露したことがあると話す新曲「薄っぺらじゃないキスをして」をバンドアレンジで初披露。思春期の青々しい気持ちを閉じ込めた、その時の気持ちを忘れて欲しくないというメッセージが込められたミディアムソング。情感を込めた歌声はスケール感の大きさを感じさせ、この夜に溶け込んでいくようなサウンドと歌を会場に響かせた。

 フロアからは鳴り止まない手拍子。ダブルアンコールに応えましのみが再びステージに。弾き語りの即興で「モチベーションa lot」を披露。オーディエンスにクラップを煽り、その音をバックに軽快なキーボード演奏、さらにシンガロングも巻き起こった。

 ましのみは「こんなに力を抜いてライブをしたのは人生で初めてだと思います。私がやりたいことはみんなに歌で楽しくなってもらうこと、日々の嫌なことを忘れられたらいいなって。私が力を抜いてやっても、みんなも力を抜いて楽しんでくれたのが希望になりました。こうやってみんなの輪が広がって、始まりになればいいな――」と想いを語った。

 「今の私にとっての中心は、私の曲を聴いてくれているみんなであり、私はみんなの中心ではなくてもいい、みんなが追いかけ続けるためのパワーを私が与え続けられれば」と、ラストにもう1曲、このライブのエンドロールのように響いた「それ以外」。聴くものそれぞれが、自分の中心にあるものを想像しながら、ましのみの歌声に耳を傾けるなか『OKIGARU』の東京公演はフィナーレを迎えた。

 新しい表現方法、武器を見つけたことを実感させてくれたステージ。12月26日には『ましのみpresents 心が上昇するライブ vol.4』をおこなうことも発表し、2019年も残りわずかだが、まだまだ何かやってくれそうな期待感を、しっかりと与えてくれるライブであった。

セットリスト

『ましのみワンマンライブ OKIGARU』

11月15日@東京・Shibya O-WEST

01.AKA=CHAN
02.ナンセンスに逆戻り
03.ストイックにデトックス
04.美化されちゃって大変です
05.ハッピーエンドが見えません
06.Q.E.D.
07.エスパーとスケルトン
08.錯覚
09.凸凹
10.フリーズドライplease
11.ゼログラビティのキス
12.Hey Radio
13.名のないペンギン空を飛べ
14.コピペライター
15.プチョヘンザしちゃだめ

ENCORE

EN1.灰かぶり姫
EN2.薄っぺらじゃないキスをして

WEN1.モチベーションa lot
WEN2.それ以外

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