俳優の落合モトキ(29)が短編映画『歩けない僕らは』(11月23日公開、佐藤快磨監督)に出演する。回復期リハビリテーション病院を舞台に新人理学療法士・宮下遥(宇野愛海)の奮闘を描く。落合は、遥にリハビリを受ける患者・柘植篤志役を演じる。脳卒中で左半身不随となった篤志。難役だが、落合にも同じ症状の身内がいて、演じるにあたり向き合ったことで様々な発見があったという。そんな彼は大の音楽好きで知られ、ミュージックビデオ(MV)にも多数出演。最近では高校時代から好きだというストレイテナーの楽曲「吉祥寺」のMVにも出演した。少年のような表情を浮かべ語る音楽の話を含め、本作への思いを聞いた。【取材・撮影=木村武雄】

向き合ったことで変化、応援してくれる人の必要性

――出演が決まった時の心境を教えてください。

 監督からお話を頂いたのですが、僕の身内にも同じ症状の方がいて、これまで目を背けていたところもあって。でもそのお話を頂いた時に、その方との向き合い方が変わるかもしれないという予兆を感じて。これは向き合わないと役に向き合えないとも思って、一生懸命にやりました。結果、自分のなかで変わったものがあって。でもそれはプライベートな話ですけどね。

――プレッシャーは?

 それはありました。でもそれも自分のなかでちゃんと整理したら消えて、撮影中はそれを感じずに臨めました。体的な役作りはしませんでしたが、動けない分、自然と太っていきますよね。そういう所は意識しました。

――向き合ったことで何か発見したことは?

 ずっとその方の事を見ていましたので、発見は常にありました。それを自分のフィルターを通してやるのは難しいところもありましたが、でもそれもその方と向き合えたからできたのかなと思います。その人の動きや心情を役に落とし込んだところもありましたから。それと監督とプロデューサーがクランクインする前にリハビリ施設を見学する機会を作ってくれて、撮影前に実際の様子を見られたのはありがたかったです。

――そういう方をどこかで「可哀そう」と思っているところもありましたが、接していくうちに考え方は変わって。ご自身が演じてみてどうでしたか?

 それはそういう症状になったらつらいと思うんですよ。でも、体を治すという点から見ても向き合わないといけない。僕が演じた柘植篤志は、近くに後輩しかいなくて、退院したその先が問題なのかなと思いますし、「突然脳卒中になって、半身麻痺になる」という状況は自分にも訪れるかもしれないことなので怖く感じました。

――自由だから感じられないところもあって、逆に不自由になったことで得られるものもあるんじゃないかと思うところもあります。

 もしそうなったら自由の時だったありがたみを感じると思いますよ。例えば入院した人は、普段の生活がいかに良かったかを感じると思いますし。病気によっては甘いものも食べられない、外出もできない。甘いものが好きだった人が入院中は制限があって、それで退院して食べたときのおいしさ、そこにありがたみを感じると思います。

――向き合えたら何かが見えてくるのかなとも思いました。

 第二の人生を楽しもうと前向きに生きるしかないですよね。

――東京五輪に向けてパラスポーツが盛り上がっていますが、取材して感じるのはパラスポーツ選手の強さ。そもそも私たちの見方が間違っているんじゃないかなと思うこともあります。

 パラスポーツ、いいですよね! 柘植のように気持ちが沈んでいる人もいれば同じような障がいを持っていても国を背負う人もいるわけですからね、すごく素晴らしいです。みんな応援してくれますしね。そうそう、応援してくれる人が柘植にはいなかったんですよ。それが前向きな方向に向けられない原因の一つになっている。

――柘植にとっては宇野さん演じた理学療法士の遥も応援してくれる人の一人だったわけですが、彼にとってはどういう存在?

 最初はおせっかいな人だなと思っていたと思う。でも(疾患により、入院期間が決められているため、)柘植はそのリハビリ施設を退院するんですけど、最後はありがたみを感じるんじゃないですかね。僕のなかでの象徴的なシーンがあって、それは、自分はこっちに行きたいけど、彼女がこっちに正しているシーン。あれが2人のビジュアル、気持ちの中を表していて。

――その遥が柘植に言う印象的なセリフに「その先が大事じゃないですか」というのがありました。

 そうそう。でもあれは遥自身にも言い聞かせているんだと思います。

落合モトキ

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