俳優の板橋駿谷(35)が短編映画『歩けない僕らは』(11月23日公開、佐藤快磨監督)に出演する。回復期リハビリテーション病院を舞台に、半身不随患者・柘植篤志(落合モトキ)をサポートする新人理学療法士・宮下遥(宇野愛海)の奮闘を描く。板橋は宮下の先輩・田口勝を演じる。NHK連続テレビ小説『なつぞら』では当時34歳で番長・門倉努役を好演し話題に。以降、話題作だけでなくバラエティ番組にも引っ張りだこ。「今まで歩いたことがない道を歩いている」と驚きを隠せないが多忙のあまり難聴になったという。また本作での役作りでは全治1年のケガをした経験を活かした。俳優だけでなくラッパーとしても活動する板橋に本作、そして今の心境、更には音楽について聞いた。【取材・撮影=木村武雄】

あまりの忙しさに難聴

 インタビューを始める前に、音楽の話になった。ちょうどその時、曽我部恵一(サニーデイ・サービス)に作曲を依頼していたという曲が届き、それを記者に聴かせてくれた。印象的だった「螺旋階段」というフレーズ。「僕の母が言っていた言葉です。人生は螺旋階段。同じところを歩いているように感じるけど少しずつかもしれないけど絶対に上っているから、と。人生は落ち込んだり色々あるけど、絶対に前へ進んでいるからって」。対面して5分。彼の人柄を形成する一部を見た気がした。そして、その言葉は本作にも重なる。

 大学在学中の2004年に初舞台に立った。以降は舞台を中心に活動。2012年に入江悠監督映画『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』に出演して以来、『日々ロック』など入江監督作品に多く出演する。一躍注目を集めたのは今年放送されたNHK連続テレビ小説『なつぞら』。当時34歳で高校生の番長を演じ「違和感がない!」と話題になった。役者人生15年、今年35歳。

――良い歳の取り方をされているように感じます。

 最近写真を撮ってもらえたことがあって、表情に威圧感があって、俺、歳重ねてきたなって(笑)。良いのか悪いのか分からないけど、苦労というのは顔に出るのかな(笑)。それがこの先どうなるか楽しみなんですよ(笑)。まだまだ、これからですよ。

――そういう過程で今年は大活躍の年と言って良いと思いますが、自分にとっては転機でしたか?

 転機ですね。あまりにも変わりすぎて…(笑)。今年7月半ばくらいに「こんなに仕事がくるんだ」と驚くぐらい仕事をいただけてびっくりしちゃって。今まで歩いたことがない道を歩いているんですよ。全く分からない道だけどそれが正解だと思いながら歩いていて。実は仕事が増えたときに難聴になったんですよ。精神的なもので、耳が聴こえなくなってしまって。自分ではストレスを感じていなかったんですけどね。2、3週間ぐらい続いて8月半ばに自然に治りました。「もうやるしかないから、まずやってしまえ」と。「1個ずつこなしていく」こと。「先の事は考えず、とにかく目の前のことを、しっかりと1個ずつ1個ずつ、丁寧に一歩一歩やっていけば、大丈夫」と自分に言い聞かせて、必死に歩いてきました。

――忙しいこの状態もいずれ慣れていきますか? 慣れてしまっておごりが出てきたときにはこの年を思い出したり?

 そういう風にできると良いですよね。慣れていくという事があるのかどうなのか今の自分には分からないけど、35歳になってなかなか慣れる事ってないと思うんですよ。いつ消えてもおかしくないと思っていますから。この状態はたまたまなので、この先もいつ消えてもおかしくないというのがずっとつきまとっていくんだろうなと思います。だからバラエティにも挑んで、毎回「全然ダメだった」「すべりまくったな」と(笑)。もう2度と無いだろうなと思ってやっています。自分は芝居がやりたいけど、バラエティは今までに見たことがない景色だったので、やってみたいという気持ちが大きいので、毎回、新鮮。だから、おごりはないでしょうね。

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