板野友美が10月16日にミニアルバム『LOCA』をリリースした。ツアー『板野友美 LIVE 2019“T”TOUR』を意識して制作した本作は、板野自身が作詞した4曲、作曲した1曲の計6曲を収録。なかでも表題曲は初挑戦にもなったラテン調を取り入れたナンバーで板野の新たな魅力が引き出されている。昨年のバンドツアー、そして今年6月1日のワンマンライブを通じて、自身のやるべきことが見えたという彼女。自身はあくまでも「無意識」というが新たなフェーズに突入していることをうかがわせる。彼女の「今」に迫った。【取材・撮影=木村武雄】

ライブを意識して制作した作品

――本作を聴きましたら原点回帰と新たな変化を感じました。どういう流れで制作を進めたのでしょうか。

 今回のツアーが決まってからアルバム制作を始めました。そもそもそういう進め方も今回が初めてで。6月1日のワンマンライブ(板野友美 LIVE 2019/マイナビBLITZ赤坂)はすごく充実したものになりましたが、次のツアーに向けて「もっとこういう曲があったらいいな」と思ったものを作ろうと思って。例えば、ファンの方ともっと盛り上がれる曲や、ダンスナンバーをここ最近作ってこなかったのでそうした曲、そしてライブの最後に歌いたい曲など。「LOCA」に関して言えば、私自身洋楽をよく聴きますし、ラテン曲が世界的にも流行っているので取り入れてみたいなと。そうしたことも含めて、自分の考えを整理してから進めていったのですごくやりやすかったです。

――ジャケット写真は「LOCA」に合わせて?

 そうです。情熱的な女性をイメージしています。いままで意外となかった感じです。

――先ほど6月1日のワンマンライブで感じたもの、ということでしたが、そもそも6月1日のワンマンはどういうことをテーマに?

 去年は私自身初めてのバンド編成でのワンマンライブでダンスを一切やらなかったのですが、今回は原点に戻るということではないですが、ダンスナンバーは私の曲の中でも多いし、ダンスも「板野友美」の一つを表現するのにふさわしいものなのかなと思ったので、それをもっと磨いていきたいという気持ちもありました。そうしたことを踏まえてのダンスナンバーが多めのワンマンライブにしたいと思い、臨みました。

――そのライブでは「女性の日常」を切り取ったかのような物語性も演出から感じました。

 そう思っていただけるのはすごく嬉しいのですが、実はそれは意識していなくて。ライブはどちらかというと、ストーリー性というよりも1曲1曲を見せるという感じでした。前回バンドライブをおこなったことで、「この曲はバンドでやったほうがかっこいいな」、「この曲はダンスありきだな」、「この曲は踊らないで聴かせたいな」とか、1曲1曲に対してしっかりとその曲にふさわしいパフォーマンスが見えてきたので、今回のライブでは、ダンサーとのパフォーマンスで映える曲を選びました。

――今回のミニアルバムでは女性心を歌っているものが多いですね。

 結果的に恋愛曲になりましたが、実は作り始めた当初はこうしようとは全然思っていなくて。今回も何曲か作詞させて頂きましたが、作詞するにあたっては、まず曲を選ぶところから始めますので、まず曲を選んだり、作家さんに要望を伝えて作って下さいました。それでその曲を聴いたときに降りてきた、浮かんできたイメージを歌詞にします。そうやって書いた後に読み返してみたら恋愛曲になっていたという感じでした。

――過去にも話されていたけど、結構その時の気分で曲を選ばられるから、たまたまそういうモードだったかもしれないですね。

 どうなんですかね。「こういうアルバムにしたい」という気持ちがあったわけではなくて、1曲1曲に対してのストーリー性を大事にしたくて。小説でいうところの短編みたな。そうした1曲1曲を集めたらこうなったという感じです。でも、こう話していると、そういうモードだったかもしれないなとも感じます(笑)。

――「LOCA」に関してはラテン系を入れてみたいという気持ちもあったということですが、ほか4曲に関してはどのように作っていきましたか?

 「恋ゴコロ」に関しては、過去の曲のパート2的なものでポップな曲にしてほしいというところから始まりました。何の曲とは言いませんけど…(笑)。その曲はライブでもすごく盛り上がるので、そうした曲が欲しくて。「LOVE SEEKER」は久しぶりにかっこいいダンスナンバーをやりたくて、私の曲にはロック調のものが少ないからロック調のダンスナンバーをお願いしました。

――「LOCA」は歌ってみていかがでしたか?

 難しかったです。スペイン語も難しいですし、曲自体のテンポもスローなので、「LOCA」の主人公になり切って、いつもの自分とは違う感じで歌いました。いつも通りに歌ったらラテンのムードに合わないといいますか、それこそお芝居のように何かを演じながら歌わないと表現できないので、「歌う」よりも「話す」感覚でした。

――全体を通して、キーが高いものから低いものまで幅広くありますね。

 歌っているときは考えていなかったけど、あとから聴き直して思ったのが、1曲ごとに歌い方や声の感じが違うということでした。「LOCA」に限らず1曲1曲にストーリー性を重視して作ったから、その役を演じるみたいに歌っていたのかなと思います。「恋ゴコロ」や「エースのB君」を歌う時は若い感じで10代の女の子の気持ちで歌っていますし、「LOCA」は大人な恋だから大人な女性の心で歌っているし、「Destiny」は今の私の等身大を歌っていますし、自分が作詞している部分もあるからそれに入り込んで歌っているというのは後々になって思います。

――今までは?

 ミニアルバム全曲が新曲というのが今までなかったというのもあります。例えば、アルバムでも過去の曲を収録するときに「この時はこういう気持ちだったのかな」とか「年齢が表れているな」と思うこともありますが、今回は多少はずれていても全曲ほぼ同じ時期に録って。それでも歌い方や声の出し方が違うから、それはきっと役になって歌っていたのかなと思います。

――お芝居の経験も影響している部分はありますか?

 自分では分からないですが、でもお芝居によって表現の引き出しは増えていると思います。もしかしたら歌にも無意識に反映されているかもしれないですね。

――作詞するにあたっては?

 歌詞はすんなり出てきました。メロディを聴いたときに映像が浮かび上がって、それを歌詞にするような感覚でした。例えば「恋ゴコロ」のメロディを聴いた時は、季節外れだけど夏らしいなと。夏に聴きたいピュアな恋愛、夏の青春や10代の甘酸っぱい恋心が浮かんで、ピュアな片思いをイメージして書きました。

――なかでも自分としては挑戦だった曲は?

 自分一人で作詞したのは「Destiny」です。ライブの最後に歌いたいなと思って作詞しました。この曲の作詞は大変でしたがお気に入りの曲になりました。運命と思える人と今世でも出会えたということを描いています。それは恋愛だけの話ではなくて、家族や友達もそう。言葉を交わさなくても会った瞬間に「気が合うな」と思える人っていると思うんです。そういう人とは久しぶりに会っても「気が合うな」と思える。一緒にして楽だなとか、居心地がいいなとか。趣味が合っているとかではなくて、その人が放っている空気感といいますか。そういう人とはきっと前世あるいはその前から一緒だったと思うんですよね。その人とこうして今世でも出会えていることへの感慨深さといいますか。記憶で覚えているのではなくて、心というかそうした見えない絆で繋がっている、ということを歌いたくて。

板野友美

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