11月3日に放送が始まったNHKプレミアムドラマ『歪んだ波紋』(毎週日曜よる10時)。放送開始に先立って同局でおこなわれた記者会見には主演の松田龍平をはじめとしたキャストが出席。それぞれ本作への思いを語った。

 本作は、塩田武士氏の同名小説を原作に、自身が流した誤報と向き合いながら真相を追う沢村政彦(松田龍平)ら様々な記者の人生模様をスリリングに描き「報道」の現在に迫る。

 会見前には第一話の試写会が催された。松田らの自然体な演技にどんどんその世界に引き込まれていく。そのなかで、目に留まったある女優の演技があった。夫を交通事故で亡くすも犯人であるかのように報じられ、誤報の被害に遭う森本敦子役を演じる小芝風花だ。

 そのシーンは、松田演じる新聞記者の沢村が、森本に事件当時の話を聞く場面だった。森本は夫への思いや後悔の念に駆られ感極まるが、その時の表情がなんとも言えなかった。人は泣きそうになるとき口角が下がり震えることが多い。しかし小芝は、上唇の先端が小刻みに震えていた。

 言葉にしたくても様々な感情が入り乱れ口にすることができない役柄の心情を、その唇の動きだけで十分に伝わってきた。

 調べてみれば、ほかの作品でも感情が極まる場面で同様な動きが見えた。上唇で、その役の感情の動きを表現できるのは、彼女の個性とも言えるだろう。

 その会見では「最初に書かれたものが訂正記事よりも大きく広がっていくことが衝撃的で、怖さを感じました。それ以来(記者の)皆さんが怖くて。言葉を間違えたらどうしようか、意図しない方向に載ったらどうしようと。なので、温かい記事をお願いします」と語り、和ませていた小芝。本作と共に、今後に期待したい。【木村武雄】

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