コトリンゴ、のん、岩井七世、片渕須直監督

 のん、岩井七世、コトリンゴ、片渕須直監督が『第32回東京国際映画祭』会期中の4日、都内で開かれた映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(12月20日公開)ワールドプレミアに出席した。

 こうの史代さんの同名コミックを原作した映画『この世界の片隅に』(2016年11月12日公開)を原型に新たにエピソードを盛り込んだアニメ映画。第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向き、日々の暮らしを紡いでいく女性・すずの深い感情を描き出す。

のん

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 主人公のすずを3年ぶりに演じたのんは「期間をおいてから同じ役を演じるのが初めての経験でしたのですごく緊張しました。何度も作品や原作を読み返したり、新しいシーンに対してどう解釈しようかと構築していくうちに、なんとなくすずさんの皮膚感が蘇ってきて。監督への信頼もあったので、しっかりと強い気持ちで臨むことができました」。

 遊郭に迷い込んだすずを助けるリンを3年ぶりに演じた岩井は「3年が経って、新しく入ったシーンをすごく楽しみにしていました。自分でも呉に行ったり、(前作を)10回ぐらいいろんな映画館に見に行って。作品のファンでしのたでとても緊張しました。ですのでなるべく気張らず、リラックスして監督の話に耳を傾けて臨みました」。

 劇中ですずは嫁ぎ先である呉で、夫・周作とその家族に囲まれ生活を送る。悪化する戦況のなかで生活は困難を極めるが、工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。そうしたなかで出会ったのがリン。境遇は異なるものの呉で初めて出会った同性代の女性でやがて心を通わせることになる。

 のんは、すずにおけるリンの存在を「すずさんはお嫁さんの義務を果たすことで自分の居場所を見つけないといけない。そう過ごしている中で、すずさんに絵を描いてほしいと言った人がリンさん。それによって自分のなかにあるものを認めてもらえた、そこを心のよりどころをしていたと思います」と大切だったと紹介。

 しかし、すずは、リンと周作には秘密の繋がりがあることを後に知ることになる。のんは「すずにとってはすごく複雑な気持ちだと思いました」とし、「自分がどこに感情を向けばいいのか戸惑っている気がして。いろんな感情が入れ代わり立ち代わり外に出てくる。そうした複雑な感情は難しいと思いましたが、監督に演出してもらいながら『こういうことか』と気づけた部分もありました。すごく自分自身もたくさん気づけた部分もあって再び挑めて良かった」と述べた。

コトリンゴ、のん、岩井七世、片渕須直監督

 本作で4曲を新たに書き下ろし、エンディングテーマ「たんぽぽ」を再録したコトリンゴは劇中の音楽に寄せる思いを、「すずさんの世界で、リンさんが大きく関わっていて、周作も関わってくる。それぞれの登場人物の音楽を発展させるかたちで自然に、新しいシーンが繋がっていけばいいなと思い作りました、『たんぽぽ』は聞いたイメージをそんなに変えたくなくて。これで本当の完結かはまだ分からないけど、名残惜しい重厚感を出したいと思った」と明かした。

 監督は「2016年の東京国際映画祭で初めて皆さんの前に現れました。3年の時を経て帰ってきたような感じです。すごく長い映画なのですが、実はまだ途中でして、あと数分は長くなる。もっと長いすずさんの人生の1、2ページがちょっとだけ多く開かれるような。すずさんの人生をこの映画を通じて感じてくれたら」とした。

コトリンゴ、のん、岩井七世、片渕須直監督

 更に、前作はすずと周作の姉・径子の葛藤が主で「2人の関係がどうなるかですずさんの道が進められていく」とし、本作については「もっと複雑で人間ってそんな簡単なものではないと思う。セリフや表情などを新たに入れたことで、本当はあんなふうに思いながらしゃべっていたんだと思浮かべることができる。すずさんという人格、存在が多面的になった」と紹介した。

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