シンガーソングライターの果歩が10月15日、東京・下北沢SHELTERで「水色の備忘録」リリース記念ワンマン『彼女の備忘録』をおこなった。ライブは10月9日にリリースされた自身初となる全国流通EP『水色の備忘録』のリリースを記念しおこなうというもの。20歳になって初、東京での初ワンマンとなったステージは「彼女たちの備忘録」や「光の街」などアンコール含め16曲を披露。ライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

バンドサウンドから弾き語りまで多彩なステージ

果歩(撮影=鈴木友莉)

 10月13日に20歳の誕生日を迎えた果歩。台風の影響もあって関西で予定されていたライブが中止になり、このワンマンライブが20歳初のステージとなった。会場に訪れた観客の年齢層は様々。客層を見るだけでも彼女の音楽が世代関係なく届いていることを感じさせてくれた。

 開演時刻になり、この日サポートを務めるひぐちけい(Gt)、かなは(Ba)、ツチヤカレン(Dr)の3人がステージに、最後に本日の主役である果歩がステージに登場し「彼女たちの備忘録」でワンマンライブの幕は開けた。イントロでの切ないセリフが楽曲の世界観へとグッと惹き込んでいく。そして、徐々に感情を解き放つように歌い上げる果歩の歌声に、観客も耳を澄ます。

 果歩はエレキギターからアコースティックギターにチェンジし「バンドガール・バンドボーイ」、曲調を一転しアップチューンの「サヨナラブルー」と熱を帯びていく歌と演奏。ライブならではの高揚感を与えてくれた。

 「連休明けの憂鬱な火曜日なのに、こんなに集まってくれてありがとうございます。今日は最後まで楽しんでいってください」と、ライブハウスでの光景を歌詞に投影したミディアムナンバー「あいつとライブハウス」や、バンドサウンドが楽曲に広がりを与えてくれた「アオイ」と、序盤から果歩の持つ曲の世界観を堪能。こぼれ落ちるような感情を歌に乗せて届けていく。

 ここで、果歩の通常スタイルとも言える弾き語りで届けたのは「花に水を」、「しあわせ」、人気曲でEP『水色の備忘録』に満を持して収録された「ぷりん」の3曲を披露した。ギターと声のみというシンプルなスタイルは、歌詞をさらに鮮明にさせ、メッセージがより鋭くダイレクトに我々の耳に届けられる。この弾き語りコーナーがフックとなり、ライブは後半戦へと流れていく。

本当に感謝でいっぱい

果歩(撮影=鈴木友莉)

 「懐かしい曲をやります――」と告げ、再びフルバンド編成で披露されたのは2017年4月にリリースされたミニアルバム『妄想ガール』の1曲目を飾る「ポニーテール」。果歩の歌に導かれるように力強いビート、バンドのグルーヴが観客の身体を揺らし、感情を込め歌がライブハウスに響き渡る。

 そして、幸せな空間がイメージできる『水色の備忘録』に収録された「法則のある部屋から」。ひぐちけいのきらびやかなギター、その上に乗る果歩のファルセットを多用した伸びやかな歌が印象的だった。さらに「紀行日記」と、力を抜いたリラックスした歌声は果歩の新たな側面を見せ、EPに収録されたバージョンとはまた違った表情をライブでは打ち出していた。

 「夜のユートピア」、「君はポラリス」と音源未収録の楽曲を立て続けに演奏。「君はポラリス」は、縦ノリでファンタジックな要素も感じさせる1曲。「台風は大丈夫でしたか? 大変だった方もいる中で、今日来てくれて本当に嬉しいです。今日が20歳になって初めてのライブなんですけど、皆さんのおかげで楽しくやらせていただいています」と感謝を伝えた。

 「去年、この街に来た時に作った曲です」と、今年の2月にリリースされたシングル「光の街」から表題曲「光の街」を届けた。キラキラと輝く都会を軽快に歩いていることをイメージさせるサウンドと歌、そして、果歩の尖った部分をさらけ出したトーキングスタイルの歌と、東京という街の寂しさを感じさせる表現とのコントラストで聴かせる。果歩は「またどこかで…」と語りかけ、本編ラストは果歩の出身地である新潟の景色をイメージさせてくれた「テトラポットとオレンジ」を、情感を込めた心揺さぶるような歌声を届け、ステージを後にした。

 アンコールの手拍子に応え再びステージに果歩が登場。サポートメンバーを1人ずつ呼び込み、大切な仲間たちを紹介。MCが苦手だと話す果歩は「本当に感謝でいっぱいなんです。それだけはわかってください(笑)。これからもがんばります!」と告げ、アンコールではアグレッシブな1曲「ヒカリ」で観客を煽情し、リリース記念ワンマン『彼女の備忘録』の幕は閉じた。

 曲毎に見せてくれる景色の多彩さは、街や人の感情の動きをよく捉えている、そう感じさせてくれたステージ。対バンではなくワンマンだからこそ表現できるものを届け、どっぷりと果歩の世界観に浸らせてくれた一夜だった。まだまだ成長過程の果歩がこの先どのようなシンガーソングライターになっているのか楽しみだ。

セットリスト

「水色の備忘録」リリース記念ワンマン『彼女の備忘録』

10月15日@東京・下北沢SHELTER

01.彼女たちの備忘録
02.バンドガール・バンドボーイ
03.サヨナラブルー
04.あいつとライブハウス
05.アオイ
06.花に水を(弾き語り)
07.しあわせ(弾き語り)
08.ぷりん(弾き語り)
09.ポニーテール
10.法則のある部屋から
11.紀行日記
12.夜のユートピア
13.君はポラリス
14.光の街
15.テトラポットとオレンジ

ENCORE

EN1.ヒカリ

記事タグ