シンガーソングライターの蘭華が9月28日、東京・目黒ブルース アレイ ジャパンでワンマンライブ『蘭華 Birthday Special Live』をおこなった。ゲストにポップオペラの貴公子・藤澤ノリマサ、アコーディオン奏者のパトリック・ヌジェを招き、「悲しみにつかれたら」やデビュー曲「ねがいうた」などアンコール含め全15曲を披露した。以下にライブの模様をレポートする。【取材=村上順一】

ゲストにパトリック・ヌジェ

蘭華

 蘭華のバースデーを祝おうと多くの観客が集まった。それぞれが食事を楽しみながら、開演を待ちわびる。開演時刻を少々過ぎたところでサポートメンバーがステージにスタンバイ、それに続いて蘭華が華やかなドレスに身を包み登場した。この日のために大分県から上京してきた母へむけて「子守唄~娘へ~」で幕は開けた。蘭華は艶やかな歌声でしっとりと情感を込め歌い上げる。

 「こんなに沢山の人たちに来ていただいて幸せです」と感謝。続いて『第58回 輝く!日本レコード大賞』で企画賞を獲得したアルバム『東京恋文』から表題曲「東京恋文」を披露。先程とはまた違った力強さを感じさせる歌声。「きっと皆さんにも忘れられない、人の存在がいるのではないでしょうか――」と、曲中で問いかける場面も。

 その『東京恋文』から約2年の歳月を経てリリースされたアルバム『悲しみにつかれたら』から表題曲「悲しみにつかれたら」を届けた。アルバムでは押尾コータローとの共演が話題となった1曲。ライブではサポートメンバーの松下福寿のピアノと菊池達也のアコースティックギターによる、ジャズテイストで披露しムーディーに会場を彩っていく。

 ここで1人目のスペシャルゲストである、パトリック・ヌジェをステージに呼びこんだ。アコーディオン奏者として有名なパトリックだが、フリューゲルホルンも演奏出来るということで、古今和歌集からインスパイアを受けた「花籠に月を入れて」を歌唱。間奏でパトリックはケーナ(※南米ペルー、ボリビアなどが発祥の縦笛)と呼ばれる縦笛も披露し、マルチな才能で楽曲を彩り、観客を魅了していく。

 続いてパトリックはアコーディオンに持ち替え、愛にさまよう女性の心を歌った「メランコリック」へ。アコーディオンの音色が異国情緒を感じさせ、ここが日本だということを忘れさせてくれるかのような瞬間。フランスはモンマルトルにあるシャンソン・バーが舞台の一曲「懺悔の裏窓」。パトリックのアコーディオンが切なく響き、蘭華の歌声も憂いを帯び、楽曲の持つ情景を、会場に色濃く映し出していく。

 誰よりも蘭華のことを応援していた8年前に他界した父のために作られた一曲だという「花時」。目を潤ませながら父の話をする蘭華。その父には完成した「花時」を聴いてもらうことは出来なかったという。天国にいる父へ歌うかのように、全霊の歌声を響かせた。人を思い歌うことの強さを感じさせてくれた瞬間でもあった。

ポップオペラの貴公子・藤澤ノリマサが登場

 ここで、ポップオペラの貴公子・藤澤ノリマサを招いた。蘭華の誕生日ということもあり、藤澤が「Happy Birthday」を芳醇な歌声で歌い、パトリック・ヌジェも陽気にホルンを吹きながら、バースデーケーキとともにに登場。蘭華はケーキに灯ったろうそくの火を消すタイミングで、「たくさんCDが出せますように」「全国色んな所で歌えますように」「みなさんが幸せでありますように」と3つの願いを込めながら、火を吹き消し、蘭華のバースデーを会場のみんなで祝福した。

ろうそくの火を吹き消す蘭華

 藤澤と蘭華の出会いは、蘭華のマネージャーと過去に接点があり、昨年蘭華が出演したフジテレビ系『ザ・ノンフィクション』を偶然見ていた藤澤が、マネージャーと再び連絡を取ったところから今回のコラボに繋がったという。

 そして、藤澤が作曲した曲の中から、蘭華にピッタリだと思ったと話す「沈丁花」を藤澤のピアノ伴奏で披露された。もともと歌詞が1番までしかなかったものに、蘭華が引き継ぎ2番以降を作詞。この日の明け方に完成したばかり、という出来立てほやほやの1曲を、情感を込め丁寧に歌い上げた。

「沈丁花」を藤澤ノリマサのピアノ伴奏で歌う蘭華

 続いて、藤澤がソロで自身の代表曲「希望の歌~交響曲第九番~」を届けた。ポップスの歌唱法とオペラの歌唱法の2つを巧みに使い分けた、大地を震わすような生命力に満ちた歌声は、多くの人の心を揺さぶりかける。

これからも大切に歌い続けていきたい

ライブの模様

 白いドレスに衣装をチェンジした蘭華が、再びステージに登場。ブルージーな「薔薇色のブルース」、躍動感のある「大地の祭り」では、観客が熱い手拍子で一体感を作り上げれば、蘭華も腕を掲げ、歌声もよりエネルギッシュになっていく。蘭華の音楽性の幅広さを感じさせるとともに、ライブも大きな盛り上がりを見せた。

 蘭華は「今までで一番リラックスして(ライブに)臨めています。こうやって音楽が出来ているのは皆さんのおかげです」と、訪れた観客の温かさに感謝。ライブも佳境を迎え、本編ラストは誕生日ということで選んだという一曲「ともしび」。蘭華の歌手としての矜持が感じられる渾身の曲を届け、ステージを後にした。

 アンコールに応え、再び蘭華がステージに登場。大分出身である蘭華の第2の故郷である、島根県は出雲の観光大使に任命されたことを発表。さらに10月6日からは、その出雲でラジオ番組『大好き出雲 蘭華の歌縁』も開始される。ファンにとって嬉しい報告に続いて、アンコール1曲目は今年で102歳になった祖母、亡き祖父との愛を綴った楽曲「愛の遺産」を届けた。亡くなってからも一途に愛し続ける想いを、メロディに乗せ歌い紡ぐ。

 最後にもう1曲「恩師へ捧げる愛の歌を聴いてください」と、決意表明の曲ともいえるデビュー曲「ねがいうた」を最後に披露。言葉を噛みしめるように歌唱する蘭華と、その歌声に静かに耳を傾ける観客。凛とした透明感のある歌声で届け、ライブは大団円を迎えた。蘭華は「このデビュー曲を、これからも大切に歌い続けていきたいと思います」とメッセージを告げ、『蘭華 Birthday Special Live』の幕は閉じた。

 1年に1度のワンマンライブは、蘭華のファンへの想いと“音楽愛”に満ちた空間。音楽の持つ、人の感情を揺さぶりかける力を感じさせてくれたステージだった。ヒット曲を作り出すという目標に向かって邁進する、蘭華への期待感がより高まった一夜だった。

セットリスト

『蘭華 Birthday Special Live』
9月28日@東京・ブルース アレイ ジャパン

01.子守唄~娘へ~
02.東京恋文
03.悲しみにつかれたら
04.花籠に月を入れて
05.メランコリック
06.懺悔の裏窓
07.花時
08.美しき人生
09.沈丁花
10.希望の歌~交響曲第九番~
11.薔薇色のブルース
12.大地の祭り
13.ともしび

Encore

En1.愛の遺産
En2.ねがいうた

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