センチミリメンタル、いくつもの奇跡が導いたアニメ「ギヴン」との親和性
INTERVIEW

センチミリメンタル、いくつもの奇跡が導いたアニメ「ギヴン」との親和性


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年09月29日

読了時間:約14分

様々な奇跡が導いた「キヅアト」

――「キヅアト」はオープニング主題歌として、アニメ作品のどこをフォーカスしよう思いましたか。

 『ギヴン』というロックバンドのオープニング楽曲というのが肝だと思いました。ファンの方々からしたら「ギターロックバンドのアニメを観るんだ」というテンションを上げるきっかけになると思うんです。まずそこは裏切ってはいけないと思ったので、ギターを主とした鋭いロックサウンドというのを第一条件に作り始めました。

――歌詞はいかがでしたか。

 まず、どこを切り取るかというのをすごく検討しました。主人公の真冬が過去の痛みと対峙して、そこと葛藤するというのが原作の序盤で色濃く描かれていたので、オープニングとして、1曲で『ギヴン』を集約するのなら真冬の感情に寄り添うことが、この作品に近づける方法ではないのかなと思いました。

――歌詞制作の順番としては頭から作っていく感じでしょうか。

 フックをどこに掛けるかというのがあって、例えば失恋や喪失というのは一概に言ってしまっても広い感情なので、どこにキーポイントを置くかというのが非常に重要だと思っていて、思考を張り巡らせていたんですけど、頭の<君が置いてったものばっかが 僕のすべてになったの>という歌詞が頭に浮かんできて、そこから作り始めました。恋愛体験や喪失というものと僕なりに向き合って、今まで失ってきたものによって形成されているのではないかなというところから作り上げました。それもあって仮タイトルは僕のすべてだったという意味の「all of me」でした。

――そこから「キヅアト」へと変わったのはなぜですか。

 オープニングはギヴンが担当する可能性もあった中で曲を作っていて、センチミリメンタルとしてオープニングを担当するのかも決まっていませんでした。最終的にセンチミリメンタルが担当させていただくと決まった時に、センチミリメンタルとしても100%のもを出してあげないと、デビュー曲として薄いものになってしまうというところで、もう一度タイトルを考えることにしました。

 実は「キヅアト」というこの単語は昔から僕の中にあって、使わずに取っておいたんです。傷というのはすごくマイナスなことだと思うんですけど、それを見て思い出すことってプラスもマイナスもあるなと思いました。傷と対峙する時、“気付ける”ことがあることからマイナスなだけではないなと。喪失などともっと前向きに向き合っていけたら、それが最終的に自分というものになっていくと思っていたので、このタイトルは自分のテーマとして大事に取っておいたんです。

――キヅナツキさんが原作者というところから、付けられたのかと思っていました。

 キヅナツキさんからのインスパイアだと思われている方が多いんですけど、それも間違いではないのですが、実はこのタイトルはもとからあって、キヅナツキさんのことも踏まえた上で、このタイトルしかないと思いました。これは本当に運命だと思いました。僕が思っていた「キヅアト」は『ギヴン』も求めていた単語だったと思うんです。お互いが100%で手を取れる「キヅアト」という言葉が生みだしてくれた、僕と『ギヴン』の架け橋になってくれたのかなと思いました。

――「キヅアト」が“キズ”をあえて“キヅ”にしているのは、“気づき”というところにもリンクしているのでしょうか。

 リンクしています。それも含めて、僕もこのこの単語を思いついた時、心の奥底が震え上がるようなものを感じました。

――さて、カップリングの「まるつけ」はセンチミリメンタルバージョンとギヴンバージョンとアレンジを変えての収録となりました。この曲はカタカナではないんですね。

 この曲は2015年の時に作った曲なんです。当時の僕は『ギヴン』には出会っていなかったので、その時の僕の想いが描かれています。エンディングの曲をどうしようかと話し合いの中で、スタッフさんの方から「まるつけ」はどうだろうと提案がありました。僕としてはライブでよくやっていた曲でもなかったので、この曲の名前が出て驚きました。もう一度『ギヴン』を読み返して、「まるつけ」とこんなにも作品と寄り添うかというほど相性が良かったんです。作中に出てくる言葉が歌詞にも出てきていたりもして。

――ということは歌詞も変えてはいないんですね?

 当時のままです。もう『ギヴン』のために書いたんじゃないかというくらいで、「キヅアト」も含め、『ギヴン』と運命共同体なんじゃないかなと思いました。監督さんも「これ書き下ろしじゃないんですか?」と驚くくらい寄り添えていましたから(笑)。

――すごいですよね。アレンジの棲み分けはどのように決めたのでしょうか。

 やっぱり『ギヴン』はバンドという事で編成も含めて、バンドサウンドにしました。センチミリメンタルの方はもともとのバージョンに近い、ピアノアレンジになっています。

――真冬役の矢野奨吾さんが歌っていますが、ご自身ではない他の方が歌っているというのはいかがでしたか。

 練習からレコーディングまで立ち合わせて頂いたんですけど、すごく面白かったです。自分じゃない誰かが歌うというのは世界が広がるんだなと感じました。そこに僕以外の解釈や表現が生まれたりというのはすごく新鮮でした。考えかたも各々違うので、矢野さんの考える「まるつけ」を大事にプロデュースさせていただきました。同じ曲でこんなにも表現の違いで変わるというのは面白いなと思いました。良い体験をさせていただきました。

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