男性ダンス&ボーカルグループ・NCT 127がいま、ワールドワイドな注目を浴びている。国内では8月16日のサマソニ『Spotify on Stage in MIDNIGHT SONIC』に出演し、全10カ国26都市37公演のロング・ツアー『NCT 127 NEO CITY - The Origin』もおこなったNCT 127。ここではなぜ彼らが世界中から関心を集められているか、サウンド面・ビジュアル面・パフォーマンス面に迫ってみたい。【平吉賢治】

NCT 127とは?

『Spotify on Stage in MIDNIGHT SONIC』(C)Satoshi Imamura

 “NCT”は「Neo Culture Technology」の頭文字で、“127”は韓国ソウルの経度を表している。日本・韓国・アメリカ・カナダと多様な国籍のメンバーで構成され、洗練されたパフォーマンス力と表現力、楽曲が各所で評価されている。

 5月末にリリースされたミニアルバム『NCT#127 WE ARE SUPERHUMAN』は、iTunes総合アルバムチャートで、日本、アメリカ、ブラジル、ロシア、香港、シンガポール、インドなどの全世界25地域で1位にランクイン。米ビルボードのメインチャートである「ビルボード200」では11位の快挙を達成。世界中の高い関心を集めているようだ。NCT 127は、なぜ世界中から関心を集められているのだろうか――。

 NCT 127は多国籍のメンバーらからなるグループであることも要因なのか、ある種の“世界基準的な各々に“愛嬌”と“色気”があるという点で一線を画しているように思える。

 サウンド面ではNCT 127のあらゆる楽曲を聴くと、新鮮なアプローチであり、時代の最先端のアレンジで楽曲が構成されているというように感じられる。2019年現在、世界的にブレイクしているアーティストらのサウンドに共通している特徴の一つとして、「シンプルである」という部分は大きい。ここにフォーカスしてNCT 127を聴くと非常に興味深い。

 ハウスやドラムンベースやアンビエント、R&BやソウルにHIP HOPなど、1990年代後半まで一気に膨張したエレクトロミュージック、ブラックミュージックの音楽性。これらは、現代の音楽要素として、前世紀から各要素を引き継ぎながら再構築と洗練をもって進化している。

 先に挙げた1990年代後半まで進化を遂げた各ジャンルは、現代ではEDMやダブステップ、フューチャーソウルにチル系やトラップにベースミュージックと、常にアップデートしている。NCT 127は、それらの音楽性をあくまでシンプルに、バランス良く、世界中の音楽要素を取り入れ、オリジナリティを持ったうえで表現している。

NCT 127

 無駄を削ぎ落としつつ、華がある音楽として聴かせること、これはなかなか稀有なことではないだろうか。メンバーもそうだが、音一つ一つにも華があるのだ。世界基準の各音楽要素を深く洗練させ、バランス良くシンプルにという難関を超えたサウンドメイクからは、世界に視野を向けているということが強くうかがえる。

 よく聴くと、ディープな音楽ジャンルの要素(楽曲によってはエスニックな要素や、コアなクラブミュージックの要素が散りばめられている)も混じっているなかで、あくまで“ポップである”という点は、「世界中の高い関心」を集めている要因のひとつかもしれない。

一貫して世界へ向けられるビジョン・姿勢

『NCT 127 1st Tour ‘NEO CITY : JAPAN - The Origin’』3月31日のもよう(C)田中聖太郎写真事務所

 NCT 127は、現代のワールドワイドな音楽に鋭いアンテナを張り、それらにオリジナリティを持たせ、シンプルに華やかに出力している。それは、歌唱面にも同じことが言えるのではないだろうか。

 歌唱面に着目すると、NCT 127は各々のキャラクター、持ち味を洗練させ、あくまでクールで華やかに、“やり過ぎ感”を抑え、ある種のわびさびすら感じさせるようなボーカルアプローチで、各メンバーの魅力を最大限に表現している。そして、完成度の高い音楽として形になっている。もちろんそれは、パフォーマンス面でもそう感じられる。

『Spotify on Stage in MIDNIGHT SONIC』(C)Satoshi Imamura

 特定のメンバーにフォーカスするようなフォーメーションよりも、“グループ美”という造語じみたことを感じてしまうような、サウンド面でも歌唱面でもパフォーマンス面でも、あくまでグループとしての魅力に溢れている。

 そこから、個々のメンバー、各々の歌唱にパフォーマンス、そしてサウンドの一音一音に刮目すると、どんどん世界観は膨らんでいく。そして、最小限まで絞った情報量を受けて、我々リスナーはどこまでもその情報量を拡大することができる。少し抽象的な表現も含まれていたかもしれないが、そういった点で、“世界基準”のグループという解釈ができるのではないだろうか。そして、彼らは“ニュー・エイジ”な伸びしろも孕(はら)んでいる。

CITY : JAPAN - The Origin’』3月31日のもよう(C)田中聖太郎写真事務所

 ライブではどうだろう。楽曲やMVを観る限り、ある種の「持ち味のパターンで楽しませる」というより、次々と斬新なアプローチによる映像やライティング演出で非日常空間へと誘うライブを披露してくれるはずだ。各公演のたびに、新たな感覚を広げてくれるのだろう。

 NCT 127が放つ音楽・パフォーマンスは、シンプル美と色気と華がある。そして、あらゆる角度から一貫して世界へと向けられるビジョンが感じられる。 NCT 127のある楽曲を聴いて、次の楽曲を聴く。新たな発見がある。そして、また次の楽曲を聴いてみる。また別種の新鮮さを味わえる。9月23日には千葉・幕張メッセ国際展示場7ホールで『NCTzen 127-JAPAN 1st Meeting 2019 ‘Welcome To Our Playground’』が開催される。ライブ毎に期待が膨らんでいくグループだ――。

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