サビは鐘をつくイメージ

竹島 宏

――「夢の振り子」の歌うポイントも教えて頂きたいです。

 サビの部分はあまり気持ちを入れるというよりも、言葉の発音を良く言えるかというのが大事かなと思いながら歌わせて頂いています。例えるなら鐘をつくイメージが近いかも知れません。よく『NHKのど自慢』に登場する鐘をつく感じです

――わかりやすいです。

 そうしないとサビは言葉が聞き取りずらいと思います。Aメロはレガート(滑らかに歌うこと)でも大丈夫なんですけどね。

――ちなみに歌のディレクションは都志見さんが?

 都志見先生からはアドバイスはないんです。仮歌に都志見先生の歌が入っているんですけど「それを聴け!」といった感じで(笑)。それがまたすごく上手いんです。なので、その仮歌のとおりに僕は勉強していくんですけど、曲によっては「それでOK」ということもありますし、それでは駄目な場合もあります。そういう時は都志見先生の代わりに松井先生から貴重なアドバイスを頂くこともあります。

 歌手はレコーディングのブースに入ると、すごくナイーブになるんです。みんながブースの外で何を喋っているかもわからないし、そういう状況の中で一言いわれただけでも、敏感に反応してしまう、僕はそういうタイプで。

――都志見さんが竹島さんの歌声をどう感じているのか気になりますね。

 先生はよく「声に艶がある」と仰って下って。おそらくその艶が都志見先生の中で、レコーディングで見えていたらOKなんだと思います。その艶が感じられなかったら、アドバイスをして頂くことも出てくるんじゃないかなと思います。松井先生は歌詞でドラマを書かれているので、ここはどういう気持ちで歌っているのか、というところを確認することがあるんだと思います。

――竹島さんは歌う時に、ピッチやリズム、発音など、どこを一番重視されていますか。

 どれが一番大切かというのは、今の僕にはなくて全て重要なんです。たぶん、デビュー当時の自分だったら「言葉を大切に歌っています」と話していたと思うんですけど。正解というのはなくて、どういった歌にしたいかとイメージを持った上で、リズムに合わせて発音しなければいけないですし、ノリに合った言葉を発音出来るということは、ピッチもしっかり合っていないとダメだと思うんです。ピッチが合っていても、言葉の発音の仕方によっては正しいメロディーに聞こえない事もありますから。

――歌手それぞれに色んなアプローチがあるんですね。そういったテクニカルなお話など他の歌手の方とされる事はあるんですか。

 機会は少ないですが諸先輩方からアドバイスを頂くことはありますし、自分から聞きに行くこともあります。経験豊富な先輩方やヒット曲を生み出された方々だからこそ、わかることもあって、基本、企業秘密な部分もあると思うんですけど、それを教えて頂いたり。先生方からも良く言われていることなんですけど、「歌がちゃんと歌えていないと売れない」、それって本当にそうだと思います。もしかしたら、僕がちゃんと歌えていれば、今までの曲で大ヒットしていたかもしれないですから(笑)。

――その中で記憶に特に残っているアドバイスはどんなものでした?

 2013年の『第55回日本レコード大賞』のときに、本番が始まる直前にステージ袖にいらっしゃった、大月みやこさんに頂いた言葉です。僕から歌について聞きに行ってしまったんですけど…。

――すごい時に聞かれましたね(笑)。

 緊張していたので何かしゃべっていないと落ち着かなくて(笑)。何回かお会いしたこともあったので、ついつい聞いてしまいました。そうしたら大月さんは「ご自分の声をどうやって響かせたら良いのか、それが大切かもね」と仰って頂いて。自分の楽器としての声の使い方を、どう追求していくかというところです。その言葉を聞いた時に目から鱗でした。なので今はどういう風に歌ったら自分の持ち味になるかと考えて歌っています。

 例えばカバーをする時にも敢えて高いキーや低いキーで歌うこともあります。自分が出せる範囲での音域だけでは幅が広がっていかないので、色んなキーで歌っています。ライブで同じ曲でも高めのキーで歌ったり、低めのキーで歌ったりと変えているんです。オリジナルは地声なのに、敢えてファルセットで歌ってみたり。

――そうだったんですね。

 細川たかしさんは練習で、半音高く設定して練習したりしていると聞いたこともあります。それを知ってから、僕もそうやって練習したりしているんです。そうすると、本番でオリジナルキーに下げて歌うと、ゆったりとした曲はよりゆったりと歌えるというメリットがあるんです。

 高いキーで始めて、キーを下げて行くときに地声と裏声を混ぜて行くんです。そうすると自然と地声が鍛えられていくんです。出なかったはずのキーなのに出ちゃうんです。自分の曲でもそういうのがあって、以前は裏声に逃げていたのに、今は地声で歌えてしまったり。

――コンサートで聴くと音源との違いがわかりますね。

 お客さんからも、「宏くん、歌上手くなったわね」と言ってもらえましたから(笑)。違いに気づいて頂けたとことがすごく嬉しかったです。この1年、いや半年でも相当な変化があったんじゃないかなと自分では思っているんですけど。

――変化がある中で、前回お聞きした1年で828曲を歌うという目標の経過は今どんな感じですか。

 ここから、追い込みをかけていきます。僕はスタートダッシュが遅いんですよ(笑)。一応ノートに何を歌ったかは書いているんですけど、今何曲歌ったかはわからないんです。この目標を立ててから、ファンの方からも沢山リクエストを頂くようになりました。リクエストの中には僕が知らなかった歌も多いんです。828曲というのは途方もない数字ですけど、知らなかった曲も歌わせてもらえる事によって自分の幅が広がって行くんだろうなと思います。

――すごく広がりそうです。

 お客さんの前という緊張感のある中で、カバーをしていくという事がすごく良いと思うんです。

――さて、今年は「夢の振り子」と「噂のふたり」の2曲で『紅白歌合戦』を目指す事になりますね。

 そうですね。「噂のふたり」は「夢の振り子」が出たので、旧譜になってしまうと思うんですけど、まだ「噂のふたり」で出来ることがあるんじゃないかなと思っています。この曲で衝撃を受けてコンサートに来て下さった方が沢山いたんです。今まであまりお見かけしなかった世代との接点を作ってくれた曲なんです。なので、どちらの曲もダンスがポイントになってくるので、下半期は歌と踊りと楽曲が三位一体となるように頑張っていきたいです。

(おわり)

作品情報

竹島 宏 新曲「夢の振り子」(Dタイプ)
2019年8月21日(水)発売
ÚTECA-13964 / 定価:1204円+税 / シングルCD

収録内容

1.夢の振り子
2.なんで別れちゃったんだ
3.夢の振り子(オリジナルカラオケ)
4.なんで別れちゃったんだ(オリジナルカラオケ)

■竹島 宏が歌う「夢の振り子」が主題歌となっている「大富豪同心」が土曜時代ドラマで放送決定
10月5日(土)スタート NHK総合にて 毎週土曜日 午後6時05分~午後6時43分(全10回)予定

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