多く寄せられた「救われる」…始まりは「助けられる歌」

――「Turn up the music」の約4カ月後には「HERO」という楽曲をリリースしていますが、このテーマは?

 ある人に「知り合いがニューヨークにいるよ。遊びに来たら撮ってあげるよ」と言われて、たぶん軽いい気持ちで言ってくれたと思うんですけど、私は「MVを撮りたい、よしニューヨークだとなって。子供の頃から海外に憧れていたから自然にそう思いました。それと、海外に憧れが強い自分の気持ち、たぶんSAMEさんもそうだと思うんですけど、だから「HERO」というタイトルもつけて。憧れているNYに行って「HERO」を歌うみたいになっています。

――リリックでは<it’s possible it's possible>が頻繁に使われていますよね。日本語訳にすれば「可能である」ということになりますが。

 HEROは自分が憧れている存在。それはすごく大きくて、その人の近くに行けてもまだまだ大きくて、でも自分がやっていることはビートだってフロウだって誰かの真似じゃないし、自分のオリジナル。それをやり続けていたらいつか同じステージに立てる、そう言い聞かせている感じです。

――この<it’s possible it's possible>は、何かを言った後に必ず出てきていて、「可能である」ということを強調している感じでもありますね。

 そう言ってもらえるのは嬉しいですね。MVではいろんな方に<it’s possible it's possible>と言って頂いて、国もジャンル、肌の色も問わずいろんな方にお願いして撮ってもらって。<it’s possible it's possible>の後に残響みたいに<ble、ble、ble>って続くんですけど、それは暗示みたいな役割があって、脳内に音をため込んで最後に<it’s possible it's possible>と脳の中に入るようにしたいと思ったんです。

――それと、2017年に8月に発表した「Swimming in the ocean」。先ほどの話からすると、海が好きだからこのタイトルにしたんですか?

 この曲を作った時は、私の身近な人が結構悩んでいて、「道は一つじゃないよ」と伝えたくて歌にしました。その子はまっすぐに物事を考える子で、周りとうまくいかなかったみたいで。だから「答えは一つじゃないし、色んな道はあるよ、海は広いよ」という気持ちを込めました。

――この曲でループされる<なんで元気ないの?>は重要なワードだと思いますが、これがコーラスのように入っているところが気になりました。相手に聞きたいけど聞けないという心の声を歌っているような気がして。それとネガティブな要素をあえて音を変えていますよね?

 そういうのは今回のEP『alone』にも結構あって、あえて聴こえないようにしている「一番言いたかったこと」は結構あります。

――その『alone』ですが、テレビ朝日系ドラマ『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』の主題歌に起用された「One Day」が収録されますね。主題歌に決まった時の気持ちは?

 ドラマの概要を読んだときに、音楽の世界観と私の書いたリリックとドラマがリンクしていると思ったんです。主人公も女の子(小芝風花演じる稲穂みのり)だし、自分がラップを始めたときの心情にも似ている。「これが本当に決まったらハマるだろうな」と思いました。逆に「私じゃない曲が採用されたらどんな感じになるんだろうな」ということにも興味がいきました。

――曲が出来た後に主題歌が決まったんですよね。どういう思いで作ったんですか?

 最初に、ビートをあえて90年代っぽい感じにしたいと思っていて。今はトラップとかが主流になっているけど90年代のビートも好きだったので入れたいと。それとリリックは、みんな心に何かつかかっているモノってあるじゃなないか、と思って書きました。自分に限らず、たまに一人になりたいという時もあると思けど、でも生きるためには一人ではいられなくて、そういう葛藤もあると思うんです。それこそ、仕事をしていると上下関係でうまくいかなかったり、宴会とかで盛り上げているけど「俺、何やっているんだろう」と我に返ったりすることがきっとあると思うんですよ。それってどの職業にもあると思っていて。でもそういう疑問を抱えても「誰だってなりたい自分になれる」と思っていて、「みんなが何にでもなれるチャンスがある、あなたにもわたしにもね、絶対にできるよ」ということを込めていて。だから「いつかね(叶うよ)」という意味で「it’s one day」と歌っていて。

――そのなかで気になったリリックがあって、<卑屈の毎日は嫌だ でも誰もいないのも楽だ でもひとりきりのモードや嫌で>というところ。「でも」を繰り返すことでその人の心の本音が見える。人間ってそういうものだと思うんですよ。嫌だけどやらないといけない、でも嫌って。そういう現実に直視してあげることで認めてもらえている感があって、救われるというか。

 それは嬉しいです。「Turn up the music」の話になるんですけど、海外からのコメントを、翻訳機能を使って全部読んだんですけど「救われた」という言葉が多くて。SHACHIを始めるときに掲げたコンセプトは「誰かのためになる歌を歌いながら広げていきたい」というのがあって。ヒップホップって全部が全部そうじゃないけど、「金を持っているぜ!」とか「女の子を毎日とっかえひっかえだぜ」とかそういうのが多くて。「そうじゃなくてもっとみんなを助けられる歌があっていいじゃないか」ということがスタートになっているので、そういって頂けて嬉しいですし、良かったなと思いました。

――ビートやリリックもそうなんですけど、SHACHIさんの歌声だからこそ、というのはあって、その歌声だから包まれる、救われるという感覚が一層強くなると思うです。なんか時代の変化を見た気がしました。

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