セカイ系おしゃべりJ-POPユニット・ポップしなないでが6月29日、東京・新宿LOFTで主催イベント『ポップしなないでpresents「そそげ!ドンペリ」』をおこなった。イベントには東京カランコロン、ラブリーサマーちゃん、挫・人間の3組を招き、個性豊かなステージが終始展開された。ポップしなないでのかめがい(Vo.Key)が「超カッコいい日になりました!」と表現した、ライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

東京カランコロン

東京カランコロン

 トップバッターは男女ツインボーカルロックバンドの東京カランコロン。SEに合わせオーディエンスはクラップでメンバーを迎えると、いちろー(Vo.Gt)によるギターの高速カッティングから始まった「つよがリズム」で、イベントの幕は開けた。勢いもあり、サビではハーフテンポに落とし、メロディと言葉をしっかり聴かせるアレンジでグッと心を引き寄せていく。

 続いてはロックサウンドの中に、せんせい(Vo.Key)によるキーボードの音色がセンスよく響いた「見えるhorizon」。印象的にメロディと言葉をリフレインさせ、キャッチーさがあり、初めて東京カランコロンを見るオーディエンスにも乗りやすい1曲。

 ガラッとシーンを変えスローな導入から、軽快なビートに独特な世界観のアレンジが印象的な「空中遊泳」は、レトロポップな雰囲気を感じさせ、新宿LOFTの空気感を一気に変えていく。MCではいちろーは、20年間連絡をとっていなかった父親からのLINEが来たという話から、この日初披露となった新曲「リトルミスサンシャイン」。かみむー氏(Dr)と佐藤全部(Ba)のリズム隊の疾走感に乗って、いちろーによるアコギサウンドが爽快なナンバーで楽しませた。

 さらにアゲアゲの新曲「ビビディバビディ」は、おいたん(Gt.Cho)のクールなギターフレーズ、そして、畳み掛けるリリックが心地良いライブの盛り上がりをさらにヒートアップさせた1曲で、オーディエンスと手を掲げ体を揺らし盛り上がる。この曲のエンディングでいちろーは、ロックらしさ溢れるアグレシッブなジェスチャーを見せ「16のbeat」と流れ込んでいった。

 ラストはミディアムナンバー「Blues Driver」で、さらに密度の濃いいちろーとせんせいによるツインボーカルを堪能。短い時間ながらも彼らの魅力を詰め込んだステージだった。

セットリスト

01.つよがリズム
02.見えるhorizon
03.空中遊泳
04.リトルミスサンシャイン
05.ビビディバビディ
06.16のbeat
07.Blues Driver

ラブリーサマーちゃん

ラブリーサマーちゃん

 2番手はピチピチロックギャルのラブリーサマーちゃん。イギリスのパンクアイドルユニット・シャンプーの「trouble」をSEに、ラブリーサマーちゃんとサポートメンバーがサングランスを着用し、リズムに乗って登場。「今日は楽しんで下さい」と投げかけ「心ない人」でライブはスタートした。アンニュイな雰囲気も感じさせるブリティッシュサウンドがライブハウスを包む。
 
 彼女はペットボトルの水を飲みながら、「これがドンペリだったらいいね」と漏らし、ご機嫌なら手を叩こうと、リズムに乗ってオーディエンスとクラップ。そのまま「PART-TIME ROBOT」、音楽の消費について考え、その想いを曲にした「豆台風」で決意を感じさせる歌を聴かせてくれた。
 
 今日の出演者は全バンド渋谷系の曲があるという共通点の話から、ラブリーサマーちゃん流渋谷系「海を見に行こう」を披露。彼女はエレキギターを手に取り、夏を感じさせる爽やかなポップサウンドが広がり、ラブリーサマーちゃんは歌のみならず、ギターでもリードフレーズで感情を表現。続いて、4月22日にリリースされたシングル「ミレニアム」を披露し、その柔らかさと力強さが絶妙にブレンドされた歌声を堪能。
 
 今回の『そそげ!ドンペリ』のタイトルにちなんで、ドンペリに纏わる過去の暗いエピソードを明かし、「鬱屈した気持ちも今日のライブで吹き飛んだ!」とスッキリした面持ちで「あなたは煙草 私はシャボン」を歌唱、そして、サイケデリックな導入が強烈な世界観を与えた「僕らなら」で煽情的な空間を作り上げ、ラストはメランコリックな歌とカオスな演奏の対比が美しい「青い瞬きの途中で」を届け、挫・人間へと繋いだ。

セットリスト

01.心ない人
02.PART-TIME ROBOT
03.豆台風
04.海を見に行こう
05.ミレニアム
06.あなたは煙草 私はシャボン
07.僕らなら
08.青い瞬きの途中で

挫・人間

挫・人間

 3番手は下川リヲ(Vo)、夏目創太(Gt)、アベマコト(Ba)とサポートのおっさん(Ds)による4人組ロックバンドの挫・人間。音を出した瞬間から会場を一つにしてしまうほどのエネルギーに満ちたステージを展開していく。オープニングを飾った「絶望シネマで臨死」では、途中、夏目が振り付けを丁寧!? にレクチャー。下川による「最初からクライマックスだぜ!!!!!!!!」の声に、さらにヒートアップするフロア。続いての「セルアウト禅問答」はステージから放たれるエナジーに、手を掲げ応えるオーディエンスの姿。

 MCで笑いを誘いタイトルでほぼ言いたいことを言い切っているのではないだろうかと思える「可愛い転校生に告白されて付き合おうと思ったら彼女はなんと狐娘だったので人間のぼくが幸せについて本気出して考えてみた」、そして「多重星」、さらに下川が「あ~楽しい!」と投げかけ始まった、ソリッドなギターカッティングが印象的な「ゲームボーイズメモリー」と3曲連続で披露。サビでオーディエンスは左右に腕を振り上げ、一体感を作り出しライブも佳境へ。

 女声でおこなわれた個性的な自己紹介では、イベントタイトル「そそげ!ドンペリ」を使った「あいうえお作文」や、無音の中、全員で身体を弾ませるなど、予測不可能で無意味ともいえる行動も挫・人間ならではのステージ。

 「私達、普通の女の子に戻りたい」とアイドルグループ・キャンディーズの解散時を彷彿とさせる小芝居から、楽器を置いて、ロックバンドという枠から飛び出し、アキバ系ピコピコサウンドの「☆君☆と☆メ☆タ☆モ☆る☆」投下。地下アイドルライブのような空間を演出し、ラストはお祭り騒ぎの盛り上がりを見せた「JKコンピューター」で約45分間、得体の知れない衝撃を残しステージをあとにした。

セットリスト

01.絶望シネマで臨死
02.恋の奴隷
03.セルアウト禅問答
04.可愛い転校生に告白されて付き合おうと思ったら彼女はなんと狐娘だったので人間のぼくが幸せについて本気出して考えてみた
05.多重星
06.ゲームボーイズメモリー
07.☆君☆と☆メ☆タ☆モ☆る☆
08.JKコンピューター

ポップしなないで

かめがい

 大トリを飾ったのは主催であるポップしなないでだ。ここまでパフォーマンスした3バンドのエネルギーが残ったステージに、元気よくステージに飛び出したかめがい(Vo.Key)と対照的にクールなかわむら(Dr)。2人は定位置にスタンバイし、しばしの静寂から1曲目は「魔法使いのマキちゃん」で幕は開けた。軽快に弾むピアノの音色に、そのピアノに寄り添うようなドラムのリズム、その上に乗るかめがいの透明感のある歌声はドラマチックに楽曲を彩っていく。

 かめがいが「お前を救いに来たぜ!」と叫んで始まった「救われ升」は、低音を中心としたダイナミックなピアノにパワフルなドラムと、サビでのツインボーカルが心地よい1曲だ。印象的な言葉をリフレインし、アレンジの妙から生まれるエナジーがLOFTを包み込んでいく。

 感情を揺さぶるイントロダクションは、グッと楽曲の世界観へと深く入り込ませ、そこから紡がれていくストーリーが秀逸だった「言うとおり、神さま」、続いて、かめがいのパワフルなロングトーンがライブハウスに響き渡った「オシマイノリティ」は、メロディと言葉のハマりが一際キャッチーで、その言葉のリズムに体も弾む。そして、良い意味で違和感が溢れたタイトルが興味深い、かわむらの言葉のマッチングセンスが光るポップチューン「フルーツサンドとポテサラ」に、身体を揺らして楽しむオーディエンス。

 セットリストの半分を過ぎたところで、かわむらは今回共演したバンドとの繋がりを説明。東京カランコロンのかみむー氏とはふくろうずのサポートドラムをしているということで、かわむらも同じサポートメンバー繋がり、ラブリーサマーちゃんは共通の知人がいるとのこと、そして、挫・人間に関しては「ただのファンです」としっかりとオチをつけ会場を和ませた。

かわむら

 畳み掛けるリリックが緊張感を演出した「Creation」は、4つ打ちへのビートで扇情していけば、クラップを煽り始まった「UFO surf」で、コール&レスポンスでオーディエンスとの一体感を作り上げていく。複雑なリズムと幅広い音域を使用した美しいピアノの旋律による、ポップしなないでならではの一体感に耳を奪われる。

 かめがいは「超カッコいい日になりました!」とこの日の感想を告げ、本編ラストは夜に大暴れといったワイルドなボーカルと、洗練されたピアノのリフの対比、かわむらの多彩なドラミングがスリリングな「丑三キャットウォーク」を熱演し、ステージを後にした。

 アンコールにかめがいは「ありがたいね~」と笑顔を見せ、9月から始まるツアー『『禁じられてはいない遊び』レコ発ツアー“ヨルネコアルク”』の対バンを発表。かわむらはツアーに「こんな幸福なことはないよね」と話し、8月7日にリリースされる通算3枚目となるミニアルバム『禁じられてはいない遊び』から「ノストラ」とラストは「エレ樫」を投下。ポップしなないでとして初めて制作されたこの曲は、音楽は自由だということを教えてくれる感覚もあり、音源よりも野性味に溢れたポップしなないでの魅力を存分に浴びせ、ステージは大団円を迎えた。

ポップしなないで

 終わってみればあっという間の約4時間。どのアーティストたちも個性とセンスが光るイベントであった。2人というミニマルな編成にもかかわらず、歌の表情やドラムのリズムの妙で、単調さを感じさせないドラマティックなステージを終始発信し続けた2人。その無限大の可能性に、9月7日から名古屋を皮切りに始まる『ポップしなないで 「禁じられてはいない遊び」レコ発 ツアー“ヨルネコアルク”』にも期待が高まるばかりだ。

セットリスト

01.魔法使いのマキちゃん
02.救われ升
03.言うとおり、神さま
04.オシマイノリティ
05.フルーツサンドとポテサラ
06.Creation
07.UFO surf
08.丑三キャットウォーク

ENCORE

09.ノストラ
10.エレ樫

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