俳優の堀家一希が、映画『泣くな赤鬼』(兼重淳監督)に出演した。重松清氏『せんせい。』所収の同名作(新潮文庫刊)が原作。高校野球部で赤鬼先生と呼ばれた教師・小渕隆と、かつての教え子で余命半年と宣告された斎藤智之の絆を描いた。小渕を堤真一、斎藤を柳楽優弥が演じ、堀家は斎藤の高校時代を演じた。日本テレビ系『堀家一希俺のスカート、どこ行った?』など話題作の出演が続く堀家だが、『泣くな赤鬼』には自身にとっての転機になる大事な作品になったという。それはなぜだろうか。【取材・撮影=木村陽仁】

堤真一“監督”の熱さに引き出された飛び込み

 話題作への出演が続く堀家。最近では、力みすぎず肩の力を抜いて芝居に臨む余裕も出てきたというものの「まだまだです」と謙遜する。17年に放送されたフジテレビ系ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』ではテロリスト犯を好演。その存在を世に知らしめた。「僕にとってもあの作品をきっかけにステップアップできたと思っています。とにかく刺激的な現場でした」と振り返る。

 同作では、小栗旬とのアクションシーンも話題を集めた。「小栗さんに言われたのは『心を熱くしろ!』ということでした。アクションシーンでは『気を使われたらこちらも気を使ってしますうので全力でやってくれ』と言ってくださって。何事にもぶつかっていく姿に刺激を受けて、全力で芝居されている姿がかっこいいと思いました」。

 あれから2年。数々の現場で着実にステップアップした堀家が『泣くな赤鬼』にどう向き合ったのか。

――今回は柳楽優弥演じる斎藤智之の高校時代を演じられています。この役が決まった時の心境は?

 もう「やった!」という気持ちでした。ここまで大きな役というのが初めてで、嬉しいという気持ちしかなくて。自分自身を変えたいという思い、全力でオーディションを受けましたので決まった時は嬉しくて。

――逆にプレッシャーはありませんでしたか?

 役に対するというよりも野球へのプレッシャーはありました(笑)。撮影よりも先に野球練習から入りました。2カ月間ぐらいです。最初はプラッシャーを感じていなかったけど、練習をししていくうちに、いかに僕は野球ができないかを痛感して(笑)。野球がうまい設定なのにできないことが作品にどう影響を及ぼすか、ということを周りにも言われまして…そうしたことが重なって本番前にはかなりプレッシャーがありました。(クランク)インする2日前には「やめてしまいたい」と思うぐらいでしたね(笑)。

――そのプレッシャーは、今までに味わったことのないほど?

 あれほどのものはなかったかもしれないです。初の現場よりもはるかに上。上位でした(笑)。これまで演じてきた僕の役は一言二言ぐらいのセリフのものが大半でした。もちろんそうした役も大事だけど、今回はそれよりも大きな役もあってはるかにプレッシャーがありました。

――それでも堀家さんはサッカー歴12年で運動神経は良いですよね?

 サッカーと野球とでは全然違っていて、どちらかというと、野球は動作が細かい気がします。体重や肩の動かし方で球威を上げたりするので。

――その2カ月間の練習の間に野球の指導は受けた?

 共演者に実際に強豪校出身者が2人いたので、指導を受けました。

――ボールに向かって飛び込むシーンもありましたよね。野球未経験者にとっては怖さもあって、結構勇気が必要だったのではないかと。

 もう必死でした。正直痛いので、一発OKで終わらしたくて、気合で飛び込みました(笑)。ただアドレナリンも出ていたので怖さはなくて。でも堤さんに引き出していただいたかもしれません。本当の監督のように「ほら! 飛び込め! 捕れ!」と熱くぶつかってこられて、それに対して悔しさがすごくでてきて「絶対に捕ってやる」ともう役とか関係なく意地でも捕ろうと思っていましたから。

――その堤さんからは何か言われたことは? 監督と生徒という役だから距離感も難しそうな気もします。

 堤さんも舞台挨拶で距離感が分からなかったと言われていました。一度だけ、堤さんと柳楽さん、川栄(李奈=斎藤の妻・斎藤雪乃役)さんと生徒役のみんなでご飯に行かせて頂いて。堤さんはその時に下積み時代の話をされて「困った時があったら連絡してくれ」と連絡先を教えてくださったんです。本当に情に厚くて、芝居の話はしていないけど、そのお人柄に憧れを持ちました。いつかもっと大きな役で共演したいです。

堀家一希

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