もも(唄/ 平成生まれの妹)と小春(アコーディオン/ 昭和生まれの姉)による姉妹ユニットのチャラン・ポ・ランタンが7月7日、東京・昭和女子大学人見記念講堂で全国ツアー『チャラン・ポ・ランタン ツアー2019追加公演「脱走の果て」supported by テンプスタッフ』をおこなった。ツアーは3月6日発売のアルバム『ドロン・ド・ロンド』を引っさげて、4月7日の神奈川・クラブチッタ川崎を皮切りに6月23日熊本・B.9 V1まで18公演を完走し、6月29日の大阪 ・NHKホール大阪と東京・昭和女子大学人見記念講堂を追加公演とし全20公演をおこなうというもの。ライブは『ドロン・ド・ロンド』を中心にアンコール含め全28曲を披露。音楽の持つエネルギーと魅力が詰まった演奏でオーディエンスを魅了した。そのライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

「Ale Brider」でライブの幕は開け

もも

  ステージには2人の母が制作したというトーテムポールのようなセットと、密林をイメージした木々が存在感を放っていた。「脱走」のミュージックビデオを彷彿とさせるセットだ。壮大な物語が始まるかのようなSEが流れ、2人がステージに登場し2人はトーテムポールのようなセットに向かって一礼。異国情緒あふれる「Ale Brider」でライブの幕は開けた。そして、サポートメンバーのカンカンバルカン楽団をステージに呼びこみ、アグレッシブな1曲「脱走」で序盤からクライマックスかのような大きな盛り上がりを見せた。

 サビでの7拍子のリズムがスリリングな「カストラート」、「メビウスの行き止まり」などアップチューンを畳み掛け、ミディアムナンバー「日が昇るまで」は、夕焼けを想起させるライティングの中、しっかりと情感を込めたももの歌声と、小春のぬくもりを感じさせるアコーディオンの音色を響かせた。小春がブクブクと水中をイメージさせる擬音を発すると、「もも」もブクブクと続き、始まったのは「ゾクゾクうんどうかい」。軽快なリズムに、エキゾチックなももの歌声。NHK『おかあさんといっしょ』で流れていたこともあり、会場に訪れた子どもたちも楽しそうだ。

 さらに、もものキュートな振り付けと歌の表現力の幅を見せてくれた「フランスかぶれ」でオーディエンスもクラップで盛り上げ、「お茶しよ」のエンディングでは、マイクスタンドを後ろに置くだけの動作を「忙しい忙しい」と慌てふためく、ももの小芝居。その忙しさから息を切らしながら「無駄な動きが多すぎた、猫の手も借りてえ~」と「猫の手拝借」へ。ミラーボールが光を乱反射させるなか、オーディエンスは腕を挙げ、体を弾ませ楽しんだ。

 「夢の華よ」は<ラララライライ>とオーディエンスとシンガロングで盛り上がり、更にテンポアップでテンションは高まる中、スカの要素も盛り込まれた「One Step Beyond」でブースト。密度の濃い音のエネルギーと躍動感で体はおろか、心まで踊らせる。

 男性目線の楽曲「マッドネス」が終了すると、小春がステージをあとにし、ももとサポートメンバーによる「春のあお」を届けた。アップライトベース、フルートと楽器隊も楽器をチェンジし、ももはその音に乗って、ゆらゆらと体を揺らしながら伸びやかに歌声を響かせる。続いて、小春がステージに1人登場し、アコーディオンソロ曲を披露。「ツアーでいろいろな曲をやってきたこのコーナーも最後ですね」としみじみ。「まだやっていない曲があった」と小春は美しい指の運びで、チャラン・ポ・ランタンの楽曲「私の宇宙」のメロディを丁寧に奏でた。その感情が詰まった音色にオーディエンスもじっくりと耳を傾け酔いしれる。

小春

 再び、ももとカンカンバルカン楽団が合流し、小春が思うSNS時代への警告をとも言える1曲「100人のダディ」は、演奏もさることながら、この曲の“ダディ”の意図を説明する、小春の熱いMCでも笑いを誘った。そして、『ドロン・ド・ロンド』収録曲「ポジティブヒーロー」にちなんだ企画コーナーへ。ももが“ポジティブヒーロー”となって、届いた悩みを解決するというもの。今回の悩みは「好きな人の前では顔がひきつってしまう」という悩みを、持論を交えズバッと解決!?し、楽曲「ポジティブヒーロー」へと流れ込んだ。

今が最高を塗り替えられることが最高!

『チャラン・ポ・ランタン ツアー2019追加公演「脱走の果て」』

 ライブも後半戦へ。「夢を運んだアヒルの子」や、ももが出演した映画『麻雀放浪記2020』の非公式応援ソング「麻イイ雀」とグルーヴィーなナンバーで扇情していけば、ももは「まだまだ声を聴かせてくれるよな!」と煽り、彼女たちのターニングポイントとなった1曲「進め、たまに逃げても」で、オーディエンスとコール&レスポンスで一体感を作り出し、ブレーメンの音楽隊のようにももを筆頭に楽器隊もステージを右へ左への大移動。そして、盛り上がり必至の「ムスタファ」、「ほしいもの」では大きな歓声と拍手にはしゃぐ、ももの姿が印象的だった。

 小春は「色々ありました10年」と、このツアーの総括として「“今が最高”を塗り替えられることが最高!」と語り、本編ラストはアルバムでも最後を飾った「最高」。楽曲の持つポジティブなエネルギーは、明日への活力へと消化されるような、まさに”最高”な瞬間の連続。演奏が終了する合図にももは「終わらせねえ」と、何度もエンディングを迎え、最後には「最高」と書かれた大きな幕が降り被せられ本編が終了。

『チャラン・ポ・ランタン ツアー2019追加公演「脱走の果て」』

 カンカンバルカン楽団とラインナップで大団円を迎えたかと思うと、会場からアンコールの声が響き渡った。それに応えメンバーは定位置に戻り「Ale Brider」を盛大に届け、最後はクレズマーインストナンバー「Odessa Bulgarish」を、お祭り騒ぎの高いテンションで演奏。ももはティンホイッスルで突き抜けるような高音を奏で、一丸となった全霊のステージで『チャラン・ポ・ランタン ツアー2019追加公演「脱走の果て」』はフィナーレを迎えた。

 原点回帰ともいえる、ナチュラルに完成したアルバムの曲達を筆頭に、今のチャラン・ポ・ランタンを120%詰め込んだステージ。『ドロン・ド・ロンド』の世界観を存分に打ち出し、終始不思議な多幸感に包まれた約2時間だった。10月5日には東武動物公園で毎年恒例の公演「ブタ音楽祭」を開催。11月から『チャラン・ポ・ランタン 2019ツアー「置行堀巡業」(読み:おいてけぼりじゅんぎょう)』を行う。

セットリスト

『チャラン・ポ・ランタン ツアー2019追加公演「脱走の果て」supported by テンプスタッフ』

7月7日@東京・昭和女子大学人見記念講堂

01.Ale Brider
02.脱走
03.カストラート
04.メビウスの行き止まり
05.CARAVAN
06.日が昇るまで
07.ゾクゾクうんどうかい
08.フランスかぶれ
09.お茶しよ
10.猫の手拝借
11.夢の華よ
12.One Step Beyond
13.マッドネス
14.春のあお
15.私の宇宙(小春ソロ)
16.100人のダディ
17.お惚気アベック
18.ポジティブヒーロー
19.夢を運んだアヒルの子
20.あの子のジンタ
21.麻イイ雀
22.進め、たまに逃げても
23.ムスタファ
24.最後の晩餐
25.ほしいもの
26.最高

ENCORE

EN1.Ale Brider
EN2.Odessa Bulgarish

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